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アメリカの歴史を感じたシグネチャーイベントから松山英樹因縁のクエイルホロー開催「全米プロゴルフ選手権」【佐藤信人のPGAツアーアフタートーク】
2025年5月15日(木)午後2:52

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シグネチャーイベント第6戦で、昨季まで「ウェルズファーゴチャンピオンシップ」の名で親しまれていた「トゥルーイストチャンピオンシップ」。今年は、ザ・フィランデルフィアクリケットクラブ ウィッサヒッコンコース(ペンシルベニア州)で開催され、セップ・ストラカ(オーストリア)が2位に2打差の16アンダーで優勝を飾りました。
また、日本人選手で唯一出場していた松山英樹選手は、3日目終了時点で10アンダーの5位に付けていましたが最終日に崩れ、最終的には7アンダーの17位タイでフィニッシュしました。同大会の模様を、ゴルフネットワークで解説を務めた佐藤信人プロに振り返ってもらうとともに、5月15日から開催される「全米プロゴルフ選手権」の展望を語ってもらいました。
さて、優勝したセップ・ストラカは通算4勝目ですが、ライダーカップにも出場しているほか、ここ数年はツアーチャンピオンシップにも出ている実力者。今回もシグネチャーイベントという大きな大会であったにも関わらず、メジャーチャンピオンのシェーン・ラウリー(アイルランド)に対して一歩も引き下がることなく、我慢強いプレーを見せてくれました。
優勝経験豊富な人でも、プレッシャーのかかる局面では少しバタバタしたりするものですが、ストラカにはそういう様子が全く見られなかった。言い換えれば、その辺りがストラカの強みなのでしょう。
一方、ラウリーは優勝にこそ届きませんでしたが、激しい風雨に見舞われた2日目に「65」をマークするなど、全英のような悪天候になるほど強み発揮して大会を盛り上げてくれました。また、今大会では、傾斜に当てて左右に曲げたり、高さを抑えたりといったクリエイティブなショットを数多く披露してくれました。
実は今シーズンが始まる前から、個人的にラウリーとローリー・マキロイ(北アイルランド)には注目していました。理由はいくつかありますが、ラウリーの場合は、今年の全米オープンが、彼が3日目まで首位に立っていた(最終結果は2位タイ)2016年と同じオークモントCCで行われること。
また、全英オープンが、2019年に頂点に立ったロイヤルポートラッシュGCで行われることが主な理由です。一方、マキロイは、地元で行われた2019年の全英オープンで惨敗しているだけに、今年の並々ならぬ意気込みで全英に挑むはず。これらの理由から、今季は2人の年になるような予感がしていたのですが、ここまで2人ともいい流れで来ています。
さて、もう一度試合の方に戻りましょう。勝負が決まったという点でいえば、ラウリーが16番パー3でボギーを叩いてしまったことが原因だったような気がしますが、ストラカが試合の流れをつかんだのは序盤の6番パー4でした。このホール、ダブルボギーになりそうだったのを、何とかボギーでしのいだ。優勝するときというのは、意外とスーパーショットよりも地味なナイスパーなどが勝負の行方を決定付けたりするのですが、ストラカの6番のボギーパットは本当に大きな1打になったと思います。
最終日の悔しい思いや、この大会で見つかった課題を克服して全米プロに入っていくという流れは決して悪くないと思います。特に松山選手の場合、同じクエイルホロ-クラブで行われた2017年の全米プロ(最終日、単独トップでバックナインに入るもジャスティン・トーマスに逆転を許した)のリベンジを期して挑む大会。
このときの悔しさからスイング改造を行い、その後マスターズチャンピオンまで上り詰めたわけですが、まだ借りは返していないという気持ちで臨むはずなので、大いに期待できそうです。私個人としては、前回敗れたトーマスを倒し、覇権を奪うという勝手なストーリーを描いているのですが。
それはともかく、この2人だけでなく、好調のマキロイのほか、スコッティ・シェフラーも調子を上げているし、クエイルホロ-クラブを得意としているザンダー・シャウフェレも優勝争いに食い込んでくるはず。
例年に劣らず、世界のトッププロによる激しい戦いが繰り広げられることは間違いないと思います。また、日本人選手は松山選手以外にも久常涼選手、金谷拓実選手、中島啓太選手が出場予定。彼らの活躍にも期待しましょう。
(写真:Getty Images)
また、日本人選手で唯一出場していた松山英樹選手は、3日目終了時点で10アンダーの5位に付けていましたが最終日に崩れ、最終的には7アンダーの17位タイでフィニッシュしました。同大会の模様を、ゴルフネットワークで解説を務めた佐藤信人プロに振り返ってもらうとともに、5月15日から開催される「全米プロゴルフ選手権」の展望を語ってもらいました。
メジャーチャンピオン相手に臆することなく戦ったストラカ
大会名が変わり、開催コースもクエイルホロ-クラブ(ノースカロライナ州)から、ザ・フィランデルフィアクリケットクラブに変わった今大会。「ゴルフコースなのに、なぜクリケットクラブなの?」と思った人も多かったと思いますが、同コースは、プライベートコースとしてはアメリカで最も歴史が古い由緒あるゴルフ場。随所に歴史の重みが感じられ、そういう点でも存分に楽しませてもらいました。さて、優勝したセップ・ストラカは通算4勝目ですが、ライダーカップにも出場しているほか、ここ数年はツアーチャンピオンシップにも出ている実力者。今回もシグネチャーイベントという大きな大会であったにも関わらず、メジャーチャンピオンのシェーン・ラウリー(アイルランド)に対して一歩も引き下がることなく、我慢強いプレーを見せてくれました。
優勝経験豊富な人でも、プレッシャーのかかる局面では少しバタバタしたりするものですが、ストラカにはそういう様子が全く見られなかった。言い換えれば、その辺りがストラカの強みなのでしょう。
一方、ラウリーは優勝にこそ届きませんでしたが、激しい風雨に見舞われた2日目に「65」をマークするなど、全英のような悪天候になるほど強み発揮して大会を盛り上げてくれました。また、今大会では、傾斜に当てて左右に曲げたり、高さを抑えたりといったクリエイティブなショットを数多く披露してくれました。
実は今シーズンが始まる前から、個人的にラウリーとローリー・マキロイ(北アイルランド)には注目していました。理由はいくつかありますが、ラウリーの場合は、今年の全米オープンが、彼が3日目まで首位に立っていた(最終結果は2位タイ)2016年と同じオークモントCCで行われること。
また、全英オープンが、2019年に頂点に立ったロイヤルポートラッシュGCで行われることが主な理由です。一方、マキロイは、地元で行われた2019年の全英オープンで惨敗しているだけに、今年の並々ならぬ意気込みで全英に挑むはず。これらの理由から、今季は2人の年になるような予感がしていたのですが、ここまで2人ともいい流れで来ています。
さて、もう一度試合の方に戻りましょう。勝負が決まったという点でいえば、ラウリーが16番パー3でボギーを叩いてしまったことが原因だったような気がしますが、ストラカが試合の流れをつかんだのは序盤の6番パー4でした。このホール、ダブルボギーになりそうだったのを、何とかボギーでしのいだ。優勝するときというのは、意外とスーパーショットよりも地味なナイスパーなどが勝負の行方を決定付けたりするのですが、ストラカの6番のボギーパットは本当に大きな1打になったと思います。
2017年クエイルホローのリベンジに期待したい松山英樹
トータル7アンダー、17位タイでフィニッシュした松山英樹選手に関しては、“いい”“悪い”の繰り返しでした。“悪い”が出た最終日は3オーバーと残念な1日になってしまいましたが、マスターズが終わってから最初の試合で、3日目終了時点で首位と4打差の5位に付けたというのは明るい材料だと思います。最終日の悔しい思いや、この大会で見つかった課題を克服して全米プロに入っていくという流れは決して悪くないと思います。特に松山選手の場合、同じクエイルホロ-クラブで行われた2017年の全米プロ(最終日、単独トップでバックナインに入るもジャスティン・トーマスに逆転を許した)のリベンジを期して挑む大会。
このときの悔しさからスイング改造を行い、その後マスターズチャンピオンまで上り詰めたわけですが、まだ借りは返していないという気持ちで臨むはずなので、大いに期待できそうです。私個人としては、前回敗れたトーマスを倒し、覇権を奪うという勝手なストーリーを描いているのですが。
それはともかく、この2人だけでなく、好調のマキロイのほか、スコッティ・シェフラーも調子を上げているし、クエイルホロ-クラブを得意としているザンダー・シャウフェレも優勝争いに食い込んでくるはず。
例年に劣らず、世界のトッププロによる激しい戦いが繰り広げられることは間違いないと思います。また、日本人選手は松山選手以外にも久常涼選手、金谷拓実選手、中島啓太選手が出場予定。彼らの活躍にも期待しましょう。
(写真:Getty Images)
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5月15日(木)~5月18日(日)