国内女子ツアーが、15日開幕の西陣レディスクラシック（熊本・熊本空港CC）で再開される。

　東日本大震災当日の3月11日は、今季第2戦となるPRGRレディスカップの初日だった。プレーを終えた選手たちが次々と引き上げてくるクラブハウス。普段なら様々なゴルフへの思いが渦巻く場所だが、この日ばかりはまったく違う光景が繰り広げられた。

　選手も関係者もテレビのニュースに釘付けになり、手の届かない被災地を目の当たりにして声も出ない。次々に映し出される東北地方の惨状。さらに東京、お台場の火事の煙が恐怖をあおった。

　大会はすぐにキャンセルされたが、今度は地震の影響で津波警報が高知県に飛び火。選手や関係者はもちろん、ギャラリーまでがクラブハウス退避を余儀なくされた。

　あの日から約1か月。ゴルフどころではない状況で、選手たちはチャリティー活動に、被災地支援にと時間を過ごしていたが、やはり居るべき場所はゴルフ場。試合が再開されたことで、ここから感動を届けようといつもの表情に戻ってプレーする準備を整えた。

　古閑美保、上田桃子、有村智恵、不動裕理、大山志保らを筆頭に、今ではツアーの核となる地元熊本勢を中心に、女王奪回を目指す横峯さくらや、諸見里しのぶ、飯島茜、上原彩子、藤田幸希、佐伯三貴らも顔を揃える。

　さらに2年連続賞金女王を目指すアン・ソンジュ、ディフェンディング・チャンピオンで開幕戦王者の朴仁妃、世界ランキングNo.2の申ジエ、全美貞、宋ボベら、強豪の韓国勢もずらりと並んだ。

　プレーして人に感動を与える。プロアスリートして当たり前のことができる環境に改めて感謝し、次のステップへ。「心をひとつに」と銘打たれた大会名に、選手全員の心意気を乗せた戦いの幕が切って落とされる。