120回目となる歴史と伝統のアマチュア競技最高峰「全米アマチュアゴルフ選手権」は25年ぶりにリンクスコースで開催
2020年8月18日(火)午前11:40
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1885年から続いている第120回目の全米アマチュアゴルフ選手権が、米国北西部オレゴン州にあるバンドンデューンズで行われました。
バンドンデューンズは20年前に開場したシーサイドリンクスコース。強風が吹き荒れるリンクスランドのタフなコンディションの中で大会を制したのは、タイラー・ストラファシ(ジョージア工科大学4年、22歳)。来年度のメジャー3競技(マスターズ、全米オープン、全英オープン)の出場権を獲得しました。
コロナの影響で予選会は実施されず、出場人数も制限
全米アマチュア選手権は通常ハンディキャップ2以下の選手を対象にしたオープン競技です。
昨年は7191人のエントリーがあり、北米96会場で36ホールの予選を実施して本戦出場の312名が決まりましたが、今年は新型コロナウィルス感染症の影響で予選会は全てキャンセル。
出場する選手選考は前年度の成績や世界アマチュアランキング上位選手を対象とし、通常よりも少ない264人が会場に集まりました。
現場ではPCR検査を実施、陽性選手2名は出場取り消しも
試合が開催されるオレゴン州からの依頼もあり、大会競技は観客なしで実施されました。
出場者は帯同キャディーを含めたゲストは2人のみと限定され、会場に訪れるには10日以内に受けたコロナウィルス陰性証明書を必要とされ、到着時には現場でPCR検査を受け、陰性証明がでるまでクラブハウス内に入れないという設定をし、クラブハウス内は全員マスクをつけることが義務付けされていました。
USGA(全米ゴルフ協会)関係者、コース関係者、テレビを含むメディア関連者を合わせると、総勢約1400人が検査を受けていたそう。
残念なことに選手の中では2人が陽性を示し、大会に出場できませんした。そのうちの1人は昨年大会で準決勝まで進んだ実力者、南部ミシシッピ州から約4000キロをなんと車で移動をしてきたのに陽性結果ということを知らされがっかり。キャディーを務める予定だったお父さんと一緒に会場を去っていきました。
注目の日本勢は在米留学生が中心、金谷拓実選手は出場せず
現在世界ランク1位の金谷拓美(東北福祉大学)は、昨年全米アマチュアに参戦しマッチプレー2回戦で敗退しましたが、今年はJGA(日本ゴルフ協会)ナショナルチームが派遣実施できないという決断を下し、出場を見送っていました。
大会に出場したのは米大学に留学する5人の日本人選手とにルーツを持つ米国籍ジュニア選手1人でした。
大会形式は2つのコースを使用してのストロークプレー36ホール競技で出場264名からマッチプレー進出64名に絞られます。マッチプレーに進める事ができたのは1オーバーまでの61名とプレーオフの末に勝ち上がった2オーバーの選手3名。
日本人選手は下記の結果で残念ながらマッチプレーには進む事ができませんでした。
大西魁斗(南カリフォルニア大) 5オーバー(71-77)
伊藤ブレント彰(ミシガン大) 5オーバー(73-75)
青島賢吾(カリフォルニア大ロサンゼルス校) 6オーバー(75-74)
欧陽子龍(オクラホマ州立大) 11オーバー(76-78)
呉司聡(州立東テネシー大) 11オーバー(79-75)
マッチプレーに進出した中で最年少の選手はケリー・チン(米国)。ミドルネームはカガヤ(輝)というケリーのお母さんは沖縄出身の日本人(英子さん)。
秋からは高校3年生、来年は名門デューク大に進学予定のケリー君は、頑張って日本語でインタビューに答えてくれてマッチプレーへの意気込みを話してくれました。
そのケリー君はマッチプレー1回戦で優勝を果たしたにストラファシに4アンド2で敗れました。
開催コース・バンドンデューンズリゾートはゴルファーのパラダイス
今回全米アマチュア選手権の競技で使用されたのは、バンドンデューンズリゾートのバンドンデューンズ(BD)コースとバンドントレイルスの2コース。BDコースは20年前にスコットランド出身のデビッド・マクレイ・キッド氏が設計した真のリンクスコースです。
夏の時期に激しく吹き荒れる海岸沿いの北風に加えて、地面の固さはトップアマ選手達がこれまで経験したことがない難しい要素となり苦しめられました。
1995年にタイガー・ウッズが自身2度目の全米アマチュアを制覇した時は東海岸のリンクスコース・ニューポートCCでしたが、過去の120回の歴史で全米アマチュアがリンクスコースで開催されたのはこの2コースのみです。
25年振りのリンクスコースでマッチプレー競技開催は無観客だったのものの、連日5日放送したテレビ中継では全世界のゴルフファンから絶賛されていました。
ゴルフを愛する人々が訪れるというバンドンデューンズはゴルファーズパラダイス。先月5つめのコース(シープランチ)が開場されました。
5コース以外にもパー3のコースやパッティング専用コース、打ち放題のドライビングレンジや練習コースなどどのレベルのゴルファーでも楽しめるようになっています。
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来年の大会は名門オークモントCC
2021年全米アマチュア選手権は過去9回の全米オープンが開催されている名門オークモントCCです。世界アマチュアランク上位につける米澤蓮(東北福祉大)や中島啓太(日体大)が出場濃厚なので、活躍が楽しみですね。
文:アンディ和田/在米ゴルフアナリスト
写真:Getty Images