タイガー・ウッズ（米）が、近代ゴルフ初の年間グランドスラムに挑む。

　今季のメジャー初戦、第72回 マスターズは大会創始者の球聖ボビー・ジョーンズとアリスター・マッケンジーが作り上げた夢舞台、オーガスタナショナルGC（ジョージア州オーガスタ）で現地時間10日開幕。前評判が高いのは、もちろんメジャー13勝で、今季米ツアーだけで4戦3勝、さらに欧州ツアーのドバイ・デザート・クラシックでも優勝と圧倒的な強さを誇るタイガーだ。

　今季のタイガーの好調を支えているのは、パッティングの精度。ドライバーの飛距離は平均289.0ヤード（米ツアー48位）、フェアウェイキープ率も55.95％（同168位）と傑出した数字とは言えない。しかし、光っているのがパーオン率（74.54％／同1位）だ。これに平均パット数1.696（同3位）が加わり、向かう所敵なしの状況を作り上げている。

　アンジュレーションのきつい高速グリーンと、元果樹園でアップダウンのあるコースに風が吹き荒れ、“魔女”が居るといわれるオーガスタナショナルGC向きの調整で自信満々。メジャー14勝目はもちろんのこと、史上初のプロとしての年間グランドスラム（1930年当時の年間グランドスラムは全米オープン、全米アマ、全英オープン、全英アマ：ジョーンズが達成）に対しても、ひたすら前向きだ。

　ライバル達も、今季に入ってすでにお手上げ状態とあって、敵は自分だけ。例年通り大会前は試合に出ずに調整するが、今年も初めて勝てなかったWGC-CA選手権後は、そのままフロリダ州オーランドの自宅で最後の仕上げに専念した。最近ボールで遊ぶことを覚えた長女、サム・アレクシスちゃんとのリラックスした時間も、戦う男にとっては大きなエネルギー源。初めて連れてきたゴルフの祭典で、グリーンジャケットを着るつもりだ。

　一方、対抗馬筆頭のフィル・ミケルソン（米）も、大会3度目の優勝に向けて意欲を見せている。磨きをかけたショートゲームと、持ち前の攻撃的なゴルフで、タイガーを倒そうと目の色を変えている。また、コーチをデビッド・レッドベター氏からブッチ・ハーモン氏に代えたことを告白したアーニー・エルス（南ア）も、改造スイングで無欲に臨む。

　大会は現地時間午前8時に第1組が出る。タイガーは午前10時34分にアンヘル・カブレラ（アルゼンチン）、スチュアート・アップルビー（豪）と同組でスタート。ミケルソンは午後1時41分にアンドレス・ロメロ（アルゼンチン)、崔京周（韓）と、エルスは最終組の1組前（午後1時52分）に片山晋呉、ジム・フューリック（米）とティーオフする。