選手流出に悩める欧州ツアーの苦悩
2012年11月25日(日)午前9:19
現在欧州ツアーはシーズン最終戦、DPワールドツアー選手権 ドバイ(UAE、フメイラー・ゴルフ・エステイツ)が佳境を迎え、世界ランク1位のローリー・マキロイ(北アイルランド)と同ランク2位のルーク・ドナルド(英)が息詰まる優勝争いを演じる願ってもない展開となっている。しかし同ツアーのチーフ・エグゼクティブ、ジョージ・オグレディ氏は心穏やかではない。というのも来季は同ツアーの人気選手たちが相次いで米ツアー本格参戦を表明しているからだ。
元世界No.1で全米プロゴルフ選手権チャンピオンのマーティン・カイマー(独)、ツアーNo.1の飛ばし屋ニコラス・コルサーツ(ベルギー)が来季、米ツアーのメンバーとしてフル参戦することが決まっており、これまでイギリスに居を構えていた世界ランク4位のリー・ウェストウッド(英)がこのオフに米フロリダ州に引っ越し、アメリカに腰を据えて戦うことが明らかになっている。
すでにドナルド、イアン・ポルター(英)、ジャスティン・ローズ(英)、グラエム・マクドウェル(北アイルランド)、ピーター・ハンソン(スウェーデン)らがフロリダを拠点にしており、ここのところ欧州勢のヨーロッパ離れが加速している。
スター選手を欧州ツアーで見られなくなるかもしれないという不安はファンだけではなくオグレディ氏も危惧するところ。オグレディ氏は「ヨーロッパツアーの屋台骨はしっかりとしている。多くの選手の才能を引き出し世界のトップに押し上げているのが我がツアーである、という誇りもある。成長した選手が米ツアーに旅立つのは良いことだが、我々のツアーで見る機会が減るのは由々しき事態」と語る。
選手たちにも言い分はある。ヨーロッパ経済が落ち込みスペインやチェコなどで行われていた試合がなくなり、その分アジアとのジョイントで試合数を維持してきたという背景があるため「欧州ツアーといいながらアジアでの転戦が多い。スケジュールの都合をつけるのが難しい」というのである。
世界ランク30位中、28人までが米ツアーのメンバーとなり来季のフル参戦が決まっている。欧州ツアーは生き残りをかけ、新たな方向性を模索しなければならない時期に来ているようだ。