スタートしたばかりの今季海外メジャー第3戦の全英オープンで、最も注目を集めているのがジョーダン・スピースだ。今季は4月のマスターズでメジャー初制覇を成し遂げると、全米オープンでは難攻不落のチェンバーズGCを攻略しメジャー2連勝を達成。今年、前人未到の年間グランドスラムを狙える唯一の選手として脚光を浴びている。

（写真提供:Getty Images）

偉大な先駆者すらできなかった年間グランドスラムだが、今季のスピースのプレーを見る限り、可能性は決して低いとは言えないだろう。とにかく3月中旬からは、バルスパーチャンピオンシップで今季初Vを飾ると、そこから単独2位、プレーオフ負けの2位、そしてマスターズで優勝と驚異的な強さを見せた。6月に入ると今度はザ・メモリアルトーナメント presented by ネーションワイドで3位タイに食い込み勢いに乗り全米オープンを制覇。そして、欧州での全英オープン前哨戦ではなくジョンディア クラシックでプレーし大会2勝目を連続Vで達成。3日目にPGAツアー自己ベストの61をマークするなど、最高のコンディションで聖地セントアンドリュースに乗りこんできているからだ。

スピースはゴルフの名門テキサス大学の出身。1年生の時から中心プレーヤーとして活躍しチームをNCAA選手権優勝に導き、ウォーカーカップのメンバーに選出されるなど非凡な才能を存分に発揮していた。そして2年生の時にプロ転向。ルーキーシーズンとなった2013年にいきなり初優勝を果たしプレジデンツカップの米国チーム代表に選ばれ、一気にスターダムにのし上がった。

そんなスピースの強さは秘密はメンタルにあるとも言える。「目標達成に近づきゾーンに入るとエンジン全開になる。優勝争いでは、全身を血が駆け巡るスカイダイビングのような感覚になる。そんなスリルがたまらない」。21歳にしてメジャー2勝を挙げるなど、プロ転向後から快進撃が止まらないが、それは大舞台になればなるほど強さを発揮する精神力にあるのだろう。

ゴルフの聖地が舞台となった全英オープンで勝てば、年間グランドスラムに王手がかかる。果たして、勝利の女神はスピースに微笑むのか？ アーノルド・パーマーも、ジャック・ニクラウスも、そしてタイガー・ウッズも成し遂げていない偉業に、21歳の若武者が立ち向かっている。

『インサイド・ザ・ＰＧＡツアー＃28』より

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