ニュース・コラム

本番以外 PCニュース詳細 ビルボード /21153358/73520
海外男子

「ガッツ溢れるジェントルマン」45歳のジャスティン・ローズ【佐藤信人のPGAツアーアフタートーク】

2025年8月14日(木)午前11:21

 プレーオフの第1戦、「フェデックスセントジュードチャンピオンシップ」(テネシー州・TPCサウスウィンドで開催)は、ジャスティン・ローズとJ.J.スポーンがプレーオフを争い、3ホール目でバーディーを奪ったローズがPGAツアー12勝目を飾りました。日本人選手で唯一出場となった松山英樹選手は、最終日に65をマークし、トータル7アンダーの17位タイでフィニッシュしました。激戦となった同大会の模様を、ゴルフネットワークで解説を務めた佐藤信人プロに振り返ってもらいました。
 
プレーオフ1ホール目の2つの“ギリギリ”がジャスティン・ローズの優勝をあと押し

 プレーオフの初戦は、今季好調の選手たちのプライドのぶつかり合いという感じで、見応えのある試合になりました。

 まずは優勝したジャスティン・ローズについて。彼は今年45歳になりましたが、飛距離は一向に衰えておらず、技術的な面でも錆びついていないのがスゴいところです。昨シーズンの「全英オープン」で2位タイに入り、今年の「マスターズ」でも2位タイ。また、今季もこの大会を含め5試合でトップ10に入っているのですが、ほとんどが大きな大会。若いころのように、数多くの試合に出て毎回優勝争いを繰り広げるということはありませんが、ピンポイントでビッグゲームに照準を合わせ、しっかり結果を残しているような感じがします。

 プレーに関しては、淡々というよりは、紳士的だけど、ガッツ溢れるプレーヤーで、感情が表に出るタイプ。そういう部分も45歳にしては若さを感じるところです。戦績でも、PGAツアーと欧州ツアーで年間王者になったことがあるほか、ワールドランキング1位も経験。メジャーも1勝しているほか、オリンピック(2016年リオデジャネイロ大会)でも金メダルを取るなど、ありとあらゆる勲章を得ている選手であることは皆さんもご存じの通り。

 さらに私が好感を持っているのは、それだけの勲章を得ていながら、彼がLIVゴルフに行かなかったこと。それがいいとか悪いとかではなく、「もっとメジャーで勝ちたい」とか「ライダーカップに出たい」という目標を達成するために、より厳しい選択をしたのではないかと思っていて、そういうローズのハングリー精神が彼の魅力にもなっています。

 試合の方はプレーオフまでもつれ、3ホール目でローズがバーディーパットを決めて決着が付いたわけですが、勝負を分けたショットには、ローズのプレーオフ1ホール目のティーショットを挙げたいと思います。池方向に曲げたボールが、池ギリギリのところで止まり、さらにそのボールが、スタンスが取れるギリギリのところに残るという2つの幸運がここで重なった。このホールで決着が付いたわけではありませんが、あのようなちょっとした幸運も、勝利の一因のような気がします。

 一方、惜しくも敗れたJ.J.スポーンも今季のメジャーチャンピオンとしての強さを感じました。メジャー大会は当然、強い人しか勝てないわけですが、その肩書きが重荷になって、その後自らのパフォーマンスを発揮できなくなることもあります。特にスポーンのように、サプライズ的にチャンピオンになった選手は、そうなるケースが多いのですが、今回のプレーぶりはまさにメジャーチャンピオンにふさわしかったと思います。

 スポーンは2022年の「フェデックス」で、3日目が終わって単独トップだったのが、最終日8オーバーを叩いてしまったという苦い経験があり、「プレーヤーズチャンピオン」でローリー・マキロイにプレーオフで破れたときも、そのことがトラウマになっているという話をしていましたが、それも克服したのでしょう。また、プレーの方も、最近パターを換えたことで、弱点だったパッティングが良くなり、さらに強みが増しました。少し気が早いですが、今年の「ライダーカップ」ではキープレイヤーになりそうです。

 1打差でプレーオフに進めなかったトミー・フリートウッドとスコッティ・シェフラーにも触れておきましょう。

 フリートウッドは、3日目までトップに立っていながら、最後の最後で優勝を逃すという、6月の「トラベラーズチャンピオンシップ」と同じパターンで負けてしまいました。試合後のインタビューでも、「トラベラーズ」のときと同じように、「勝てなかったのは残念だけど、この経験を次に生かしたい」と負けたことをポジティブに捉えたいというコメントをしていました。

 厳しいファンからみれば、「ツメが甘い」「勝負強さがない」と思われるかもしれませんが、「今日のようなプレーをしていれば、いずれ勝てる時がくる」というのが彼の考え。負けたからといって敗因を追求するのではなく、今日のような戦いができたことをポジティブに捉えて次に挑む。プレーオフはまだ2試合あるので、次に期待しましょう。

 一方、シェフラーは、“さすが”のひと言に尽きます。今回は、そんなに調子が良くなかったようですが、それでも気が付けば、優勝争いをしている。これで、12試合連続トップ10入り。今回に関していえば、エースキャディーのテッド・スコットが急用のため最終日のみ離脱し、急遽、別のキャディーさんがバッグを担いだことも少なからず影響があったのではないかと思います。

 最後に松山英樹選手について。今回も、ここ数試合と同じで、「いい感じにはなっているけれども、結果が出ない」というもどかしさを本人も感じているのではないでしょうか。3日目までは中位をキープし、最終日に少しハマって順位を上げるというのも最近の傾向で、なかなかハマりきれていません。

 まずは「BMWチャンピオンシップ」。開催コースのケイブスバレーGC(メリーランド州)は、2021年の同大会で一度プレーしていて、そのときは46位タイと成績は平凡ですが、コースは経験済み。何とか、この「BMW」か「ツアーチャンピオンシップ」でパチッとハマってほしい。彼ならやってくれると信じています。

(写真:Getty Images)
本番以外 PCニュース詳細 記事下左 /21153358/73525
本番以外 PCニュース詳細 記事下右 /21153358/73526

関連番組

2025 フェデックスセントジュードチャンピオンシップ
8月7日(木)~8月10日(日)

関連記事

ゴルフネットワークは以下の放送サービスからご視聴いただけます

  • ココロ動く、未来へ。スカパー!
    衛星放送多チャンネルサービス
    パソコン・スマートフォン
    タブレット視聴サービス
  • J:COM
    国内最大手のケーブルテレビ運営会社
    パソコン・スマートフォン
    タブレット視聴サービス
  • GOLF NETWORK PLUS
    パソコン・スマートフォンで視聴できる
    インターネット配信サービス
    パソコン・スマートフォン
    タブレット視聴サービス
    • 権利上の理由により、一部番組がテレビ放送と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
  • prime video
    Amazonプライム会員向けの
    動画配信サービス
    Amazonプライム会員なら
    簡単登録!
    • 権利上の理由により、一部番組がテレビ放送と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
  • 全国のケーブルテレビ
  • ひかりTV
    光回線をテレビに接続して
    視聴するサービス
  • auひかり
    auの光ファイバーをテレビに接続して 視聴するサービス
施設、店舗など法人でゴルフネットワークの
ご利用をご検討中のお客様へ

ゴルフ場や練習場のロビー、ゴルフ用品店、飲食店、スポーツジムや
ホテル客室などで、ゴルフネットワーク法人視聴をぜひご活用ください。