A.スコット、ようやくつかんだ悲願のメジャー1勝
2013年4月15日(月)午前10:23
アダム・スコット(豪)にとってメジャータイトルは悲願中の悲願。勝利の女神は絶妙のタイミングでナイスガイに微笑んだ。
2年前のゴルフの“祭典”マスターズ(ジョージア州、オーガスタナショナルGC)では最終日に上がり4連続バーディを奪った当時無名のチャール・シュワーツェル(南ア)に逆転を許し、手を伸ばせば届くところにあった優勝を逃して2位タイに甘んじた。
昨年の全英オープンではサンデーバックナインで、まさかの上がり4連続ボギーを叩き4打のリードを失って、朋友アーニー・エルス(南ア)に勝ちを譲った。つかんだと思った瞬間その手からすり抜けて行くメジャー勝利にスコットは自らの悲運を嘆いたこともある。
しかし現地時間14日に行われた今季メジャー初戦のマスターズ最終ラウンドでは、勝利の女神がスコットに味方した。惜しいパットを外し続けながら優勝戦線に踏みとどまったスコットは、勝負がかかった最終18番で6メートルのバーディパットを捩じ込み、これまで見せたこともないような派手なガッツポーズを繰り出し雄叫びを上げた。
「あの瞬間、勝ちを確信した」と本人は言うが、喜びも束の間アンヘル・カブレラ(アルゼンチン)が最終ホールをやはりバーディで締めくくり2人が通算9アンダーで並びプレーオフにもつれ込んだ。そして迎えたサドンデス2ホール目。3.5メートルのバーディパットをジャストタッチで決めたスコットが第77代チャンピオンに輝いた。
「信じられないような気持ちです。言葉がみつからない」とスコット。大会前はおよそ1か月試合を休み、住まいのあるバハマで調整を続けてきた。大好きなマスターズに備え、全英オープンで優勝を争ったエルスとオーガスタの下見を行いコースの状態をつぶさに観察。あらゆる準備を整え最高の状態で挑んだ大会でつかんだ初のメジャータイトルは本人にとっても母国オーストラリアにとっても大事な1勝になった。
そぼ降る雨の中プレーオフを戦い終え、お互いの健闘を讃え合った32歳のスコットと43歳のカブレラ。そこには良き勝者と良き敗者の姿があった。