2年間優勝から遠ざかっていたタイガー・ウッズ（米）がシーズン最後の最後でウィナーズサークルに還って来た。

　強いタイガーの生還だ。米男子ツアーの公式競技ではないものの、世界ランキングのポイント獲得対象となっているオフ恒例のチャリティイベント、シェブロン・ワールド・チャレンジ最終ラウンド（現地時間4日／カリフォルニア州、シャーウッドCC）。2ホールを残して首位を行くザック・ジョンソン（米）に1打差をつけられていたタイガーだが、土壇場の上がり2ホールで連続バーディを奪いジョンソンを捉え、逆に1打差をつけ2009年のオーストラリアン・マスターズ以来の勝利をもぎ取った。

　1打ビハインドで迎えた17番パー3。ティーショットは真っすぐピンに向かい、手前4.5メートルにつけると、ほんのわずか右から左に曲がるフックラインを読み切ってカップに沈めガッツポーズ。そしてジョンソンと通算9アンダーで並んで迎えた最終18番で2メートルのウィニングパットを沈めると、全盛期を彷彿とさせる派手な雄叫びをあげて喜びを爆発させた。

「今日は1日、ザック（・ジョンソン）とのシーソーゲーム。11番で一旦リードを奪いながらその後逆転され、ザックの素晴らしいプレーに翻弄されたが、最後まで緊迫感のある戦いは本当に楽しかった」と久々の手に汗握るマッチレースに興奮を隠せなかったタイガー。749日ぶりの勝利で世界ランクは52位から21位に浮上することが確実。獲得した優勝賞金120万ドル（約9,300万円）はすべて自らの基金（タイガー・ウッズ・ファウンデーション）に寄付することを表明した。

　思えば2年前の感謝祭の夜、自らが運転する車で自宅近くの消火栓に激突する事故を起こしたのがすべての始まり。その後巻き起こった不倫騒動の果ての離婚劇。スイング改造中のケガなどなど…。世界最強の男は数々の試練に見舞われたが、それらを乗り越え再びタイガーは強さを取り戻した。

　タイガーに5打差の通算5アンダー単独3位に食い込んだポール・ケイシー（英）はこう言った。「タイガーはこれから先、長い期間活躍し続けるだろう。そうしたらここ2年のいざこざなんて人々はすっかり忘れてしまうよ」。

　来年タイガーは1月末アブダビで行われる欧州ツアーのアブダビHSBCゴルフ選手権（現地時間2012年1月26?29日／UAE、アブダビGC）で始動する予定だが、果たして2012年シーズン、彼はどんな戦いを我々に見せてくれるのだろうか…？