世界の精鋭たちが出場するヒーローワールドチャレンジは3日から開催する。出場リストにはこの大会で5勝を挙げ、ホストを務めるタイガー・ウッズの名前はない。今年の10月に自身3度目の手術を終えたタイガーは背中のケガを理由に辞退した。同試合を欠場するのは2009年以来6年ぶりだ。

ツアー通算79勝（メジャー14勝を含む）という偉大な記録を残すタイガーの復帰を世界中のファンが待ち望んでいるだろう。しかし、同大会の公式会見でタイガーの発言が周囲に驚きと心配の声を集めた。

「腰に激痛が走ったとき、痛みが背中から来ているとは思いませんでした。もともと背中に痛みを抱えていて、前から違和感はありましたが、それは腰から来ていると思い、毎日マッサージを受けてほぐしました。そうやって試合に臨んだわけですが、背中は大丈夫で、痛みは腰に集中していたのです。ですが検査したら、その痛みが背中から来ていることが判明し、手術することになったんです」と今年の8月以降、2度にわたる手術を受けたことから深刻な様子を伺える。

また、今後の活躍については「先の予定が見えないことが、もっとも辛く感じます。何に期待するべきか、どこに目標を置くべきか、自分でも分からず、ただ漠然と時間が過ぎていくだけです。これ以上優勝できるとすれば、それはおまけのようなモノ。私は通算優勝回数でジャック・ニクラウスを超え、サム・スニードに次いで2位につけています。メジャータイトルではジャックに及びませんが、サムの記録はおよそ10年前に抜きました。20代から30代にかけて、輝かしいキャリアを積み上げたんです。これまで20年かけて多くを達成できたと思いますが、これで終わりにしたくはありません。再び競技の世界に戻りたいですし、強い選手たちを相手取り、優勝争いをするのは格別の楽しみです。しかしそれがもう叶わないとなれば、別の道を模索します」と初めて公の場で弱音を吐いた。全盛期のタイガーからは想像できない発言だ。

ジョン・フェンスタイン
「もっとも驚いたのは、タイガーがプロゴルファーとしての仕事を99％近く終えたと本人が認めたようにも受け取れるコメントを出したこと。それを望んでいないのは明らかですが、もう終わりだとしても、いいゴルフ人生だったという気持ちが話しぶりから滲み出ています。いいキャリアどころか、スポーツ界全体を見渡してもあれだけの偉業を達成した選手はわずかですが、もう世界一には返り咲けない日が来るとタイガー自身が認めたのは、初めてのことです」

……今後タイガーのゴルフには、どんな影響が出ると考えられますか？

トリップ・アイゼンハワー
「かつてのタイガーなら絶対にありえなかったことです。不調に陥ったあとも、必ず世界一に返り咲くと言い続けましたからね。たとえばジャック・二クラウスはキャリアを通じて、絶対に諦めたり、弱気な気持ちを見せることはなく、どの試合でも最後の最後まで戦い抜きましたが、かつてのタイガーも、常にそうでした。その気持ちが揺らぎ始めると、プレーにも影響が出始めることがあります。タイガーがそうなるとは言い切れず、そう思っているわけでもありませんが、弱気になると競技の世界ではマイナスに働くため、そうなる恐れはあると思います」

ティム・ロサフォート
「“キャリアが終わる"という言い方には語弊がある気がします。誰々はもう二度と優勝できないなどと言い切れないのがゴルフです。2000年ごろの、全盛期のタイガーをもう見られないことは、今日の記者会見の前から分かりきっていました。ですが何年か休養を取ってからツアーに戻り、1回でも優勝するのは、あり得ない筋書きではありません。肉体の衰えは避けられませんが、いい思い出とともにキャリアを締めくくってほしいですね。痛々しく腰をかがめてコースを去るのではなく」

40歳を過ぎてPGAツアーで活躍を続けられる選手は少なくない。ビジェイ・シンは40歳を過ぎてからPGAツアーで22回優勝。サム・スニードはキャリア通算83勝のうち、17勝を40代で挙げている。今月の30日に40歳を迎えるタイガー。再び優勝カップを手にする日は来るのだろうか。今後の活躍から目が離せない。

ゴルフセントラル 12月2日号より

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