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アダム・スコット、ジャスティン・トーマス、松山英樹、トッププロが見せる諦めず戦う姿勢
2023年8月10日(木)午後2:50
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PGAツアーのレギュラーシーズン最終戦、ウィンダムチャンピオンシップが今年も米ノースカロライナ州セッジフィールド カントリークラブで開催され(8月3日~6日)、ルーカス・グラバーが、2位に2打差の20アンダーで優勝しました。グラバーはこの優勝でフェデックスランキング49位に入り、プレーオフの出場権も獲得。激しい戦いが繰り広げられた最終戦を、ゴルフネットワークで解説を務めたプロキャディーの進藤大典さんに振り返ってもらいました。
レギュラーシーズンの最終戦ということで注目を集めたウィンダムチャンピオンシップ。ルーカス・グラバーの優勝には感動しましたが、アダム・スコットやジャスティン・トーマスといったビッグネームが、プレーオフに進出できる上位70位に入るため、自分のゴルフ人生やプライドを懸けて戦っていた姿には胸が熱くなりました。
特にトーマスは、わずか1打差での敗退。最終日の前半、パターが入らずにバーディーがなかなか来なかった中で、15番でイーグルが来た時にはいけそうな気がしたのですが…。ただ、最後の最後まで諦めない姿は立派だったと思うし、18番では「あわや」というショットも。プレーオフ進出はなりませんでしたが、やはりスーパースターは違うなと思ったものです。
さて、優勝したルーカス・グラバーについて。実は私と同じ歳の43歳で、だからというわけではありませんが、ツアーでもよく話をしました。今回の勝利でツアー5勝目と実力もあるのですが、その人間性も高く評価されています。確か2021年のことだったと思うのですが、キャディー仲間で、「キャディーに優しくしてくれる選手は誰か?」みたいなアンケート調査を行ったのですが、堂々の1位に輝いたのがこのグラバーでした。
ただここ数年、私生活では苦労が絶えず、アルコール依存症を患った奥さんの看病を献身的にしたり、本人もケガに悩まされたりと、ゴルフどころではなかったようですが、それも見事に克服。その精神力には頭が下がる思いです。ゴルフの神様ってやっぱりいるんですね。
単に“いい人”というだけではなく、何に対しても一生懸命。今大会でも彼のヤーデージブックがちらっとテレビに映ったのですが、要所にカラーペンで印を付けていました。選手でそういうことをする人は少なく、それを見たときに、自らの順位に関係なく、毎試合、最高のプレーをするために一生懸命やる人なんだなと、あらためて彼のひたむきさに心を打たれました。この1勝で彼のゴルフ人生は大きく変わると思いますが、今後の活躍にも期待したいところです。
さて、次戦からいよいよプレーオフに突入します。フェデックスセントジュードチャンピオンシップ、BMWチャンピオンシップ、そして最終戦のツアーチャンピオンシップと残り3試合。注目は、誰が30位以内に残ってツアーチャンピオンシップの出場権を獲得するかということ。
ツアーチャンピオンシップへの出場権を獲得するということは、その年のプロゴルファーの世界30位に選ばれるようなものなので、選手にとっては大変な名誉。また出場する選手に対しては、周りの見る目も変わってきます。
例えば2014年、松山英樹選手はBMWチャンピオンシップで28位に入り、初めてツアーチャンピオンシップ出場を決めたわけですが、その瞬間からPGAツアー選手の英樹に対すると扱いや見る目が、明らかにワンランク上がりました。そのとき英樹とともに、「ツアーチャンピオンシップに出ることのステータス」を強く感じたのを思い出します。
その松山選手、ウィンダムチャンピオンシップでは残念ながら予選落ちをしてしまいました。ただ、予選落ちをしたことで、フェデックスセントジュードまで練習する時間ができたことがいい方向に向かってくれるんじゃないかと期待しています。試合があると、その試合の中で微調整をすることしかできないものですが、時間があればそれだけ自分のやりたいことを存分にできますからね。
今年に限ってはケガもあって、思うような結果が出なかったわけですが、そういう状況でもBMWに出場できるかどうかという順位にいるのはすごいこと。上位30位に入れるかどうかは分かりませんが、体と相談しながら、今自分ができることをしっかりやってくれればいいなと思っています。
常に前向きな松山選手のこと、ウィンダムでのジャスティン・トーマスのように、最後の最後まで諦めない姿勢を見せてくれると思うので、見ている我々も必死で応援したいと思います。
(写真:Getty Images)
“とってもいい人” 43歳のルーカス・グラバーがツアー5勝目
レギュラーシーズンの最終戦ということで注目を集めたウィンダムチャンピオンシップ。ルーカス・グラバーの優勝には感動しましたが、アダム・スコットやジャスティン・トーマスといったビッグネームが、プレーオフに進出できる上位70位に入るため、自分のゴルフ人生やプライドを懸けて戦っていた姿には胸が熱くなりました。
特にトーマスは、わずか1打差での敗退。最終日の前半、パターが入らずにバーディーがなかなか来なかった中で、15番でイーグルが来た時にはいけそうな気がしたのですが…。ただ、最後の最後まで諦めない姿は立派だったと思うし、18番では「あわや」というショットも。プレーオフ進出はなりませんでしたが、やはりスーパースターは違うなと思ったものです。
さて、優勝したルーカス・グラバーについて。実は私と同じ歳の43歳で、だからというわけではありませんが、ツアーでもよく話をしました。今回の勝利でツアー5勝目と実力もあるのですが、その人間性も高く評価されています。確か2021年のことだったと思うのですが、キャディー仲間で、「キャディーに優しくしてくれる選手は誰か?」みたいなアンケート調査を行ったのですが、堂々の1位に輝いたのがこのグラバーでした。
ただここ数年、私生活では苦労が絶えず、アルコール依存症を患った奥さんの看病を献身的にしたり、本人もケガに悩まされたりと、ゴルフどころではなかったようですが、それも見事に克服。その精神力には頭が下がる思いです。ゴルフの神様ってやっぱりいるんですね。
単に“いい人”というだけではなく、何に対しても一生懸命。今大会でも彼のヤーデージブックがちらっとテレビに映ったのですが、要所にカラーペンで印を付けていました。選手でそういうことをする人は少なく、それを見たときに、自らの順位に関係なく、毎試合、最高のプレーをするために一生懸命やる人なんだなと、あらためて彼のひたむきさに心を打たれました。この1勝で彼のゴルフ人生は大きく変わると思いますが、今後の活躍にも期待したいところです。
松山英樹選手の“諦めない姿”に注目
さて、次戦からいよいよプレーオフに突入します。フェデックスセントジュードチャンピオンシップ、BMWチャンピオンシップ、そして最終戦のツアーチャンピオンシップと残り3試合。注目は、誰が30位以内に残ってツアーチャンピオンシップの出場権を獲得するかということ。
ツアーチャンピオンシップへの出場権を獲得するということは、その年のプロゴルファーの世界30位に選ばれるようなものなので、選手にとっては大変な名誉。また出場する選手に対しては、周りの見る目も変わってきます。
例えば2014年、松山英樹選手はBMWチャンピオンシップで28位に入り、初めてツアーチャンピオンシップ出場を決めたわけですが、その瞬間からPGAツアー選手の英樹に対すると扱いや見る目が、明らかにワンランク上がりました。そのとき英樹とともに、「ツアーチャンピオンシップに出ることのステータス」を強く感じたのを思い出します。
その松山選手、ウィンダムチャンピオンシップでは残念ながら予選落ちをしてしまいました。ただ、予選落ちをしたことで、フェデックスセントジュードまで練習する時間ができたことがいい方向に向かってくれるんじゃないかと期待しています。試合があると、その試合の中で微調整をすることしかできないものですが、時間があればそれだけ自分のやりたいことを存分にできますからね。
今年に限ってはケガもあって、思うような結果が出なかったわけですが、そういう状況でもBMWに出場できるかどうかという順位にいるのはすごいこと。上位30位に入れるかどうかは分かりませんが、体と相談しながら、今自分ができることをしっかりやってくれればいいなと思っています。
常に前向きな松山選手のこと、ウィンダムでのジャスティン・トーマスのように、最後の最後まで諦めない姿勢を見せてくれると思うので、見ている我々も必死で応援したいと思います。
(写真:Getty Images)
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2022-23 ウィンダムチャンピオンシップ
8月3日(木)~8月6日(日)