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「ジョーダンのことは心配」　J.デイも同情する王者J.スピースの苦悩

2017年3月19日（日）午後3:30

ちょうど1年前に挙げたツアー2勝目をきっかけに、史上稀にみる快進撃で一躍ツアーの顔となったジョーダン・スピース。大きな成功には必ずスポットライトが付きまとうものだが、そんな周囲からの注目の大きさが22歳の若武者の苦悩につながっているようだ。

先月、ペブルビーチで行われたインタビューでスピースは次のようなコメントを残した。

「以前とは違い、何が正しいのか迷っている自分がいる。低調なラウンドのあと、インタビューに備えてダメだった理由を探すのはストレス。やるべきことは分かりきっているのに、質問が次々に飛び交い、うまく答えられないと非難を受ける。一方で、ファンへの応対や模範的な人間を目指すことがどれほど重要なのか考えさせられるし、うまく切り替えるのも難しい」

（写真提供:Getty Images）

「今年はもっと笑顔でファンに接すると同時に、自分の本当の姿を見せることを目指している。あまりユーモアのセンスはないし、コース上では熱くなることも多く、勝負にはこだわりつつも、うまく切り換える必要がある」

これを受け、メディアの関心は同じく昨季に大躍進を遂げたジェイソン・デイに向けられた。絶えずプレッシャーにさらされているスピースについて質問され、共感を示したデイは「彼はゴルフ漬け」「心配している」と同情の言葉を寄せている。

ジェイソン・デイ
「試合が多すぎるのか、スポンサーとの取り決めに従って色々と手を出しすぎているのかもしれないが、度がすぎると消耗し切って、しばらくの間ゴルフから離れたくなるもの。有名になれば誰でも通る道だろうけど、ジョーダンの現状を見て『心配している』と自分のスタッフたちにも話したことがある」

「ここ数年間、ジョーダンはゴルフ漬けだ。彼の世界ランク、そして出場してきた試合数を見れば、疲れ切っていることは簡単に想像できる。周囲から多くを求められ、自分の時間を確保するのも難しくなる。一人ではとてもこなせないから、自分の分身がいてくれたらと願うくらいだよ」

2015年の全米プロ選手権以降、計7か国で15試合をこなし、優勝2回、トップ10入りは7回を記録。今年の春もスケジュールはトーナメントでびっしりと埋まっており、夏は多少ゆとりがあるようだが、7月中旬には全英オープン、8月にはリオデジャネイロ五輪と海外でのビッグイベントが控えている。デイ同様、スピースもさぞ“分身が欲しい"ことだろう。

さて、そんな悩めるスピースについて、米国Golf Channel解説陣はどのような見解を持っているのか。誰よりも長く世界No.1の座を維持したタイガー・ウッズの親友、ノタ・ビゲイらに話を聞いた。

ノタ・ビゲイ
「この手のプレッシャーにさらされたのは、スピースが初めてではありません。タイガーは97年にブレイクし、マスターズでは18アンダー、12打差をつけて圧勝しましたが、98年はふがいない結果に終わりました。前年の4勝に対し、その年は1勝のみ。リッキー・ファウラーも2014年はメジャー4大会全てでトップ5入りを果たしましたが、翌年はトップ10にも入りませんでした」

「スピースは成熟した大人に見られがちですが、実際はまだ22歳です。そつなく対応できているように見えても、まだ学習するべきことは多く、出来ないことははっきり断る必要もあります。それで失望を買うこともあるでしょうが、それが現実なのです。時間は限られていますし、それをどう使うかは自分次第。スピースたちはチーム一団となり、今後勝ち続けるためのより良い方法を模索していると思います」

マーク・ロルフィング
「私も同じ意見ですが、システムにも弊害があると思います。特定の誰かを指差して頑張りすぎているとか、もっとノーと言うべきというのは簡単ですが、それ以前にゴルフにはオフシーズンが必要です。どのプロスポーツにもオフシーズンはありますが、それはファンが一息つくためだけでなく、選手たちにこそ必要なんです。ゴルフにはそれがないため、選手たちの疲労は溜まる一方でしょうし、このようなケースはあとを絶たないと思います。3?4週間でも構わないので、完全なオフの期間を設けるべきです」

メジャー初戦、マスターズの開幕まではあと1か月もない。今週のアーノルド・パーマーインビテーショナルは欠場するスピースだが、前半戦のハイライトとも言える大舞台に向け、メンタルも含めてどこまでコンディションを上げられるかが連覇へのカギだ。

【見逃し配信】ゴルフセントラル3月16日号

ゴルフセントラル 3月16日号より