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「来月またメジャーがあればいいのに」タイガー・ウッズの復活に湧いた第100回全米プロゴルフ選手権を振り返る
2018年8月24日(金)午後1:55
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ブルックス・ケプカのメジャー3勝目で幕を閉じた第100回全米プロゴルフ選手権。しかし見事な優勝を飾ったケプカには申し訳ないですが、最終日バックナインまで優勝争いに絡んできたタイガー・ウッズに、ベルリーブCCのギャラリーも世界中のテレビ視聴者も釘付けになり熱狂したことも間違いありません。CS放送「ゴルフネットワーク」で同大会の中継解説を務めた佐藤信人プロと内藤雄士ツアープロコーチが、松山英樹選手の全米プロを振り返る番組「松山英樹をみた証言〜全米プロ編〜」の本編で収まりきらなかった白熱の最終日優勝争いを振り返りました。
今大会のコースであるベルリーブCCは、当初から「フェアウェイキープが絶対」といわれており、実際各選手のスタッツをみると大半はそのとおりでしたが、この日のタイガーは例外でした。内藤コーチは「(ティーショットがフェアウェイにいかないので)優勝争いから脱落すると思っていましたが、タイガーは違いましたね」とそのパフォーマンスに驚嘆。佐藤プロもティーショットを左に曲げた9番について「タイガーはOBだと思って暫定球ををとりに行こうとしていたんですよ。しかしギャラリーのど真ん中にいって、そこから素晴らしいフックボールで傾斜にあててバーディ。前半10パットですよ」と舌を巻いていました。
タイガーは後半も追撃の手を緩めることなく、12番、13番で連続バーディ。サンデーバックナインでの“タイガー・チャージ“を見せますが、14番で4mのパーパットがカップをリップして痛恨のボギー。最終組のケプカとアダム・スコットもスコアを伸ばしているなか、優勝争いから一歩後退してしまいます。しかし続く14番パー4では164ヤードのセカンドを30cmほどのベタピンにつけるスーパーショット。最終18番もバーディフィニッシュをみせ、大歓声のなかクラブハウスリーダーとしてホールアウトしました。
一時はアダム・スコットに並ばれる時間もありましたが、15番、16番の連続バーディで突き放し、2位に2打差をつけて迎えた最終ホール。アダム・スコットのティーショットは大きく左に曲げてパーオンならず。対してケプカは5mのバーディチャンスにつけ、勝利をほぼ手中に収めます。
そのバーディパット、ケプカはタップインの距離に寄せますが、マークをせず「お先に」をしてホールアウトしました。後のインタビューでケプカは、マークすると4mのパーパットが残ったアダム・スコットのラインの視界に入るので、邪魔したくなかったとコメントしています。
タイガーチャージに湧く大熱狂のフィールドのなか、「ここのギャラリーはタイガーの状況を教えてくれる」とジョークで答えることができる冷静さとプレーの安定感、そして相手を思いやる優しい心を持ったブルックス・ケプカは、第100回という節目の大会にふさわしいチャンピオンでした。
内藤コーチは「タイガーがニコリともせずバーディ獲っている様子に、メジャーを狙っている思いが伝わってきた」とコメント、佐藤プロも「また来月メジャーがあればいいのに、あと240日以上待たないといけない」と、世界中のゴルフファンの思いを代弁していました。
来年からは全米プロのスケジュールが5月開催に変わり、4月マスターズ、5月全米プロ、6月全米オープン、7月全英オープンと4カ月連続で続いていくことになります。タイガー不在の間に頭角を表してきたブルックス・ケプカやジャスティン・トーマス、ジョーダン・スピースといった若手世代が台頭するなか、タイガーのメジャー優勝という「完全復活」というシナリオが待っているのか、2019年のメジャーが今から本当に楽しみです。
(写真提供:Getty Images)
前半9ホールのフェアウェイヒットは"0%" 解説者の想像を超えたタイガー
2008年トーレパインズでの全米オープン以来となるメジャー優勝がかかったタイガーは、最終組の2つ前ゲーリー・ウッドランドとのペアリングでスタートします。最終日前半9ホールのフェアウェイヒットはなんと“0%“。しかし抜群のアイアン精度でリカバリーを見せて4つのバーディを奪います。今大会のコースであるベルリーブCCは、当初から「フェアウェイキープが絶対」といわれており、実際各選手のスタッツをみると大半はそのとおりでしたが、この日のタイガーは例外でした。内藤コーチは「(ティーショットがフェアウェイにいかないので)優勝争いから脱落すると思っていましたが、タイガーは違いましたね」とそのパフォーマンスに驚嘆。佐藤プロもティーショットを左に曲げた9番について「タイガーはOBだと思って暫定球ををとりに行こうとしていたんですよ。しかしギャラリーのど真ん中にいって、そこから素晴らしいフックボールで傾斜にあててバーディ。前半10パットですよ」と舌を巻いていました。
タイガーは後半も追撃の手を緩めることなく、12番、13番で連続バーディ。サンデーバックナインでの“タイガー・チャージ“を見せますが、14番で4mのパーパットがカップをリップして痛恨のボギー。最終組のケプカとアダム・スコットもスコアを伸ばしているなか、優勝争いから一歩後退してしまいます。しかし続く14番パー4では164ヤードのセカンドを30cmほどのベタピンにつけるスーパーショット。最終18番もバーディフィニッシュをみせ、大歓声のなかクラブハウスリーダーとしてホールアウトしました。
メジャーでの驚異的な安定感と相手を思う優しさをみせたブルックス・ケプカ
一方、最終組のブルックス・ケプカはアダム・スコットとのペアリング。スタートホールはティーショット、セカンド、パットをすべて完璧なプレーをみせてバーディスタートしますが、4番、5番で連続のボギー。不穏な前半となります。佐藤プロによれば「練習グリーンのほうが速いイメージだったようで、打ちきれなかったようです」とケプカのコメントをあげていましたが、プレーしながらアジャストすることができたのか、7番から3連続バーディ。スコアを伸ばしていきます。一時はアダム・スコットに並ばれる時間もありましたが、15番、16番の連続バーディで突き放し、2位に2打差をつけて迎えた最終ホール。アダム・スコットのティーショットは大きく左に曲げてパーオンならず。対してケプカは5mのバーディチャンスにつけ、勝利をほぼ手中に収めます。
そのバーディパット、ケプカはタップインの距離に寄せますが、マークをせず「お先に」をしてホールアウトしました。後のインタビューでケプカは、マークすると4mのパーパットが残ったアダム・スコットのラインの視界に入るので、邪魔したくなかったとコメントしています。
タイガーチャージに湧く大熱狂のフィールドのなか、「ここのギャラリーはタイガーの状況を教えてくれる」とジョークで答えることができる冷静さとプレーの安定感、そして相手を思いやる優しい心を持ったブルックス・ケプカは、第100回という節目の大会にふさわしいチャンピオンでした。
確かな復活をみせたタイガー「また来月メジャーがあればいいのに」
これで2018年すべてのメジャーが終わりましたが、7月の全英オープン、8月の全米プロで優勝争いをみせたタイガー・ウッズの活躍は、ゴルフ界に大きな衝撃と期待をもたらしました。内藤コーチは「タイガーがニコリともせずバーディ獲っている様子に、メジャーを狙っている思いが伝わってきた」とコメント、佐藤プロも「また来月メジャーがあればいいのに、あと240日以上待たないといけない」と、世界中のゴルフファンの思いを代弁していました。
来年からは全米プロのスケジュールが5月開催に変わり、4月マスターズ、5月全米プロ、6月全米オープン、7月全英オープンと4カ月連続で続いていくことになります。タイガー不在の間に頭角を表してきたブルックス・ケプカやジャスティン・トーマス、ジョーダン・スピースといった若手世代が台頭するなか、タイガーのメジャー優勝という「完全復活」というシナリオが待っているのか、2019年のメジャーが今から本当に楽しみです。
(写真提供:Getty Images)
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