リー・ウェストウッド（英）が完璧なゴルフで有終の美を飾った。

　賞金ランク上位60名のみに出場が許されるエリートフィールドで競われる欧州ツアーの今季最終戦ドバイ・ワールド・チャンピオンシップ（UAEジュメイラ・ゴルフ・エステーツ、アースC）。現地時間22日に行なわれた最終ラウンドはまるでウェストウッドのひとり舞台だった。2日連続ノーボギー、しかもコース新となる8アンダー64と爆発し、通算23アンダーで2位のロス・マクゴーワン（英）に6ストロークの大差をつけて圧勝した。

「今日は自分でも驚くほど落ち着いていた。これ以上のプレーはない。言葉では表現出来ないくらい嬉しい」と最終戦に勝って、逆転で00年以来9年ぶり2度目の賞金王に輝いたウェストウッド。2打差のトップからスタートしたこの日は「世界中で30勝以上挙げている経験の差を見せつけたい」と自分で自分にプレッシャーをかけた。今大会が始まる前まで賞金ランクトップに立っていた20歳の新鋭ローリー・マッキルロイ（北アイルランド）に負ける訳にはいかない36歳の意地があった。

「00年に賞金王になったときはまだ自分も若かったし、タイトルの意味がわかっていなかった。でも今年はその意味がわかって、本当に心から欲しいと思って戦った。（2度目の賞金王は）ゴルフ人生最高の出来事」とウェストウッド。ウイニングパットを沈めた瞬間は、両手を天に突き上げ上体を大きく反らす独特のポーズで喜びを表現。その笑顔には安堵と歓喜が入り交じっていた。

　最終戦で優勝し賞金王に輝いたのはツアー史上3人目。最後にその偉業を達成したのは1993年のコリン・モンゴメリー（スコットランド）だった。この勝利でウェストウッドは優勝賞金の他、レース・トゥ・ドバイのタイトルも獲得し、ボーナスも含め2億円以上を1試合で稼ぎ出したことになる。

　一方、最後の最後で賞金レースを逆転されたマッキルロイも最終日は5アンダー67の好スコアをマークしたが、ウェストウッドには8打及ばず単独3位（通算15アンダー）で4日間を終えた。「頑張ったけれど、リー（ウェストウッド）に23アンダーまで伸ばされたらお手上げ。でも負けても悔いはない。今季は素晴らしいシーズンだった」と達成感を滲ませた。勝ったウェストウッドは世界ランクでも4位に浮上、マッキルロイも初のトップ10入り（10位）を果たしている。

　尚、通算14アンダー4位タイにはパドレイ・ハリントン（アイルランド）とジェフ・オギルビー（豪）の両メジャーチャンピオンが入った。