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ラッセル・ヘンリーのチップインが流れを変えた?キーガン・ブラッドリーの大逆転バーディーとトミー・フリートウッドの痛恨ボギー【佐藤信人のPGAツアーアフタートーク】
2025年6月26日(木)午後5:40

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シグネチャーイベントの最終戦「トラベラーズ チャンピオンシップ」(コネチカット州TPCリバーハイランズ)は、トップのトミー・フリートウッドを1打差で追っていたキーガン・ブラッドリーが18番でバーディーを奪い、ボギーを叩いたフリートウッドを大逆転。同大会を2年ぶりに制しました。日本人選手は松山英樹選手が出場。3日目に崩れたものの最終日は65で回り、4アンダー30位タイでフィニッシュしました。同大会の模様を、ゴルフネットワークで解説を務めた佐藤信人プロに振り返ってもらいました。
今年最後のシグネチャー大会は、最後の最後に大きなドラマが待っていました。
最終日、トップでスタートしたのは、トミー・フリートウッド。スタート時点で2位とは3打差。ただ、そのまますんなりといくとは思えませんでした。というのも、フリートウッドはヨーロピアンツアーでは7勝しているとはいえ、PGAツアーでは未勝利。また、2位以下にキーガン・ブラッドリーなど優勝経験豊富なプレーヤーが多かったからです。実際、想像していた通りの混戦になったわけですが、18番で起こったドラマまでは予想していませんでした。
18番を迎えた時点で、トップのフリートウッドと2位のブラッドリーとの差は1打。放送ではその際、「いろいろな可能性がある」とお話ししたのですが、まさかフリートウッドがボギーを打ち、キーガンがバーディーを奪って引っくり返るとは思ってもいませんでした。
勝負のポイントを挙げるとすれば、カラーから打った18番のフリートウッドのファーストパット(バーディーパット)になるでしょう。その直前にラッセル・ヘンリーが見事なチップインバーディーを奪い、場内は騒然としていたのですが、その興奮が収まる前にフリートウッドがさっさと構えてストローク。私自身、「あれ? もう打ったの?」と思ったのですが、私が感じた違和感通り、そのボールが寄り切らず、さらにパーパットも外してしまいました。
あくまでも結果論ですが、大事な1打だったのでもう少しゆっくりと、せめて辺りが静まりかえり、ギャラリーがフリートウッドのプレーを固唾をのんで見守るという状況になってからストロークをしても良かったのではないかと。それがフリートウッドのリズムなのか、シーンと静まりかえった中で打つよりもいいと思ったのか、それとも考え過ぎて迷う前に打った方がいいと思ったのか。その真意は分かりかねますが、いずれにしろヘンリーの予期せぬチップインが、フリートウッドの歯車を微妙に狂わせたような気がしました。
一方、ブラッドリーの方は、ギャラリーの期待通り、果敢に攻めてセカンドショットをピンに絡め、優勝を決めたバーディーパットを打つ前から、その瞬間のガッツポーズがイメージできるほど、全体の空気を自分のものにしていました。ライダーカップではアメリカチームのキャプテンとして出場することが決まっているブラッドリーですが、この勢いだと“プレーイング・キャプテン”も十分あり得るのではないかと思います。
結果的に2位タイでフィニッシュしたヘンリーについても少し触れておきましょう。ヘンリーは、2022年辺りからプレーが安定してきて、23年のマスターズでトップ10入り(4位)。これが自信になったようで、24年は全米オープン(7位タイ)と全英オープン(5位)という2つのメジャーでトップ10入りを果たし、優勝こそありませんでしたが、フェデックスランキングでも4位と自己最高をマークしました。今年も好調で、「アーノルド・パーマーインビテーショナル」で優勝。初優勝を狙ったフリートウッドよりもプレーに余裕が感じられました。残念ながらショートパットのミスがいくつかあり優勝には届きませんでしたが、キャプテンの前でのビッグプレーは、ライダーカップに向けてのアピールになったと思います。
さて次週は、「ロケットクラシック」が、ミシガン州のデトロイトゴルフクラブで開催されます。この大会には、松山英樹選手を含め、日本人選手5人が久しぶりに揃う予定です。
松山選手は急遽、出場を決めたようですが、過去に何度か出場している大会。今季は初戦で勝利したものの、その後、勝ち星に恵まれず、フェデックスランキングも22位に落ちてしまったので、この辺りでポイントを稼いでおきたいところでしょう。追い込まれるほど力を発揮するのが松山選手の強みなので、終盤の巻き返しは十分期待できますが、できれば早い段階で2勝目、3勝目を手に入れてほしいと思います。
また、久常涼選手は、同ランキング67位。ここから頑張ればトップ50、そしてツアーチャンピオンシップ出場も見えてくる。何とか奮起してほしいところです。今季結果は出ていませんが金谷拓実選手、星野陸也選手、大西魁斗選手も100位以内に入るという目標を持って、大いに頑張ってもらいたいところ。「ロケットクラシック」では5人の活躍に期待しましょう。
今年最後のシグネチャー大会は、最後の最後に大きなドラマが待っていました。
最終日、トップでスタートしたのは、トミー・フリートウッド。スタート時点で2位とは3打差。ただ、そのまますんなりといくとは思えませんでした。というのも、フリートウッドはヨーロピアンツアーでは7勝しているとはいえ、PGAツアーでは未勝利。また、2位以下にキーガン・ブラッドリーなど優勝経験豊富なプレーヤーが多かったからです。実際、想像していた通りの混戦になったわけですが、18番で起こったドラマまでは予想していませんでした。
18番を迎えた時点で、トップのフリートウッドと2位のブラッドリーとの差は1打。放送ではその際、「いろいろな可能性がある」とお話ししたのですが、まさかフリートウッドがボギーを打ち、キーガンがバーディーを奪って引っくり返るとは思ってもいませんでした。
勝負のポイントを挙げるとすれば、カラーから打った18番のフリートウッドのファーストパット(バーディーパット)になるでしょう。その直前にラッセル・ヘンリーが見事なチップインバーディーを奪い、場内は騒然としていたのですが、その興奮が収まる前にフリートウッドがさっさと構えてストローク。私自身、「あれ? もう打ったの?」と思ったのですが、私が感じた違和感通り、そのボールが寄り切らず、さらにパーパットも外してしまいました。
あくまでも結果論ですが、大事な1打だったのでもう少しゆっくりと、せめて辺りが静まりかえり、ギャラリーがフリートウッドのプレーを固唾をのんで見守るという状況になってからストロークをしても良かったのではないかと。それがフリートウッドのリズムなのか、シーンと静まりかえった中で打つよりもいいと思ったのか、それとも考え過ぎて迷う前に打った方がいいと思ったのか。その真意は分かりかねますが、いずれにしろヘンリーの予期せぬチップインが、フリートウッドの歯車を微妙に狂わせたような気がしました。
一方、ブラッドリーの方は、ギャラリーの期待通り、果敢に攻めてセカンドショットをピンに絡め、優勝を決めたバーディーパットを打つ前から、その瞬間のガッツポーズがイメージできるほど、全体の空気を自分のものにしていました。ライダーカップではアメリカチームのキャプテンとして出場することが決まっているブラッドリーですが、この勢いだと“プレーイング・キャプテン”も十分あり得るのではないかと思います。
結果的に2位タイでフィニッシュしたヘンリーについても少し触れておきましょう。ヘンリーは、2022年辺りからプレーが安定してきて、23年のマスターズでトップ10入り(4位)。これが自信になったようで、24年は全米オープン(7位タイ)と全英オープン(5位)という2つのメジャーでトップ10入りを果たし、優勝こそありませんでしたが、フェデックスランキングでも4位と自己最高をマークしました。今年も好調で、「アーノルド・パーマーインビテーショナル」で優勝。初優勝を狙ったフリートウッドよりもプレーに余裕が感じられました。残念ながらショートパットのミスがいくつかあり優勝には届きませんでしたが、キャプテンの前でのビッグプレーは、ライダーカップに向けてのアピールになったと思います。
さて次週は、「ロケットクラシック」が、ミシガン州のデトロイトゴルフクラブで開催されます。この大会には、松山英樹選手を含め、日本人選手5人が久しぶりに揃う予定です。
松山選手は急遽、出場を決めたようですが、過去に何度か出場している大会。今季は初戦で勝利したものの、その後、勝ち星に恵まれず、フェデックスランキングも22位に落ちてしまったので、この辺りでポイントを稼いでおきたいところでしょう。追い込まれるほど力を発揮するのが松山選手の強みなので、終盤の巻き返しは十分期待できますが、できれば早い段階で2勝目、3勝目を手に入れてほしいと思います。
また、久常涼選手は、同ランキング67位。ここから頑張ればトップ50、そしてツアーチャンピオンシップ出場も見えてくる。何とか奮起してほしいところです。今季結果は出ていませんが金谷拓実選手、星野陸也選手、大西魁斗選手も100位以内に入るという目標を持って、大いに頑張ってもらいたいところ。「ロケットクラシック」では5人の活躍に期待しましょう。
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