海外男子

信念?世界で戦う理由がここにある?

2015年9月7日（月）午前9:58

　世界のトップ18人が集う「ヒーローワールドチャレンジ」で優勝し、2016年を最高の形で締めくくった松山英樹。世界が注目するプレーヤーへと上り詰めた松山だが、そこには常に世界の頂点を見据え努力し続ける姿があった。

　2月の「ウェイストマネジメントフェニックスオープン」ではPGAツアー2勝目を挙げ、マスターズ、全米プロではトップ10入り、プレーオフシリーズ最終戦「ツアー選手権」には3年連続で出場し、優勝争いに加わり5位フィニッシュ。フェデックスカップランキングは自身最高位となる13位と世界のトップランカーとして堂々たる成績で米ツアー3年目を終えた。それでも、昨シーズンについて聞かれた松山の第一声は「疲れました・・・。クラブやスイングとかいろいろ変えたけど、なかなかうまくいかないんだと不思議に思えた1年でしたね。」と語った。メジャー制覇へと近づいたが故に、松山にとってはいろんなことを考えるシーズンとなった。

　マスターズで7位となった松山は翌5月のビッグトーナメント「ザ・プレーヤーズ選手権」でも好調をキープ。最終日最終組を世界ランキング1位のジェイソン・デイとプレーすることに。この大会での経験がスイングやクラブを変える一つのきっかけになったと言う。「TPCでデイと一緒に回って、こんなに飛距離の差があるのかよって感じました。それからは飛距離も欲しいし、精度の高いショットも打ちたいし、いろいろ求めすぎてしまって・・・今思えばよくわからない状態になっていたかもしれません。」

　クラブとスイング変更に着手した松山だったが、「ザ・プレーヤーズ選手権」以降の「ザ・メモリアルトーナメント」、「全米オープン」、「全英オープン」で予選落ち。「クラブやスイングは一気に変えちゃいけないですね。失敗でした・・・。」と話す一方で、メジャー制覇へ必要な『変化』だったと振り返る。持ち味であるショット力を取り戻した松山はメジャー最終戦「全米プロ」で輝きを見せる。「全米プロのゴルフは自分にとって理想。パターがもう少し入ればメジャーで勝てるゴルフだった。スイングを変えなければ、道具を変えなくても良かったのかもしれない。でもスイングを変えなければ、全米プロの4位はなかった。上手くいかない中で、（クラブやスイングを）元に戻して良い結果が出たのは自信になりました。」

　メジャー制覇へパッティングを課題とする松山は世界ランク1位のデイについてこのように語っていた。「デイはパッティングの上手さがずば抜けている。決してショートゲーム（アプローチ）が上手いタイプでもないし、飛距離があって、そこそこにつけて、パターで決める。ロングパットを決める確率も歴然の差。それが自分に足りない部分。」

　全米プロを終えて、プレーオフシリーズでは試行錯誤しながらパッティングの修正に取り組み、共にPGAツアーで戦う岩田寛が行っていた練習からパッティングの感覚を掴んだ。「きっかけは（岩田）寛さんがいつもやっている『ティーを指して出玉を意識する練習』を見ていて、やってみようと思った。緻密な練習をしているからこそ、試合で考えなくてもいいんだと思う。練習で掴めば試合に繋がる、それを続けるだけ。」課題としていたパッティングだったが、プレーオフシリーズ最終戦「ツアー選手権」ではストロークゲインドパッティング1位を記録。決して現状に満足することなく、“常に上を目指して貪欲に結果を追い求める”、それが松山英樹の信念なのかもしれない。

　今から半年前、全米オープン開幕を前に世界のトップ5との差を語っていたことを思い出した。「課題は全て。良い時は変わらないと思うけど、ジョーダンもジェイソンも悪い状態でも5位や2位とか上位にいる。予選落ちがあったとしても、そこから徐々に調子を上げて、良い波に乗ったら優勝や常にトップ５にいる。レベルは違うかもしれないけど、日本で賞金王を取った時のゴルフがしたい。年間通してずっとトップ5、トップ10にいるゴルフを目指したい。」

　10月以降は5試合に出場して、優勝4回と2位1回という、まさに有言実行のプレーだった。「日本オープン」、「三井住友VISA太平洋マスターズ」で国内ツアー2戦2勝、「HSBCチャンピオンズ」では日本人初となるWGCシリーズ優勝、「ヒーローワールドチャレンジ」ではタイガーや世界のトップランカーをも唸らせるプレーで優勝。試合後の記者会見では「目標のメジャーで勝つためには練習しなければいけない。1月のトーナメント・オブ・チャンピオンズを良い状態でプレーできるように頑張りたい。」と既に視線の先には2017年の戦いを見据えている松山。日本人初のメジャー制覇、そしてPGAツアー年間王者への期待が膨らむ。世界の頂点はすぐ目の前にある。

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