約4.5メートルのバーディパットがカップに吸い込まれ、プレーオフはドラマチックな幕切れを迎えた。

　現地時間4日、スペインのクラブ・デ・ゴルフ・バルデラマで行われた欧州ツアー最終戦、ボルボ・マスターズ最終ラウンド。賞金ランキング3位からの逆転賞金王タイトルを狙うジャスティン・ローズ（英）は、同ランク2位で昨季賞金王のパドレイ・ハリントン（アイルランド）らに4打差の単独首位でスタート。賞金ランキング首位のアーニー・エルス（南ア）がアジアンツアー参戦のため欠場する中、同じ最終組での対決となった。

　追い上げを狙うハリントンは、フロントナインを終えて、ローズとの差が5打と苦しい状況。だが、後半に入ってローズが乱れる。先に通算1アンダーでサイモン・ダイソン（英）、ソレン・ケルドセン（デンマーク）がホールアウトしており、18番でボギーを叩いたローズは、2人に並んでしまう。

　優勝争いはプレーオフにもつれ込み、1ホール目（18番パー4）は全員パー。だが、2ホール目（10番パー4）でローズがバーディパットを沈め、自らの手で優勝と賞金王タイトルをもぎとった。

　米ツアーを主戦場にし、今季欧州ツアーの出場試合数はわずか「12」。これはツアーが現在の形態となってからの賞金王としては最少の数字だ。優勝賞金66万6,660ユーロ（約1億1,100万円）を獲得し、エルスを44万8,708ユーロ（約7,450万円）上回ってのビッグタイトルに、「ハードな一日だったから感動している。本当に長い道のりだった。うれしい」と喜びを溢れさせた。

　アマチュアとして参戦した98年全英オープンで優勝争いを演じ、4位となって世界中の注目を浴びた翌日にプロ転向を宣言したものの予選落ちが続き苦しんだ男が、ついに手にした頂点の座に酔いしれた。

　対照的に、賞金王を決めた昨季大会の夢再現を狙ったハリントンは、プレーオフに2打足りない4位タイ。賞金ランキングではエルスにも及ばず3位に終わり「すごく残念。今日はパットが入らなかった」と肩を落としていた。

　尚最終戦を終え、手嶋多一の賞金ランキングは153位。20試合に出場して獲得賞金は15万257ユーロ（約2,500万円）で、来季の出場権獲得には及ばなかった。