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13mのバーディパットで決着をつけたルーク・リスト、PGAツアーの難しさと開催コースのプライドが見えた5人プレーオフの舞台
2023年10月12日(木)午後1:12
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PGAツアーFedExカップフォールの第2戦「サンダーソンファームズチャンピオンシップ(10月5日~8日/ザ・カントリークラブジャクソン/ミシシッピ州)」は、通算18アンダーの首位に5人が並んだプレーオフをルーク・リスト(米)が制し、2022年1月「ファーマーズインシュランスオープン」以来となるツアー2勝目を飾りました。日没間近までもつれた死闘の模様を、ゴルフネットワークで解説を務めた大町昭義プロに振り返ってもらいました。
ルーク・リスト、ルドビッグ・エイバーグ(スウェーデン)、スコット・ストーリングス(米)、ヘンリク・ノーランダー(スウェーデン)、ベン・グリフィン(米)の5人によるプレーオフ。最終日はグリフィンが1打差の単独首位でスタートし、逃げ切りそうな展開だったのですが、初優勝というプレッシャーもあったのか最後は追いつかれ、プレーオフにもつれ込みました。
それにしてもグリフィンは惜しかった。今回開催コースとなったザ・カントリークラブ ジャクソンは、芝がバミューダ。グリフィンはバミューダグリーンでのパッティングランクがトップ5に入っているほか、グリーン周りのショットでも上位に入っているこから、今回、初優勝を遂げるかもしれないと予想していたのですが・・・。
悔やまれるのは最終ホール。パーを取れば優勝という状況で、ティーショットが右へ。セカンドショットのライも悪かったようで、ラフの計算をして打ったものの、ボールが引っかかってグリーン左奥に外してしまった。難しい位置からのアプローチは無理せずに寄せて、3m弱のパーパットを残しましたが、それが入らず・・・。お母さんや兄弟たちの前でガッカリしていた姿が忘れられません。しかしそのあとすぐに気持ちを切り替えて、プレーオフではいいスイングをしていたのは立派だったと思います。
プレーオフも行われた18番ホール(グリフィンがボギーを叩いたホール)は、500ヤードを超えるパー4。しかも2打目からは打ち上げ。実際の長さは520ヤードくらいに感じる、パー5にしてもいいくらいの長さで、バーディーがイーグルの価値があるホール。それをパー4にしているあたりはPGAツアーの難しさというべきか、それともザ・カントリークラブジャクソンのプライドなのでしょうか。プレーオフでも、5人ともピンそばに置くことができず、バーディーの決着は難しいという状況でした。ただ、グリーンに乗せた3人のボールが、距離は違うとはいえピンの右に並んでいたので、ひょっとしたら誰か1人は入れるかもという気がしていました。
最初に打ったのは、エイバーグ。上りラインで、最後はやや左サイドに切れるというラインをしっかり読んでいたのですが、思ったより左に切れてしまった。それを見たリストが約13mをぴったりの距離感で右から流し込んだ。まだ2人しか打ち終わっておらず、それよりも近い3人が残っていた(1人はパッティング、2人はアプローチ)わけですが、あれで“チェックメイト”だったと思います。グリーンを外したストーリングスも見事なショットで、奥からピタッと寄せてきましたが、あれが限界だったと思います。
大会自体も大いに盛り上がったようです。この大会は、PGAツアー唯一のミシシッピ州開催。ミシシッピ州というとゴルフがあまり盛んじゃないという印象があるようですが、素晴らしいコースがたくさんあります。またこの大会は、街にとっては1年に1回のお祭りで、みんなでトーナメントを盛り上げています。今回も2000人前後のボランティアが大会運営に携わったと聞いていますが、多くの方の協力によって素晴らしい大会になったと思います。
実は、私が初めてPGAツアーにフル参戦した1987年に、初のトップ10入り(9位タイ)を果たしたのがこのコース。そのときもたくさんのギャラリーが集まり、地元のミシシッピ大学の学生さんが「頑張れよ!」と応援してくれたのを覚えています。
さて、日本で開催される「ZOZOチャンピオンシップ」もいよいよ2週間後に迫ってきました。今回は、リッキー・ファウラーやコリン・モリカワ、ザンダー・シャウフェレらスター選手も数多く参戦するし、松山英樹選手も体調が回復しているようなので、例年以上に盛り上がりそうです。日本の若手プレーヤーも勢いがあるので、松山選手に対してどういう戦いを挑むかにも注目したいと思います。
また、フェデックスカップフォールもZOZOを含めてあと5試合。シード権争いはますます激しくなってくるはずです。そんな中で目立っているのが若手の勢いで、スウェーデンのエイバーグもその1人。9月のDPワールドツアーで初優勝を飾り、大抜擢されたライダーカップでも大活躍。そしてこの大会でも優勝争いに絡んできた。PGAツアーにはそういう選手が世界各国から集まってきます。シード入りを懸けた残りの5試合も見逃せませんよ。
(写真:Getty Images)
バミューダに強いベン・グリフィンの逃げ切りならず
ルーク・リスト、ルドビッグ・エイバーグ(スウェーデン)、スコット・ストーリングス(米)、ヘンリク・ノーランダー(スウェーデン)、ベン・グリフィン(米)の5人によるプレーオフ。最終日はグリフィンが1打差の単独首位でスタートし、逃げ切りそうな展開だったのですが、初優勝というプレッシャーもあったのか最後は追いつかれ、プレーオフにもつれ込みました。
それにしてもグリフィンは惜しかった。今回開催コースとなったザ・カントリークラブ ジャクソンは、芝がバミューダ。グリフィンはバミューダグリーンでのパッティングランクがトップ5に入っているほか、グリーン周りのショットでも上位に入っているこから、今回、初優勝を遂げるかもしれないと予想していたのですが・・・。
悔やまれるのは最終ホール。パーを取れば優勝という状況で、ティーショットが右へ。セカンドショットのライも悪かったようで、ラフの計算をして打ったものの、ボールが引っかかってグリーン左奥に外してしまった。難しい位置からのアプローチは無理せずに寄せて、3m弱のパーパットを残しましたが、それが入らず・・・。お母さんや兄弟たちの前でガッカリしていた姿が忘れられません。しかしそのあとすぐに気持ちを切り替えて、プレーオフではいいスイングをしていたのは立派だったと思います。
プレーオフも行われた18番ホール(グリフィンがボギーを叩いたホール)は、500ヤードを超えるパー4。しかも2打目からは打ち上げ。実際の長さは520ヤードくらいに感じる、パー5にしてもいいくらいの長さで、バーディーがイーグルの価値があるホール。それをパー4にしているあたりはPGAツアーの難しさというべきか、それともザ・カントリークラブジャクソンのプライドなのでしょうか。プレーオフでも、5人ともピンそばに置くことができず、バーディーの決着は難しいという状況でした。ただ、グリーンに乗せた3人のボールが、距離は違うとはいえピンの右に並んでいたので、ひょっとしたら誰か1人は入れるかもという気がしていました。
最初に打ったのは、エイバーグ。上りラインで、最後はやや左サイドに切れるというラインをしっかり読んでいたのですが、思ったより左に切れてしまった。それを見たリストが約13mをぴったりの距離感で右から流し込んだ。まだ2人しか打ち終わっておらず、それよりも近い3人が残っていた(1人はパッティング、2人はアプローチ)わけですが、あれで“チェックメイト”だったと思います。グリーンを外したストーリングスも見事なショットで、奥からピタッと寄せてきましたが、あれが限界だったと思います。
大会自体も大いに盛り上がったようです。この大会は、PGAツアー唯一のミシシッピ州開催。ミシシッピ州というとゴルフがあまり盛んじゃないという印象があるようですが、素晴らしいコースがたくさんあります。またこの大会は、街にとっては1年に1回のお祭りで、みんなでトーナメントを盛り上げています。今回も2000人前後のボランティアが大会運営に携わったと聞いていますが、多くの方の協力によって素晴らしい大会になったと思います。
実は、私が初めてPGAツアーにフル参戦した1987年に、初のトップ10入り(9位タイ)を果たしたのがこのコース。そのときもたくさんのギャラリーが集まり、地元のミシシッピ大学の学生さんが「頑張れよ!」と応援してくれたのを覚えています。
さて、日本で開催される「ZOZOチャンピオンシップ」もいよいよ2週間後に迫ってきました。今回は、リッキー・ファウラーやコリン・モリカワ、ザンダー・シャウフェレらスター選手も数多く参戦するし、松山英樹選手も体調が回復しているようなので、例年以上に盛り上がりそうです。日本の若手プレーヤーも勢いがあるので、松山選手に対してどういう戦いを挑むかにも注目したいと思います。
また、フェデックスカップフォールもZOZOを含めてあと5試合。シード権争いはますます激しくなってくるはずです。そんな中で目立っているのが若手の勢いで、スウェーデンのエイバーグもその1人。9月のDPワールドツアーで初優勝を飾り、大抜擢されたライダーカップでも大活躍。そしてこの大会でも優勝争いに絡んできた。PGAツアーにはそういう選手が世界各国から集まってきます。シード入りを懸けた残りの5試合も見逃せませんよ。
(写真:Getty Images)
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