フィル・ミケルソン（米）が、エイミー夫人に全米オープン優勝をささげようと、開幕を心待ちにしている。

　現地時間18日、ニューヨーク州のベスページ・ステート・パーク（ブラックC）で始まる第109回全米オープンの大本命は、ディフェンディング・チャンピオンのタイガー・ウッズ（米）。だが、今年に限っては、同大会で何度も惜敗しているミケルソンにタイガー以上の注目が集まっている。

　ニューヨークで元々人気があるミケルソンは、前回ここベスページが舞台となった02年、04年のシネコック・ヒルズ、06年のウィングドフットと、この地域で3回2位（タイを含む）に入っており、優勝を待つファンはヒートアップしている。さらに、今年は愛妻エイミーさんの乳がんが発覚し、それをサポートする中での出場とあって、世界中の人々の応援を背に大一番に挑む。

「今週はすべてをかけてここに来た」と語るミケルソンは大会前日に最後の練習ラウンドをこなすと自信満々に胸を張った。「これまでにないほど良いスイングをしているし、ティーショットもコントロールできている」。本人が話した内容こそが全米オープンを制するための最大の武器だ。

　病床のエイミー夫人も様々なカードや手紙で、愛する夫の勝利を願うメッセージを贈り続けており、ミケルソンはこの思いに応えたいところ。「（優勝の）シルバートロフィを彼女の病室に届けたい」。世界のレフティはキッパリこう言って悲願のタイトル奪取に挑む。

　一方、ライバルのタイガーも08年大会の激闘で痛めた左ヒザにより約8か月の休養を余儀なくされていたが、2週前のメモリアルで復帰2勝目を飾り、完全復活をアピール。「ここはティーからグリーンまで、こうあって欲しいというゴルフ場だ」と話した。同じコースで開催された02年にもミケルソンを撃破して優勝しているだけに、1年前以来のメジャーVに向けて全力疾走する。

　初日の組み合わせは、ミケルソンが午後1時36分に10番から共に大会2勝のアーニー・エルス（南ア）、レティーフ・グーセン（南ア）とスタート。タイガーは昨季全英オープン、全米プロ王者のパドレイ・ハリントン（アイルランド）、今年のマスターズチャンピオンのアンヘル・カブレラ（アルゼンチン）と同組で午前8時6分に1番からティーオフする予定になっている。