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ブライアン・ハーマンが我慢比べを制したバレロテキサスオープン そしていよいよメジャーシーズン開幕へ【佐藤信人のPGAツアーアフタートーク】
2025年4月10日(木)午後5:18

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難コースで知られるテキサス州のTPCサンアントニオで開催された「バレロテキサスオープン」。決勝ラウンドは強風に見舞われましたが、技巧派レフティー、ブライアン・ハーマンが我慢のゴルフで今季初優勝を飾りました。
また、日本人選手では、最終日6打差5位タイでスタートした久常涼選手が3バーディ、5ボギーの「74」でプレー。通算4アンダー5位タイで2週前の「バルスパー選手権」(4位タイ)以来、シーズン3度目のトップ10入りを果たしました。同大会の模様を、ゴルフネットワークで解説を務めた佐藤信人プロに振り返ってもらいました。
さて、優勝したブライアン・ハーマンについて。2023年の全英オープンのチャンピオンですが、この大会でもハートの強さが伝わってきました。技術的には、正確なショットが持ち味で、アプローチやパッティングも上手い。毎年、安定した成績を残しているというのも彼の素晴らしい点で、PGAツアーに参戦した2012年から13年間、フェデックスカップポイントランキングで100位以下になったことがないという選手です。
今季に関しては、序盤は調子が上がらず、この大会に入ってからのインタビューでも「今季は出遅れている」とコメントしていましたが、訪れたチャンスをしっかりものにするあたりは流石というべきでしょう。特に決勝ラウンドは落ち着いていました。強風が見舞われる中を黙々とプレーをして、ミスをしても怒りを表さず。歯を食いしばってうつむき加減で歩いている姿が、全英オープンの時とよく似ていました。
最終的には、ハーマンが我慢比べを制した形になりましたが、どんな試合でも優勝する人というのは、ちょっとしたツキがあるというのが私の持論。最終日のハーマンもそういうところがありました。
それを感じたのが、14番あたりから。終盤は左からの強い向かい風が吹いていたんですが、この向きの風が吹くと右打ちの選手はボールが風に押し戻されるので思い通りのプレーができなくなる。その点、ハーマンはレフティーなので、右打ちに比べてそれほど風に苦しまなかったという点が勝利に繋がったような気がします。
本人も、もうちょっと上に行けたという気持ちがあったようで、試合後のインタビューでも、悔しさがにじみ出ていましたが、その悔しさが次に繋がるはず。むしろ5位タイに満足していないところに頼もしささえ感じました。
一方、松山英樹選手は予選落ち。次戦の「マスターズ」に向けて、今大会ではある程度の手応えを感じておきたいという思いもあったでしょうが、ここはもう前向きに捉えるしかありません。オーガスタの空気を吸えば良い思い出が蘇ってくるだろうし、気付きも出てくると思うので、例年通り期待しましょう。
さて、その「マスターズ」ですが、優勝争いの中心になりそうなのは、スコッティ・シェフラーとローリー・マキロイ。連覇を狙うシェフラーは、今季優勝こそないものの、「テキサスチルドレンズヒューストンオープン」で追い上げを見せるなど準備万端の様子。また、マキロイも今季2勝を引っ提げてオーガスタに乗り込んできます。
ただ、マキロイに関しては、“生涯グランドスラム達成”の期待が大きい分、プレッシャーもかかるはず。果たしてどうなるか? そのほか、コリン・モリカワやルドビグ・オーバーグらも今季は調子が良さそうですし、オーガスタに強い松山選手もここ数試合とは違うゴルフを見せてくれるはず。し烈な優勝争いなることを期待したいと思います。
(写真:Getty Images)
また、日本人選手では、最終日6打差5位タイでスタートした久常涼選手が3バーディ、5ボギーの「74」でプレー。通算4アンダー5位タイで2週前の「バルスパー選手権」(4位タイ)以来、シーズン3度目のトップ10入りを果たしました。同大会の模様を、ゴルフネットワークで解説を務めた佐藤信人プロに振り返ってもらいました。
厳しいコンディションで耐え抜いたハーマン
今年も各選手がコースの難しさと、TPCサンアントニオ特有の風に苦しめられました。全長7,438ヤードのパー72で、パー5が4つ。この数字だけを見ると、飛ばし屋有利のコースに思えるのですが、今年も上位陣には、ショットの正確性やボールコントロールの上手さで勝負している選手たちがズラリ。そういう点からいうと、例年通りの大会になったということでしょう。さて、優勝したブライアン・ハーマンについて。2023年の全英オープンのチャンピオンですが、この大会でもハートの強さが伝わってきました。技術的には、正確なショットが持ち味で、アプローチやパッティングも上手い。毎年、安定した成績を残しているというのも彼の素晴らしい点で、PGAツアーに参戦した2012年から13年間、フェデックスカップポイントランキングで100位以下になったことがないという選手です。
今季に関しては、序盤は調子が上がらず、この大会に入ってからのインタビューでも「今季は出遅れている」とコメントしていましたが、訪れたチャンスをしっかりものにするあたりは流石というべきでしょう。特に決勝ラウンドは落ち着いていました。強風が見舞われる中を黙々とプレーをして、ミスをしても怒りを表さず。歯を食いしばってうつむき加減で歩いている姿が、全英オープンの時とよく似ていました。
最終的には、ハーマンが我慢比べを制した形になりましたが、どんな試合でも優勝する人というのは、ちょっとしたツキがあるというのが私の持論。最終日のハーマンもそういうところがありました。
それを感じたのが、14番あたりから。終盤は左からの強い向かい風が吹いていたんですが、この向きの風が吹くと右打ちの選手はボールが風に押し戻されるので思い通りのプレーができなくなる。その点、ハーマンはレフティーなので、右打ちに比べてそれほど風に苦しまなかったという点が勝利に繋がったような気がします。
久常涼が今季3度目のトップ10入り、松山英樹もマスターズで活躍を
日本人選手では、久常涼選手が、「バルスパーチャンピオンシップ」に続いてトップ10入り(4アンダーの5位タイ)。成績だけでなく、ゴルフ自体も彼の良い部分が出ていました。特にショットに関しては、PGAツアーでも上手い部類に入るということを改めて実感しました。それだけに、2つ3つあった惜しいパットが入っていればという思いが募ります。本人も、もうちょっと上に行けたという気持ちがあったようで、試合後のインタビューでも、悔しさがにじみ出ていましたが、その悔しさが次に繋がるはず。むしろ5位タイに満足していないところに頼もしささえ感じました。
一方、松山英樹選手は予選落ち。次戦の「マスターズ」に向けて、今大会ではある程度の手応えを感じておきたいという思いもあったでしょうが、ここはもう前向きに捉えるしかありません。オーガスタの空気を吸えば良い思い出が蘇ってくるだろうし、気付きも出てくると思うので、例年通り期待しましょう。
さて、その「マスターズ」ですが、優勝争いの中心になりそうなのは、スコッティ・シェフラーとローリー・マキロイ。連覇を狙うシェフラーは、今季優勝こそないものの、「テキサスチルドレンズヒューストンオープン」で追い上げを見せるなど準備万端の様子。また、マキロイも今季2勝を引っ提げてオーガスタに乗り込んできます。
ただ、マキロイに関しては、“生涯グランドスラム達成”の期待が大きい分、プレッシャーもかかるはず。果たしてどうなるか? そのほか、コリン・モリカワやルドビグ・オーバーグらも今季は調子が良さそうですし、オーガスタに強い松山選手もここ数試合とは違うゴルフを見せてくれるはず。し烈な優勝争いなることを期待したいと思います。
(写真:Getty Images)
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4月3日(木)~4月6日(日)