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“オールタイム・グッドガイ”ハリス・イングリッシュが我慢大会を制したファーマーズインシュランスオープン【佐藤信人のPGAツアーアフタートーク】
2025年1月30日(木)午前11:26
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カリフォルニア州サンディエゴのトーリーパインズゴルフコースで開催されたファーマーズインシュランスオープン。厳しいコースに全選手が手を焼く中、35歳のハリス・イングリッシュが通算8アンダーでツアー通算5勝目を飾りました。
日本人選手は、松山英樹選手、久常涼選手、星野陸也選手、金谷拓実選手、大西魁斗選手が出場し、松山選手のみ予選通過。結果は、32位タイ(通算1オーバー)と、松山選手にとっては平凡な成績でしたが、しぶといゴルフは健在でした。同大会の模様をゴルフネットワークで解説を務めた佐藤信人プロに振り返ってもらいました。
イングリッシュは、ジョージア大学時代からその名を馳せた選手で、2011年にプロ入りして2年後には優勝するなど着実に階段を上り、2021年には年間2勝。ライダーカップのメンバーにもなって、トップ選手の仲間入りを果たしました。
ところが、その後、股関節を痛めて長期離脱。手術後、ツアーに戻ってきましたが、結果が出ない時期もありました。そんな中で、我慢強く戦っていた。思えば、“我慢強い”というのが彼の最大の武器なのかもしれません。
イングリッシュで思い出すのは、松山選手が以前インタビューで、「一緒にプレーしやすい選手は誰ですか?」と聞かれたときに、イングリッシュの名前を挙げていたこと。その理由は語っていなかったのですが、今大会で現地の放送局が、彼のことを“オールタイムグッドガイ(すごくいい人)”と評していました。温厚で、感情の起伏が少ないところが、松山選手も気に入っていたんじゃないかと思います。
鍵となったホールはいくつもあったのですが、最も大きかったのは12番パー4だったような気がします。ティーショットをラフに入れて、セカンドは出すだけでグリーンに届かず。それでも何とかパーをセーブした。最終日はティーショットが乱れがちで、フェアウェイキープもほとんど出来ていなかったイングリッシュですが、あの12番のパーセーブで少し良い流れをつかんだかなという気がします。
2位になったサム・スティーブンスも最終日は良いプレー(通算4アンダー)をしていました。彼は、2年前のバレロテキサスオープンで優勝争いした時の印象があって、その時も結果的には2位だったのですが、ハートの強い選手だということを感じました。飛距離も出るし、これから楽しみな選手です。
最終日の18番でイーグルを取ればプレーオフというところまで健闘したアンドリュー・ノバックも素晴らしい選手です。根がポジティブで、苦境に陥ってもガタガタと崩れることはない。イングリッシュ同様、じわじわ強くなってきた選手で、学生時代は上級生になってから実力を発揮し、プロ転向後も下部ツアーで3~4年腕を磨き、PGAツアーも今年で4年目。本人も、ゆっくりと進化していることを自覚しているようなことを言っていました。そのスピード感からすると、そろそろ頭角を表すころだと思います。
そんな“諦めないすごさ”をしっかり見せてくれたのが今週の松山選手。インからスタートした2日目、前半2オーバーで後半もボギーが続き、伸ばしたかった5番パー5と7番パー4でもバーディを奪えず。じわじわとコーナーに追い詰められていたのですが、8番パー3でショートサイドからチップインバーディ。9番パー5も3打目をピタッと寄せてバーディを奪取。あの場面であのショットができるのは、やはり一流の証でしょう。
次戦は、シグネチャーイベント2戦目のAT&Tペブルビーチプロアマ。ザンダー・シャウフェレは欠場するようですが、怪我明けのスコッティ・シェフラーやローリー・マキロイは出場予定。ジョーダン・スピースもホストプロとして出てくるようですし、トミー・フリートウッドら欧州勢も参戦してくる。松山選手を含め、ワールドランキング上位者が集結するので、間違いなく面白い試合になるはず。大いに楽しみたいと思います。
(写真:Getty Images)
日本人選手は、松山英樹選手、久常涼選手、星野陸也選手、金谷拓実選手、大西魁斗選手が出場し、松山選手のみ予選通過。結果は、32位タイ(通算1オーバー)と、松山選手にとっては平凡な成績でしたが、しぶといゴルフは健在でした。同大会の模様をゴルフネットワークで解説を務めた佐藤信人プロに振り返ってもらいました。
松山選手が「一緒にプレーしやすい」イングリッシュ
最終日は、まるで全米オープンを見ているかのような我慢大会になりました。優勝したハリス・イングリッシュは、過去、全米オープンでも3回トップ10に入っていて、トーリーパインズで行われた2021年の全米オープンでは3位。コースとの相性も良いのでしょう。華やかなスーパーショットが出にくいコース&コンディションでしたが、勝ち方も玄人好みの“しぶい”ものでした。イングリッシュは、ジョージア大学時代からその名を馳せた選手で、2011年にプロ入りして2年後には優勝するなど着実に階段を上り、2021年には年間2勝。ライダーカップのメンバーにもなって、トップ選手の仲間入りを果たしました。
ところが、その後、股関節を痛めて長期離脱。手術後、ツアーに戻ってきましたが、結果が出ない時期もありました。そんな中で、我慢強く戦っていた。思えば、“我慢強い”というのが彼の最大の武器なのかもしれません。
イングリッシュで思い出すのは、松山選手が以前インタビューで、「一緒にプレーしやすい選手は誰ですか?」と聞かれたときに、イングリッシュの名前を挙げていたこと。その理由は語っていなかったのですが、今大会で現地の放送局が、彼のことを“オールタイムグッドガイ(すごくいい人)”と評していました。温厚で、感情の起伏が少ないところが、松山選手も気に入っていたんじゃないかと思います。
鍵となったホールはいくつもあったのですが、最も大きかったのは12番パー4だったような気がします。ティーショットをラフに入れて、セカンドは出すだけでグリーンに届かず。それでも何とかパーをセーブした。最終日はティーショットが乱れがちで、フェアウェイキープもほとんど出来ていなかったイングリッシュですが、あの12番のパーセーブで少し良い流れをつかんだかなという気がします。
2位になったサム・スティーブンスも最終日は良いプレー(通算4アンダー)をしていました。彼は、2年前のバレロテキサスオープンで優勝争いした時の印象があって、その時も結果的には2位だったのですが、ハートの強い選手だということを感じました。飛距離も出るし、これから楽しみな選手です。
最終日の18番でイーグルを取ればプレーオフというところまで健闘したアンドリュー・ノバックも素晴らしい選手です。根がポジティブで、苦境に陥ってもガタガタと崩れることはない。イングリッシュ同様、じわじわ強くなってきた選手で、学生時代は上級生になってから実力を発揮し、プロ転向後も下部ツアーで3~4年腕を磨き、PGAツアーも今年で4年目。本人も、ゆっくりと進化していることを自覚しているようなことを言っていました。そのスピード感からすると、そろそろ頭角を表すころだと思います。
諦めないすごさ”を見せてくれた今週の松山選手
日本人選手は、5人が出場。2日目の風にやられ、松山選手以外は決勝ラウンドに進めませんでしたが、“惜しい”予選落ち。また頑張って欲しいですね。唯一、予選を通過した松山選手は、最終的に32位タイ。結果だけ見ると、平凡というか本人も納得していないであろう成績でしたが、トッププレーヤーの凄さを随所で見せてくれました。トッププレーヤーというのは、基本的に優勝を目指して戦っているわけですが、例えそれが厳しいと分かっていても、予選さえ通過すれば週末に優勝争いに加わる可能性も出てきますからね。そんな“諦めないすごさ”をしっかり見せてくれたのが今週の松山選手。インからスタートした2日目、前半2オーバーで後半もボギーが続き、伸ばしたかった5番パー5と7番パー4でもバーディを奪えず。じわじわとコーナーに追い詰められていたのですが、8番パー3でショートサイドからチップインバーディ。9番パー5も3打目をピタッと寄せてバーディを奪取。あの場面であのショットができるのは、やはり一流の証でしょう。
次戦は、シグネチャーイベント2戦目のAT&Tペブルビーチプロアマ。ザンダー・シャウフェレは欠場するようですが、怪我明けのスコッティ・シェフラーやローリー・マキロイは出場予定。ジョーダン・スピースもホストプロとして出てくるようですし、トミー・フリートウッドら欧州勢も参戦してくる。松山選手を含め、ワールドランキング上位者が集結するので、間違いなく面白い試合になるはず。大いに楽しみたいと思います。
(写真:Getty Images)
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