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全米屈指の難関コースでただ1人アンダーパーを死守しビッグタイトル獲得!“恵みの雨”で息を吹き返したJ.J.スポーン【内藤雄士のPGAツアーアフタートーク】
2025年6月19日(木)午後0:41

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“全米オープンの会場で最も難しい”といわれるオークモントカントリークラブ(ペンシルベニア州)で開催された125回目の「全米オープン」。前評判通り、多くの選手がオークモントの壁に跳ね返されました。そんな中、最終日のバックナインで神がかり的なパットを何度も披露したJ.J.スポーンが、唯一のアンダーパーを叩き出し、頂点に立ちました。同大会の模様を、ゴルフネットワークで解説を務めたPGAティーチングプロの内藤雄士さんに振り返ってもらいました。
全米オープン開催が10回目となるオークモントカントリークラブですが、今回も多くの選手がその難しさに苦しめられました。最も厄介だと感じたのは、グリーンです。非常に硬い上に、起伏が激しい。しかもポアナ芝の影響でボールが跳ねながら不規則に転がるという状態でした。
もちろんそのほかにも難しい点が多々ありました。例えば距離が7400ヤードと長いだけでなく、フェアウェイがかなり狭くて、しかも曲がりくねっている。そのフェアウェイのサイドには、「入ってしまったら出すだけ」というラフやバンカーが広がっている。
さらに付け加えれば、301ヤードのパー3や、500ヤードを越えるパー4があるかと思えば、17番のようにワンオン可能なパー4があるなど、極端に長いホールと短いホールが混在しているので、7400ヤードという数字以上に難しさがありました。それでいてパーは70。全米オープン開催コースで最も難しいといわれる理由は色々なところにありました。
そんな中で、唯一アンダーパーをマークして頂点に立ったのがJ.J.スポーンでした。ただ、そのスポーンにしても、最終日の前半は5オーバー。解説をしていても、誰が優勝するのか、優勝スコアがどれくらいになるのかは、最後まで予想できませんでした。
また、今回の全米オープンに関しては、コースの難しさだけでなく、天候の影響も大きかったような気がします。出だしの6ホールで5つスコアを落としたスポーンの場合、雨で中断したのが9番ホールをプレーしようとしていたとき。彼にとってはその中断が、いい気分転換になったようで、そこからいい流れになりました。
これは想像に過ぎませんが、おそらく6番ホールで5オーバーになった時点で一度は諦めたんじゃないかと。それが、上位が落ちてきたことによって再び優勝の目が出てきた。スポーンにしてみれば怖いものなし。もうやるしかないという気持ちになったのではないでしょうか。
もちろんメンタルだけでなく、プレーでも目を見張る点がありました。もともとショットメーカーで、今季も好調をキープしていたスポーン。昨シーズンの後半にパターを換えてからパットも良くなっていたのですが、そのパットがサンデーバックナインに入ってから決まり始めたのが大きかったと思います。18番を含め、バーディーを奪ったパットは、そのほとんどが神がかっていました。
一方、最終組の2人、サム・バーンズとアダム・スコットは、バックナインで失速しました。2人ともフロントナインは3オーバー。調子が悪かったわけではなかったと思いますが、メジャー優勝という重圧の中での最終組だったということもあって、なかなかバーディーを狙うことができず、そんなに悪いショットでもないのにボギーになってしまうという不運もありました。そんな中で、後半、スポーンがスコアを伸ばし始めたことで、2人に焦りが生じたのかどうか。いずれにしろ、一気に転げ落ちてしまいました。
さて、全米オープンが終わってホッとするのもつかの間、次週はシグニチャー大会の「トラベラーズチャンピオンシップ」(コネチカット州・TPCリバーハイランズ)が開催されます。
注目したいのは、松山英樹選手。全米オープンでは42位タイに沈みましたが、心配された首の痛みもそれほど重症ではないようですし、ほとんどの選手が苦しんだ最終日に、3バーディー、1ボギーで2アンダー、68というスコアをマークしたあたりは“さすが”というしかありません。
最終日にあのような素晴らしいプレーができるということは、「トラベラーズ」で勝っても不思議ではありません。次週はもちろん、7月には全英オープンもありますし、次の1勝を狙って調子を上げていってほしいものです。
(写真:Getty Images)
全米最難関コースで神がかり的なパットで勝利をたぐり寄せたスポーン
全米オープン開催が10回目となるオークモントカントリークラブですが、今回も多くの選手がその難しさに苦しめられました。最も厄介だと感じたのは、グリーンです。非常に硬い上に、起伏が激しい。しかもポアナ芝の影響でボールが跳ねながら不規則に転がるという状態でした。
もちろんそのほかにも難しい点が多々ありました。例えば距離が7400ヤードと長いだけでなく、フェアウェイがかなり狭くて、しかも曲がりくねっている。そのフェアウェイのサイドには、「入ってしまったら出すだけ」というラフやバンカーが広がっている。
さらに付け加えれば、301ヤードのパー3や、500ヤードを越えるパー4があるかと思えば、17番のようにワンオン可能なパー4があるなど、極端に長いホールと短いホールが混在しているので、7400ヤードという数字以上に難しさがありました。それでいてパーは70。全米オープン開催コースで最も難しいといわれる理由は色々なところにありました。
そんな中で、唯一アンダーパーをマークして頂点に立ったのがJ.J.スポーンでした。ただ、そのスポーンにしても、最終日の前半は5オーバー。解説をしていても、誰が優勝するのか、優勝スコアがどれくらいになるのかは、最後まで予想できませんでした。
また、今回の全米オープンに関しては、コースの難しさだけでなく、天候の影響も大きかったような気がします。出だしの6ホールで5つスコアを落としたスポーンの場合、雨で中断したのが9番ホールをプレーしようとしていたとき。彼にとってはその中断が、いい気分転換になったようで、そこからいい流れになりました。
これは想像に過ぎませんが、おそらく6番ホールで5オーバーになった時点で一度は諦めたんじゃないかと。それが、上位が落ちてきたことによって再び優勝の目が出てきた。スポーンにしてみれば怖いものなし。もうやるしかないという気持ちになったのではないでしょうか。
もちろんメンタルだけでなく、プレーでも目を見張る点がありました。もともとショットメーカーで、今季も好調をキープしていたスポーン。昨シーズンの後半にパターを換えてからパットも良くなっていたのですが、そのパットがサンデーバックナインに入ってから決まり始めたのが大きかったと思います。18番を含め、バーディーを奪ったパットは、そのほとんどが神がかっていました。
一方、最終組の2人、サム・バーンズとアダム・スコットは、バックナインで失速しました。2人ともフロントナインは3オーバー。調子が悪かったわけではなかったと思いますが、メジャー優勝という重圧の中での最終組だったということもあって、なかなかバーディーを狙うことができず、そんなに悪いショットでもないのにボギーになってしまうという不運もありました。そんな中で、後半、スポーンがスコアを伸ばし始めたことで、2人に焦りが生じたのかどうか。いずれにしろ、一気に転げ落ちてしまいました。
さて、全米オープンが終わってホッとするのもつかの間、次週はシグニチャー大会の「トラベラーズチャンピオンシップ」(コネチカット州・TPCリバーハイランズ)が開催されます。
注目したいのは、松山英樹選手。全米オープンでは42位タイに沈みましたが、心配された首の痛みもそれほど重症ではないようですし、ほとんどの選手が苦しんだ最終日に、3バーディー、1ボギーで2アンダー、68というスコアをマークしたあたりは“さすが”というしかありません。
最終日にあのような素晴らしいプレーができるということは、「トラベラーズ」で勝っても不思議ではありません。次週はもちろん、7月には全英オープンもありますし、次の1勝を狙って調子を上げていってほしいものです。
(写真:Getty Images)
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