海外男子
突風に硬いグリーンのコロニアルで我慢比べの最終日を凌いだベン・グリフィン【吉田洋一郎のPGAツアーアフタートーク】
2025年5月29日(木)午後0:14

- この記事のキーワード
テキサス州のコロニアルカントリークラブで開催された「チャールズシュワブ チャレンジ」。最終日は強風の影響で各選手がスコアメイクに苦しむ中、ベン・グリフィンが首位に1打差の12アンダーで優勝を飾りました。
グリフィンは、ダブルス戦の「チューリッヒクラシック オブ ニューオーリンズ」に次いで今季2勝目。日本人選手は、久常涼選手が健闘して通算7アンダーの6位タイでフィニッシュ。急遽出場を決めた松山英樹選手は2アンダーの36位タイに終わりました。同大会の模様を、ゴルフネットワークで解説を務めたゴルフスイングコンサルタント、吉田洋一郎さんに振り返ってもらいました。
さらに付け加えれば、その風の影響もあったのか、グリーンが硬くてボールが止まってくれない。例えば4番は、そもそも250ヤードという長いパー3なのですが、グリーンに着弾すると必ず奥まで転がってしまうということで、手前で2~3バウンドさせてピンに近づけるという攻め方をしている選手がたくさんいました。
おまけに各ホールともフェアウェイが狭く、ラフに入るとスピンが効かないので余計にボールが止まらなくなる。とにかくフェアウェイをキープして、アイアンショットでピンポイントに落とすというハイレベルなゴルフが要求される状況の中で、最終日はまさに“我慢比べ”となりました。その中で頂点に立ったのが、今季、「チューリッヒクラシック」でPGAツアー初勝利を挙げたベン・グリフィンでした。
勝負を分けたのは、14番と15番のパーパット。13番がボギーとなり、そのままズルズルといきそうになるところを、14番では3m前後を決めきって何とか耐えた。このパーパットが、グリフィンと激しいデッドヒートを繰り広げていたマティ・シュミッドにもプレッシャーを与えることになったような気がします。
また、18番のアプローチも素晴らしかった。ボールがあと数センチでバンカーというところに止まったため、両足をバンカーに入れ、クラブのシャフトを握って打ったのですが、これがピンから1mのところに。シュミッドがまさかのチップインバーディーを決めたことで、ウィニングパットはプレッシャーがかかったと思いますが、それまで押し出して外すことが多かった下りのスライスを見事に沈めました。
まずは7アンダーの6位タイと、今季4度目のトップ10入りを果たした久常選手について。初日、2日目は素晴らしいプレーで5位タイに。ところが3日目の13番パー3でスリーパットをしてから崩れてしまいました。それを引きずったのか、最終日も前半は流れをつかめなかったのですが、バックナインに入ってから息を吹き返し、3つのバーディーを奪って6位タイまで順位を戻しました。
ただ、本人としては、2日目終了時点での「早く勝ちたい」というコメントにもあったように、優勝しか見えていなかったと思うので、悔しい思いの方が強かったかもしれません。とはいえこの経験が、今後の戦いに生きるはず。現在の調子をキープして、近いうちに優勝を手にして欲しいと思います。
一方、松山選手は、初日、2日目こそ少し手探りというか、調整をしながらのプレーという感じに見えたのですが、3日目以降、ギアを上げたような気がします。全体的にフェアウェイもしっかりキープしていたし、ピンに絡むアイアンショットも数多く見られました。最終日の17番、18番で叩いてしまい、最終的には36位タイでしたが、いいきっかけをつかんだのではないかと思います。
さて、次戦は、ミュアフィールドビレッジゴルフクラブ (オハイオ州)で行われる「ザ・メモリアルトーナメント presented by ワークデイ」。松山選手が最初にPGAツアーで勝った大会でもあるので、松山選手にはぜひ頑張ってもらいたいところです。
注目は、ディフェンディングチャンピオンのスコッティ・シェフラー。「チャールズシュワブ チャレンジ」ではパッティングが不調で、優勝争いに絡むことができませんでしたが、ショットの調子自体は悪くありませんでした。舞台となるミュアフィールドは非常に戦略性が高く、毎回、ショットの精度が高い選手が上位に来ます。そういう点からいっても、シェフラーや松山選手の活躍が期待できそうです。
(写真:Getty Images)
グリフィンは、ダブルス戦の「チューリッヒクラシック オブ ニューオーリンズ」に次いで今季2勝目。日本人選手は、久常涼選手が健闘して通算7アンダーの6位タイでフィニッシュ。急遽出場を決めた松山英樹選手は2アンダーの36位タイに終わりました。同大会の模様を、ゴルフネットワークで解説を務めたゴルフスイングコンサルタント、吉田洋一郎さんに振り返ってもらいました。
耐えきったグリフィンが今季2勝目
初日、2日目はほとんど風が吹かなかったのですが、3日目になると6m前後の風が吹き、さらに最終日は8m以上の強風が吹き荒れるというコンディションになり、各選手とも大いに苦しみました。しかも、コロニアルカントリークラブは木でセパレートされているホールが多いため、その風が読みづらい。ショットのあと、「予想した風ではなかった」と、恨めしそうに空を見上げる選手が多かったような気がします。さらに付け加えれば、その風の影響もあったのか、グリーンが硬くてボールが止まってくれない。例えば4番は、そもそも250ヤードという長いパー3なのですが、グリーンに着弾すると必ず奥まで転がってしまうということで、手前で2~3バウンドさせてピンに近づけるという攻め方をしている選手がたくさんいました。
おまけに各ホールともフェアウェイが狭く、ラフに入るとスピンが効かないので余計にボールが止まらなくなる。とにかくフェアウェイをキープして、アイアンショットでピンポイントに落とすというハイレベルなゴルフが要求される状況の中で、最終日はまさに“我慢比べ”となりました。その中で頂点に立ったのが、今季、「チューリッヒクラシック」でPGAツアー初勝利を挙げたベン・グリフィンでした。
勝負を分けたのは、14番と15番のパーパット。13番がボギーとなり、そのままズルズルといきそうになるところを、14番では3m前後を決めきって何とか耐えた。このパーパットが、グリフィンと激しいデッドヒートを繰り広げていたマティ・シュミッドにもプレッシャーを与えることになったような気がします。
また、18番のアプローチも素晴らしかった。ボールがあと数センチでバンカーというところに止まったため、両足をバンカーに入れ、クラブのシャフトを握って打ったのですが、これがピンから1mのところに。シュミッドがまさかのチップインバーディーを決めたことで、ウィニングパットはプレッシャーがかかったと思いますが、それまで押し出して外すことが多かった下りのスライスを見事に沈めました。
初勝利まであと一歩の久常涼、松山もきっかけを掴んだか
日本人選手は、松山英樹選手、久常涼選手、金谷拓実選手の3人が出場し、松山選手と久常選手が決勝ラウンドに進出しました。まずは7アンダーの6位タイと、今季4度目のトップ10入りを果たした久常選手について。初日、2日目は素晴らしいプレーで5位タイに。ところが3日目の13番パー3でスリーパットをしてから崩れてしまいました。それを引きずったのか、最終日も前半は流れをつかめなかったのですが、バックナインに入ってから息を吹き返し、3つのバーディーを奪って6位タイまで順位を戻しました。
ただ、本人としては、2日目終了時点での「早く勝ちたい」というコメントにもあったように、優勝しか見えていなかったと思うので、悔しい思いの方が強かったかもしれません。とはいえこの経験が、今後の戦いに生きるはず。現在の調子をキープして、近いうちに優勝を手にして欲しいと思います。
一方、松山選手は、初日、2日目こそ少し手探りというか、調整をしながらのプレーという感じに見えたのですが、3日目以降、ギアを上げたような気がします。全体的にフェアウェイもしっかりキープしていたし、ピンに絡むアイアンショットも数多く見られました。最終日の17番、18番で叩いてしまい、最終的には36位タイでしたが、いいきっかけをつかんだのではないかと思います。
さて、次戦は、ミュアフィールドビレッジゴルフクラブ (オハイオ州)で行われる「ザ・メモリアルトーナメント presented by ワークデイ」。松山選手が最初にPGAツアーで勝った大会でもあるので、松山選手にはぜひ頑張ってもらいたいところです。
注目は、ディフェンディングチャンピオンのスコッティ・シェフラー。「チャールズシュワブ チャレンジ」ではパッティングが不調で、優勝争いに絡むことができませんでしたが、ショットの調子自体は悪くありませんでした。舞台となるミュアフィールドは非常に戦略性が高く、毎回、ショットの精度が高い選手が上位に来ます。そういう点からいっても、シェフラーや松山選手の活躍が期待できそうです。
(写真:Getty Images)
関連番組

2025 ザ・メモリアルトーナメント presented by ワークデイ
5月29日(木)~6月1日(日)