海外男子
4年半ぶりの頂点、ガッツポーズではなく安堵の表情を浮かべたリッキー・ファウラー
2023年7月6日(木)午後2:48
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米ミシガン州のデトロイトGCで開催されたロケットモーゲージクラシック(6月29日~7月2日)は、リッキー・ファウラーが、アダム・ハドウィン、コリン・モリカワとの三つ巴のプレーオフを制し、実に4年半振りのを優勝を飾りました。最後までもつれた同大会を、CSゴルフネットワークで中継解説を務めたプロゴルファー・佐藤信人さんに振り返ってもらいました。
リッキー・ファウラーとアダム・ハドウィン、コリン・モリカワという3人のプレーオフ。優勝に飢えているという点では同じような境遇の3人の戦いになったことで、非常に見応えがありました。その中で抜け出したのが、4年半優勝から遠ざかっていたファウラー。勝利を決めた瞬間、ガッツポーズではなく、安堵の表情を浮かべたのが実に印象的でした。
その表情が示していたとおり、よくぞ這い上がってきたという感じです。シーズンが始まる前はワールドランキングが200位近くまで落ち、まさにどん底状態。昨秋から、過去に教えを乞うていたブッチ・ハーモンに再び指導を受けるようになり、少し調子が上がってきたようにみえましたが、その後も何度も優勝争いに敗れ、試行錯誤を繰り返していたので、最後の最後まで安心できませんでした。
最終日も、「またダメかな」という空気が流れていましたが、大会スポンサーのロケットモーゲージ契約プロということもあって、会場全体がファウラーを後押し。その声援に見事に応えた形になりました。
私自身もファウラーを応援しながら解説していたのですが(笑)、単独トップで最終日を迎え、前半のプレーは隙なしの33。フェアウェイを一度も外さず、グリーンも一度外したぐらい。にもかかわらず、後ろからはハドウィンとモリカワがひたひた追いかけてきて、私も含めファウラーを応援する人は不安を感じていたと思います。
そんな嫌な予感が的中し、バック9に入ってからはティーショットが散らばりだして、後半はフェアウェイキープが2回に止まりました。振り返ってみると、運も味方に付けたようなところがありました。例えば、72ホール目のティーショットがファーストカットで止まったこと。また、プレーオフのティーショットを大きく曲げたのに、比較的いいライにドロップできたこと。もちろん素晴らしいゴルフをしていましたが、ちょっとした運もあったように思います。もともと人気のあるファウラーですが、苦しい経験をした選手が活躍すると、ゴルフ界自体も盛り上がるような気がします。
ちょっと先の話になりますが、「全英オープン」でファウラーがどんなプレーをするのかが今からとても楽しみです。ファウラーのように久しぶりに優勝をすると、ホッとしていったん止まってしまうこともあるし、勢いに乗って勝ち始めるケースもある。ファウラーはどちらなのか。少し休みを取ったあと「スコティッシュオープン」、「全英オープン」に挑むそうなのでしっかり見届けたいと思います。
また全英では、モリカワのプレーにも注目です。今年は「セントリートーナメントオブチャンピオンズ」での大逆転負けから始まったわけですが、昨年あたりから本来の持ち球であるフェードが上手く打てないと悩んでいたようです。ところが、ロケットモーゲージのプロアマのあとに何かをつかんだとコメント。その言葉通り、最終日のティーショットはほぼ完璧でした。フェアウェイの左コーナーからフェードボールでど真ん中に運ぶという素晴らしいショットを連発していました。今回残念ながら敗れてしまいましたが、何かをつかみ、さらに優勝争いをしたということで本来のモリカワが戻ってきそうな気がします。
松山英樹選手にも少し触れておきましょう。ロケットモーゲージは予選落ちをしましたが、あれだけの選手なので、トンネルの出口がすぐ近くにあるはずです。これまでも出口が見つかったと思ったら、また引き戻されてというのを繰り返してきているので、私自身はそんなには心配していません。むしろ、この予選落ちが火をつけてくれないかなと。期待も込めて、全英オープンでの活躍を楽しみにしています。
今大会40位タイだった小平智選手は、ショット、パットともに好調の様子。トリプル、ダボを叩いた3日目のように浮き沈みが激しいところはありますが、全体的に調子はいいと思います。来週「ジョンディアクラシック」への出場を予定していますが、ジョンディアは3回出ていて予選落ち、予選落ち、30位タイときている。1回とはいえ予選を通過したことで、そのコースが見えてきて、急に相性が良くなるというケースをこれまで何度も見てきました。そういう意味で、今週の小平選手には大いに期待したいと思います。
(写真:Getty Images)
全英オープンでも期待大!優勝したファウラーと惜敗のモリカワ
リッキー・ファウラーとアダム・ハドウィン、コリン・モリカワという3人のプレーオフ。優勝に飢えているという点では同じような境遇の3人の戦いになったことで、非常に見応えがありました。その中で抜け出したのが、4年半優勝から遠ざかっていたファウラー。勝利を決めた瞬間、ガッツポーズではなく、安堵の表情を浮かべたのが実に印象的でした。
その表情が示していたとおり、よくぞ這い上がってきたという感じです。シーズンが始まる前はワールドランキングが200位近くまで落ち、まさにどん底状態。昨秋から、過去に教えを乞うていたブッチ・ハーモンに再び指導を受けるようになり、少し調子が上がってきたようにみえましたが、その後も何度も優勝争いに敗れ、試行錯誤を繰り返していたので、最後の最後まで安心できませんでした。
最終日も、「またダメかな」という空気が流れていましたが、大会スポンサーのロケットモーゲージ契約プロということもあって、会場全体がファウラーを後押し。その声援に見事に応えた形になりました。
私自身もファウラーを応援しながら解説していたのですが(笑)、単独トップで最終日を迎え、前半のプレーは隙なしの33。フェアウェイを一度も外さず、グリーンも一度外したぐらい。にもかかわらず、後ろからはハドウィンとモリカワがひたひた追いかけてきて、私も含めファウラーを応援する人は不安を感じていたと思います。
そんな嫌な予感が的中し、バック9に入ってからはティーショットが散らばりだして、後半はフェアウェイキープが2回に止まりました。振り返ってみると、運も味方に付けたようなところがありました。例えば、72ホール目のティーショットがファーストカットで止まったこと。また、プレーオフのティーショットを大きく曲げたのに、比較的いいライにドロップできたこと。もちろん素晴らしいゴルフをしていましたが、ちょっとした運もあったように思います。もともと人気のあるファウラーですが、苦しい経験をした選手が活躍すると、ゴルフ界自体も盛り上がるような気がします。
ちょっと先の話になりますが、「全英オープン」でファウラーがどんなプレーをするのかが今からとても楽しみです。ファウラーのように久しぶりに優勝をすると、ホッとしていったん止まってしまうこともあるし、勢いに乗って勝ち始めるケースもある。ファウラーはどちらなのか。少し休みを取ったあと「スコティッシュオープン」、「全英オープン」に挑むそうなのでしっかり見届けたいと思います。
また全英では、モリカワのプレーにも注目です。今年は「セントリートーナメントオブチャンピオンズ」での大逆転負けから始まったわけですが、昨年あたりから本来の持ち球であるフェードが上手く打てないと悩んでいたようです。ところが、ロケットモーゲージのプロアマのあとに何かをつかんだとコメント。その言葉通り、最終日のティーショットはほぼ完璧でした。フェアウェイの左コーナーからフェードボールでど真ん中に運ぶという素晴らしいショットを連発していました。今回残念ながら敗れてしまいましたが、何かをつかみ、さらに優勝争いをしたということで本来のモリカワが戻ってきそうな気がします。
松山英樹選手にも少し触れておきましょう。ロケットモーゲージは予選落ちをしましたが、あれだけの選手なので、トンネルの出口がすぐ近くにあるはずです。これまでも出口が見つかったと思ったら、また引き戻されてというのを繰り返してきているので、私自身はそんなには心配していません。むしろ、この予選落ちが火をつけてくれないかなと。期待も込めて、全英オープンでの活躍を楽しみにしています。
今大会40位タイだった小平智選手は、ショット、パットともに好調の様子。トリプル、ダボを叩いた3日目のように浮き沈みが激しいところはありますが、全体的に調子はいいと思います。来週「ジョンディアクラシック」への出場を予定していますが、ジョンディアは3回出ていて予選落ち、予選落ち、30位タイときている。1回とはいえ予選を通過したことで、そのコースが見えてきて、急に相性が良くなるというケースをこれまで何度も見てきました。そういう意味で、今週の小平選手には大いに期待したいと思います。
(写真:Getty Images)
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6月29日(木)~7月2日(日)