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歓喜のギャラリーがフェアウェイになだれ込む熱狂と裏腹に 冷静だったタイガー最終日のゲームプラン
2018年9月24日(月)午後2:15
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誰がこんな結末を予想していたのか。PGAツアー2017-18シーズン最終戦「ツアーチャンピオンシップ」は、タイガー・ウッズの5年ぶりとなる実に1876日ぶりの優勝で幕を閉じた。最終18番ホールでは、興奮した大勢のギャラリーがフェアウェイになだれ込み、タイガー復活の瞬間を見届けようとグリーンを取り囲むという最近の大会ではあまりみかけない事態まで起きていた。そんなギャラリーたちの熱狂とは裏腹に、タイガーは実に冷静沈着なゲームプランをみせた。
1番パー4をバーディでスタートしギャラリーを盛り上げたタイガーだったが、ゲームプランとしてはむやみにスコアを伸ばしにいくようなマネジメントではなかった。バミューダ芝のラフに入れると一気に難しくなるイーストレイクGCで、ティーショットでは低目のボールを多用し狙いを定めて撃ち抜いていく。それは決して「守り」のゴルフではなく、2位とのスコア差を頭に入れながら優勝を手にするためのミッションとして、恐ろしいほどの集中力をもって一打一打に望んでいるように見えた。
前半を1バーディノーボギーで終えむかえたサンデーバックナイン。追手であった同組のローリー・マキロイやひとつ前の組のジャスティン・ローズがスコアを崩すなか、このままタイガーの独走かと思われたが、試練はやってきた。
15番池超えのパー3で"あわや池"の一打からアプローチを寄せきれずボギーとすると、続く16番パー4は、2日目ダブルボギー、3日目ボギーとタイガーにとって「鬼門」といえるホール。ティーショットは、2日目と同じように左サイドの林がかかるラフに打ち込んでしまった。
しかし「二の轍は踏むまい」と迷わずレイアップを選択、なんとかボギーで切り抜ける。この時点で、トータルスコアはスタートから1つ落とした11アンダー。その間にビリー・ホーシェルがひたひたとスコアを伸ばしトータル9アンダーの2打差にまで迫っていた。
17番パー4は4日間の平均スコアが3.88と比較的易しいホールではあったが、ティーショットはまたもや左のラフへ。セカンドもグリーンを超えて、ピンまで15ヤードほどのラフという難しいアプローチを残す。下手をすればボギーでも済まないシチュエーションで、集中力を研ぎ澄ますタイガー。ギャラリーの声か動きが気になったのか、一度アドレスを解き、再びショットルーティーンから整える。
バミューダ芝のラフから優しく打たれたボールは、カップ1メールほどに寄せ、あとは3日目までフィールド1位だったストロークゲインドパッティング(スコアのうちパットの貢献度を示す指標)の精度をみせてパーセーブ、ピンチを切り抜けた。これで2位ホーシェルとは2打差のまま。まさにクラッチパットであった。
最終18番パー5のティーショットをフェアウェイに運んだところで、それまで集中し続けていたタイガーの表情も和らぎ、白い歯をみせながらマキロイと並んで会話をしていた。その様子がきっかけになったかどうかはわからないが、ギャラリー達がタイガーを囲む"演出"へと繋がっていったように思う。
もともとマネジメントに定評のあるタイガーではあるが、この大会ではそれがさらに熟練の粋に達したようにも感じる。終わってみれば、4日間首位を譲ることはなく、最終日はスコア差を考慮したゲームプランを貫き、勝負どころでは最大限の集中力をみせ、最後は固くなりすぎることなくパーセーブで締めくくる。その「淀みない勝ち方」は、この先タイガーがサム・スニードの通算勝利数「82」を超えていくことを確信させてくれるような内容だった。
これでPGAツアーの今シーズンはすべての日程が終了したが、次週にはライダーカップ(2年に1度の米国選抜と欧州選抜の対抗戦)を控えている。タイガーも3大会ぶりに選手として出場するということもあってか、ギャラリーからは「タイガー」コールだけでなく「USA」コールも起きていた。ツアーチャンピオンシップ最終日に辛酸を舐めたマキロイと、かろうじて年間王者を守りきったローズが、すぐにまたライダーカップで「熟練のタイガー」と相まみえることになる。今年のタイガーフィーバーは、もうしばらく続くことになりそうだ。
1番パー4をバーディでスタートしギャラリーを盛り上げたタイガーだったが、ゲームプランとしてはむやみにスコアを伸ばしにいくようなマネジメントではなかった。バミューダ芝のラフに入れると一気に難しくなるイーストレイクGCで、ティーショットでは低目のボールを多用し狙いを定めて撃ち抜いていく。それは決して「守り」のゴルフではなく、2位とのスコア差を頭に入れながら優勝を手にするためのミッションとして、恐ろしいほどの集中力をもって一打一打に望んでいるように見えた。
前半を1バーディノーボギーで終えむかえたサンデーバックナイン。追手であった同組のローリー・マキロイやひとつ前の組のジャスティン・ローズがスコアを崩すなか、このままタイガーの独走かと思われたが、試練はやってきた。
15番池超えのパー3で"あわや池"の一打からアプローチを寄せきれずボギーとすると、続く16番パー4は、2日目ダブルボギー、3日目ボギーとタイガーにとって「鬼門」といえるホール。ティーショットは、2日目と同じように左サイドの林がかかるラフに打ち込んでしまった。
しかし「二の轍は踏むまい」と迷わずレイアップを選択、なんとかボギーで切り抜ける。この時点で、トータルスコアはスタートから1つ落とした11アンダー。その間にビリー・ホーシェルがひたひたとスコアを伸ばしトータル9アンダーの2打差にまで迫っていた。
17番パー4は4日間の平均スコアが3.88と比較的易しいホールではあったが、ティーショットはまたもや左のラフへ。セカンドもグリーンを超えて、ピンまで15ヤードほどのラフという難しいアプローチを残す。下手をすればボギーでも済まないシチュエーションで、集中力を研ぎ澄ますタイガー。ギャラリーの声か動きが気になったのか、一度アドレスを解き、再びショットルーティーンから整える。
バミューダ芝のラフから優しく打たれたボールは、カップ1メールほどに寄せ、あとは3日目までフィールド1位だったストロークゲインドパッティング(スコアのうちパットの貢献度を示す指標)の精度をみせてパーセーブ、ピンチを切り抜けた。これで2位ホーシェルとは2打差のまま。まさにクラッチパットであった。
最終18番パー5のティーショットをフェアウェイに運んだところで、それまで集中し続けていたタイガーの表情も和らぎ、白い歯をみせながらマキロイと並んで会話をしていた。その様子がきっかけになったかどうかはわからないが、ギャラリー達がタイガーを囲む"演出"へと繋がっていったように思う。
もともとマネジメントに定評のあるタイガーではあるが、この大会ではそれがさらに熟練の粋に達したようにも感じる。終わってみれば、4日間首位を譲ることはなく、最終日はスコア差を考慮したゲームプランを貫き、勝負どころでは最大限の集中力をみせ、最後は固くなりすぎることなくパーセーブで締めくくる。その「淀みない勝ち方」は、この先タイガーがサム・スニードの通算勝利数「82」を超えていくことを確信させてくれるような内容だった。
これでPGAツアーの今シーズンはすべての日程が終了したが、次週にはライダーカップ(2年に1度の米国選抜と欧州選抜の対抗戦)を控えている。タイガーも3大会ぶりに選手として出場するということもあってか、ギャラリーからは「タイガー」コールだけでなく「USA」コールも起きていた。ツアーチャンピオンシップ最終日に辛酸を舐めたマキロイと、かろうじて年間王者を守りきったローズが、すぐにまたライダーカップで「熟練のタイガー」と相まみえることになる。今年のタイガーフィーバーは、もうしばらく続くことになりそうだ。
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