隙のない横綱相撲をみせたスコッティ・シェフラー、ザ・プレーヤーズで連覇と2週連続優勝に挑む
2024年3月14日(木)午前11:52
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フロリダ州にあるベイヒルクラブ&ロッジで開催された「アーノルド・パーマーインビテーショナル presented by マスターカード」は、世界ランク1位のスコッティ・シェフラーが2位に5打差の15アンダーで今季初勝利。連覇を狙う次週開催の「ザ・プレーヤーズチャンピオンシップ」に弾みを付けました。
名門ベイヒルで繰り広げられた熱戦の模様を、ゴルフネットワークで解説を務めたPGAティーチングプロの内藤雄士さんに振り返ってもらいました。
「ベイヒル攻略のお手本」圧巻だった最終日のシェフラー
本当に強かった、というのが正直なところです。世界ランク1位のシェフラーがトップタイでスタートということで、松山英樹選手も序盤からバーディーを取っていかないと追いつけないと思っていたのですが、世界ランク1位は隙を見せることがありませんでした。今日のシェフラーにはなかなか勝てる選手はいないんじゃないかとさえ思いました。
シェフラーのプレーを細かく分析すると、1番パー4でバーディーを取ったのが大きなポイントだったと思います。ベイヒルの場合、出だしの1、2番が難しく、3、4番が少し易しくなっていて、この1、2番をどう切り抜けていくかが18ホールの組み立てをする中で1つのキーポイントになるわけですが、1番でバーディーを取ったことで、優勝までの道筋が頭の中でイメージできたんじゃないかと思います。
最終日は、3日目に比べると風は弱かったんですが、風向きがいつもとは逆だったし、グリーンのスピードも出ていたので、ショットが少しでも大きくなると、奥にこぼれてノーチャンス。また、手前ギリギリだとバンカーにつかまってしまうなど、攻めると罠にはまるという状況だったんですが、シェフラーは安全に攻めていききながら、カップが狙えるラインにボールを運んで、取るべきところではしっかり取るというゴルフ。こういう攻め方ができれば大きく崩れることはないし、最終日のように長めのパッドが決まればバーディーが量産できるという、ベイヒル攻略のお手本のようなゴルフだったと思います。
彼にとっては1年ぶりの優勝(昨年の「ザ・プレーヤーズチャンピオンシップ」以来)で、久々という感じがしますが、昨シーズンは23試合に出場して、そのうちトップ10が17回。今シーズンは5試合出て4試合でトップ10入り。優勝がなかっただけで、常に上位に名を連ねていました。今年の「ザ・プレーヤーズ」では連覇を狙うわけですが、「アーノルド・パーマー」で勝てたということで、さらに弾みが付いたはず。トーナメントをリードする存在になることは間違いないでしょう。
第5のメジャー「ザ・プレーヤーズ」では松山英樹、久常涼にも期待
一方、腰の痛みを抱えながら参戦した松山選手も、大いに健闘したと思います。ただ残念だったのは、最終日の18番のパーパットが入らなかったこと。あれが入っていればトップ10(8位タイ)に入り、気分良くホールアウトできたんじゃないかと。それと8番ホールでの「お先に」のパーパットが外れてしまったのも、悔いが残るプレーになりました。
早いうちにシェフラーに追いつこうという思いで、出だしから力のこもったショットを打っていたわけですが、バーディーパッドがなかなか決まらず、フラストレーションが溜まっていた中でのあのパット。雑に打ったわけではないと思いますが、本人のコメントにもあった通り、ボギーにしてしまったことでいい流れをつかむことができませんでした。ただ、その中でも本当に我慢をして、トップ集団に残れるだけのゴルフができているというのは素晴らしい点。この悔しさを次週の「ザ・プレーヤーズ」にぶつけてほしいと思います。
特に、「ザ・プレーヤーズ」に関しては、2020年に幻のトップ(初日トップに立ったが2日目以降コロナウィルスの影響で中止)を経験しているだけに、その悔しさもぶつけてほしいところ。TPCソーグラスで「63」をマークしたということは、相性も悪くないと思うので、期待できると思います。
また、松山選手とともに出場を予定している久常涼選手も注目です。久常選手のことは国内の下部ツアーで戦っているころから見ていて、その当時からゴルフの上手さはもちろん、気持ちが強い選手だということを感じていたのですが、そのいい部分をPGAツアーでも遺憾なく発揮しているようです。
「アーノルド・パーマー」と同日程で行われた「プエルトリコオープン」では15位タイという好成績。第5のメジャーといわれる「ザ・プレーヤーズ」となると、出場選手のレベルも格段に上がるので厳しい戦いになるとは思いますが、彼のゴルフの上手さと気持ちの強さを持ってすれば、一段高いフィールドでもやれるんじゃないかと。大いに期待したいと思います。
(写真:Getty Images)