フロリダスイング初戦「ザ・ホンダクラシック」は世界ランキングNo.1のローリー・マキロイが予選落ちという意外な展開となりましたが、フィル・ミケルソン、パトリック・リード、イアン・ポールターら多才な顔ぶれがトップ争いを見せて盛り上がり、パドレグ・ハリントンの復活優勝で幕を閉じました。

セカンドチャンスをものにしたハリントン

ダニエル・バーガーと1打差で迎えた18番Par5のバーディパットを決め、このままハリントンが優勝か・・という雰囲気が会場内を包む中、“ベアトラップ"がハリントンの前に立ちはだかりました。プレーオフ2ホール目の17番Par3。ハリントンが手にしたのは71ホール目、池に入れてダブルボギーを叩いた5番アイアン。

大きな音を立てていた作業車が止まったかと思えば、飛行機の騒音、挙句の果てには池の対岸のグリーン奥で人が動くと、また仕切りなおし。そんなハリントンに早く打てとばかりに様々な音階で口ずさむ鳥達・・ハリントンがティーショットを放ったのはバッグからクラブを抜いておよそ3分後でした。そして、ようやく放たれたボールはピンに向かってまっしぐら・・・

「プレーオフ1ホール目に、バーガーがパットをはずし、セカンドチャンスを手にしたと感じた。17番のショットは絶対に決めなければと思っていた」と話したハリントン。優勝というプレッシャーがかかった一打を狙って打てるのが王者の証だと感じました。

プレーオフでのセカンドチャンスは、43歳のハリントンのゴルフ人生におけるセカンドチャンスにつながるはずです。メジャータイトル3つを獲得し、PGAツアーで7年近く優勝から遠ざかっていたハリントン。これを機にキャリアで2度目の花を咲かせそうな予感がします。

ハリントンに敗れはしたものの、トップと9打差からスタートしプレーオフに残ったバーガーも大健闘でした。まだ21歳ですから、この経験を糧にアメリカを代表する若手として名乗りを上げる一人になるはずです。ハリントンが2005年のザ・ホンダクラシックで初優勝した時、まだ11歳だったバーガー。今年のルーキー・オブ・ザ・イヤー・レースがますます楽しみになってきました。

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一難去ってまた一難、ベアトラップの後はブルーモンスター

今週開催される「WGC-キャデラックチャンピオンシップ」は世界ランク50位までの選手のほか、フェデックスカップのポイントランク上位や、ヨーロピアンツアー、日本ツアー、オーストラレージアンツアーなどの賞金ランク上位選手など計74人が出場する大会です。

舞台はマイアミにあるトランプ・ナショナル・ドラル。

ブルーモンスターというニックネームは、「ドラル・オープン」として始まった1962年の第一回大会の第3ラウンドで、当時のドラル・カントリークラブ、ブルーコースの18番Par4が出場全選手合わせて合計104オーバーを記録した時、トーナメントディレクターだったFrank Strafaciが「It’s a blue monster」と表現したことがきっかけで、やがてコース全体のニックネームとして浸透しました。

風が吹けばモンスターが牙をむきます。

昨年の第2ラウンドの平均スコアは4オーバーで、昨シーズンのPGAツアーでは最も高い記録です。また、フェアウエイキープ率の4日間平均は48.2%（昨シーズン最下位）、パーオン率も5番目に低く、さらにPar3も難しいとあって、まさに選手泣かせのコースです。去年の優勝スコアも4アンダーと、全米オープン、マスターズに次ぎ、3番目に難しいコースでした。ホール難易度は7番Par4が1位ですが、多くの人の記憶に残るのは、毎年ドラマが生まれる左に池が続く18番Par4でしょう。また、コース内のバンカーは計96個と、バンカーの数の多さもモンスターならでは。

出場74名でPGAツアー通算228勝、日本勢3名が世界トップランカーに挑む

“ブルーモンスター"の異名を持つ難コースで昨年頂点に立ったのが、当時23歳のパトリック・リード。ラウンド後の「自分は世界の5本の指に入る」という強気のコメントが物議をかもしましたが、優勝後はライダーカップメンバーに選出されるなどアメリカを代表するプレーヤーに成長しました。今季も2015年初戦となった「ヒュンダイトーナメントofチャンピオンズ」で優勝するなど、最新の世界ランキングは15位。

そのリードと第1ラウンドと第2ラウンドで一緒に回るのが、今季2勝、世界ランキング13位のジミー・ウォーカーと同ランキング14位の松山英樹プロ。リードが大会連覇する可能性も高いですが、松山プロに日本勢初のWGC制覇に期待が高まります。この他、昨年の日本ツアー賞金王、小田孔明プロと2位の藤田寛之プロも参戦。日本勢が世界トップランカーを相手にどのような戦いを見せてくれるのか楽しみです。

出場74名でPGAツアー通算228勝。ブルーモンスターとの対決に勝つのは誰でしょうか？

「WGC-キャデラックチャンピオンシップ」は全ラウンド夜11時から「PGAツアーダイジェスト」でお送りします。「PGAツアーハイライト?今日の松山英樹」も連日放送！ぜひお楽しみに。

石川遼、今田竜二が参戦！WGCの裏大会にも注目

昨年10月の新シーズン開幕戦から出場3試合続けて30位以内につけていた石川プロは、今年に入って4試合連続予選落ちと苦戦していましたが、「ザ・ホンダクラシック」で第1ラウンドこそ74だったものの、第2ラウンドで「65」をマークし、25位タイで大会を終えました。

4ラウンドで奪ったバーディは17個と出場選手の中で3位タイ。最終順位に満足していない石川プロですが、プエルト・リコ・オープンは、2012年ＰＧＡツアーで自己ベストとなる単独2位につけた大会だけに楽しみです。また、今田竜二プロも今季は予選落ちが続いていますが、PGAツアーレギュラー参戦復活を目指して健闘が期待されます。

「プエルトリコオープン」は全ラウンド朝8時から独占中継でお送りします。「PGAツアーハイライト?今日の石川遼」も連日放送！ぜひお楽しみに。

筆者：Makiko Minoya
1995年 州立セントラルフロリダ大学 ジャーナリズム科卒業
1996年 ゴルフチャンネル入社（米フロリダ州オーランド）
好きなゴルファー：タケ小山プロ

（写真提供:Getty Images）

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