海外男子

メジャー2連勝で一躍ゴルフ界の顔に　新たな時代を築けるか　?ジョーダン・スピース?

2015年12月5日（土）午前9:35

　メジャー2勝を含む米男子ツアー年間5勝を挙げ、目標としていた世界ランキングNo.1にまで上り詰めたジョーダン・スピース（米）。ツアー最終戦を勝利して年間王者、年間最優秀選手に輝いた22歳にとって、2015年はまさに歴史に名を残すシーズンとなった。

　開幕直後からスピースの勢いは圧倒的だった。2014年11月のオーストラリアンオープン（豪州ツアー）、そして翌週のヒーローワールドチャレンジと、米ツアー外ながらそれぞれ6打差、10打差の圧勝劇で2週連続優勝。好調を維持したまま今年に入り、3月にはバルスパーチャンピオンシップで米ツアーでのシーズン初白星を手にした。

　そしてその翌月にはマスターズで悲願のメジャー初勝利。今年のスピースはなんといってもメジャーでの強さが際立っていたが、同大会では史上5人目となる完全優勝で他を圧倒。さらにメジャー第2戦の全米オープンゴルフ選手権ではダスティン・ジョンソン（米）らとの熾烈な優勝争いを制し、タイガー・ウッズ（米）に次ぐ史上6人目の同一年メジャー開幕2連勝を果たしたのだ。

　その全米オープンで起きた波乱は今年のハイライトの一つだろう。15ホールを終えてブランデン・グレイス（南ア）と首位に並んだスピースは、グレイスがダブルボギーを叩くのを尻目に16番でバーディを獲って3打リード。しかし17番でダブルボギーを喫し、再び首位タイに戻されると、迎えた18番パー5、スピースが2打目をピン約5メートルに寄せるナイスショットからバーディを奪う一方、決勝のイーグルチャンスにつけたジョンソンがまさかの3パットで自滅し、スピースの手に勝利が転がり込んだ。

　前人未到の年間グランドスラムに向け、次に挑んだのは全英オープンゴルフ選手権でのメジャー3連勝。その前週は、多くの選手が欧州ツアーのアバディーンアセットマネジメントスコティッシュオープンに出場する中、スピースは同大会ではなくツアー初勝利を果たしたジョンディアクラシック出場を選び、見事に優勝。思い出の大会で最高の結果を手にし、聖地セントアンドリュースに乗り込んだ。

　しかし、同大会ではトップと1打差4位タイに終わり、1953年のベン・ホーガン（米）以来となる同一年でのメジャー3連勝はならず。メジャー最終戦、全米プロゴルフ選手権でもジェイソン・デイ（豪）に次ぐ単独2位とトロフィにあと一歩が及ばなかった。それでも開幕2連勝を挙げ、その他2試合でも優勝争いに絡んだメジャーでの活躍は群を抜くものだ。

　そして全米プロ後の世界ランキングでは自身初の世界ランクNo.1に立ち、タイガー・ウッズ（米／当時21歳）に次ぐ史上2番目に若い世界王者となった。その後はプレーオフシリーズで初戦から2試合連続予選落ちと苦戦したものの、最終戦をシーズン5勝目で締めくくって最年少の年間王者に輝き、同じくシーズン5勝のデイをかわして年間最優秀選手にも選ばれている。

　この1年間を「現実離れしていた」と振り返るスピースは、シーズン後のザ・プレジデンツカップでも3勝2敗とチームの勝利に貢献。2016年にはライダーカップに加え「第5のメジャーに値する」と意欲を燃やすリオデジャネイロ五輪も開催されるとあってモチベーションも高いが、ライバルのローリー・マキロイ（北アイルランド）も指摘するように、大きな結果を残した翌年は活躍が難しいもの。そんなジンクスを吹き飛ばすようなプレーを来年も見せてくれるだろうか。