ブルース・ボーン（米）が7週間前に自動車事故で亡くなった母の前にビッグタイトルを捧げた。

　メジャー大会の全英シニアオープン選手権は現地時間27日、スコットランド、ロイヤル・トルーンGCを舞台に最終ラウンドの競技を行った。試合はジョン・クック（米）とボーンが、通算6アンダーに並んでサドンデスプレーオフに突入した。

　レギュラーツアー通算11勝ながら、メジャーでは何度もチャンスを逃して未勝利のクックと、元消防士でレギュラーでもシニアでも優勝経験のないボーンの戦い。だが、勝負は1ホール目であっさり決着がついた。ボーンが先に約6メートルのバーディパットを沈めプレッシャーをかけると、クックは約3.7メートルのチャンスを決められない。ボーンの初優勝が決まった。

　5月にアイオワ州で行われたザ・プリンシパル・チャリティ・クラシックにボーンの応援に来た母・マキシンさんは、その帰路交通事故に遭遇。この世を去ってしまった。悲しみを乗り越えて臨んだ大会で、手にした勝利。その喜びは大きい。「賞金はもちろんすばらしいけれど、優勝するまでは別人なんだ。すべてのことは優勝のためだからね」と感激に浸るボーン。祝福の拍手が、いつまでも鳴りやまなかった。

　プレーオフで敗れたクックは、92年にミュアフィールドで行われた全英オープンでもショートパットを外し、優勝したニック・ファルド（英）に次ぐ2位に終わっている。今大会はその再現となってしまったが、それでも「今週のパターはこれまでよりずっとよかったから」と前向きにコースを去った。

　エドアルド・ロメロ（アルゼンチン）が、プレーオフに1打及ばず通算5アンダー3位。ベルンハルト・ランガー（独）が通算4アンダー4位に入った。また、前週の全英オープンで優勝争いを演じたグレッグ・ノーマン（豪）は、この日3アンダー68で回り、トム・ワトソン（米）らと並ぶ通算2アンダー5位タイでフィニッシュ。まだまだ力のあるところを見せ付けた。

　日本勢は、9位タイからスタートした室田淳が3つスコアを落として通算6オーバー21位タイ。海老原清治が通算9オーバー34位タイ。友利勝良が通算12オーバー46位タイ、青木功が通算13オーバー50位。羽川豊は通算18オーバー66位タイで大会を終えている。