「世界の舞台で頂上を目指す!」 スポンサー大会よりも全英行きを優先した渡邉彩香の決断とは?
2015年7月30日(木)午後5:34
6月30日、全英リコー女子オープン(現地時間7月30日?8月2日/スコットランド、トランプ・ターンベリー・リゾート) のエントリーが締め切られ、国内女子ツアーから5人の出場選手が決定した。
「サントリーレディスオープンゴルフトーナメント」終了時点での賞金ランキング上位5位までに本戦出場権が与えられ、同ランク1位のイ・ボミをはじめ菊地絵理香(3位)、上田桃子(4位)らが辞退。5位の成田美寿々のほか、繰り上がりで資格が回ってきた笠りつ子(7位)、渡邉彩香(10位)、吉田弓美子(11位)、大山志保(12位)の5人が本戦出場権を獲得。また、昨年のLPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ優勝のテレサ・ルーも出場。この他、米LPGAツアー参戦組では宮里藍、宮里美香、横峯さくら、野村敏京の4名が現時点で出場を予定している。
国内ツアー優先を理由に多くの選手が辞退する中、繰り上げで出場権が回ってきた渡邉にとっても難しい決断を迫られていた。
ゴルフの名門、埼玉栄高校出身の渡邉はジュニア時代から数々のタイトルを穫り、将来を嘱望されるプレーヤー。2012年3月に高校を卒業すると、同年夏のプロテストに一発合格。2013年からツアー参戦すると、初年度からシードを獲得、二年目の昨年には待望のツアー初優勝を飾った。
昨年は全米女子オープン、全英リコー女子オープンの2大会に初出場。172cmという長身から放たれるロングドライブを武器に世界を狙える大型プレーヤーとして期待されている。
ツアー開幕前の今年2月には今シーズンから新たに開催される「大東建託・いい部屋ネットレディス」を主催する大東建託株式会社とスポンサー契約を結んだ。その「大東建託・いい部屋ネットレディス」の開催時期が全英リコー女子オープンと同週だったのだ。
本来であればホステスプロとして迎える大会、しかも新規開催大会として初代チャンピオンも目指して大会を盛り上げたいところ。
【国内ツアー賞金ランキングの資格で2年連続で全英出場となる渡邉彩香(写真提供:Getty Images)】
今回の決断に関して渡邉は「大東建託さんからサポート契約のお話をいただいた際、「全英の出場権を得た場合は全英を優先したい」という意思はお伝えし、それをご理解いただいたうえでサポート契約していただきました。とても有り難い思いでした。実際に出場権を得て、(いい部屋ネットレディス)開催初年度をホステスプロとして迎えられないことは非常に残念です。大東建託さんへは「契約選手として世界の舞台で頂上を目指して頑張ってきます!」とお伝えしました。」とコメント。
スポンサーである大東建託株式会社からは「日本から応援しています、渡邉プロの活躍で(いい部屋ネットレディス)トーナメントを盛り上がて下さい。」と、快く送り出してもらったようだ。
また、渡邉と同じ時期に埼玉栄高校の後輩でもある江澤亜弥も同社とスポンサー契約を結んでいるが、「(いい部屋ネットレディス)は後輩の江澤に託して、日本とイギリスでダブル優勝目指したいです!江澤、しっかり頼んだよ!」と全英行きの想いを語った渡邉。
メジャー初挑戦となった全米女子では予選カットラインに一打及ばず通算10オーバーで予選敗退となったが、続く全英リコー女子では通算4オーバー、34位タイで予選通過を果たすと、決勝ラウンドでも粘り強いゴルフを見せ、通算9オーバー、29位タイでフィニッシュ。
「昨年は初めての海外メジャー挑戦だったので、1つ1つ経験しよう!という感じだったので優勝や上位を目指すといった結果にこだわる意識は薄かったような気がします。昨年は出場できることに満足していた部分もありましたが、今年は頂上目指して頑張ってきたいと思います。」と意気込みを語った。
オフにしっかりと体作りをして、スイング調整も行って望んだ今季だったが、開幕から3戦連続で予選落ちとシーズン序盤は不調に喘いでいた。ところが、4戦目の「アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI」のプロアマで日本女子プロゴルフ協会の樋口久子相談役とラウンドした際に「去年よりすごく良くなってる、自信を持ってやりなさい」とアドバイスを受けたことで、「オフに取り組んできたことは無駄ではなかった、思いっきりやろう!」と自信を取り戻して、気持ちよくプレーできるようになったと話す渡邉は同大会で10位タイに入ると、翌週の「ヤマハレディースオープン葛城」で優勝。その後もトップ10入り4回と、現在賞金ランキング8位につけている。
今季ここまで好調をキープしている渡邉には昨年以上の結果が期待される。
【全英特有のリンクスコースに苦戦しながらも昨年初出場で29位タイ(写真提供:Getty Images)】
全英に向けては「風の計算はやっぱり難しいですね。ティーグランドに立った時、目で感じるプレッシャーはあまりないのですが、しっかり風を計算して落としどころを決めて打たないとブッシュに入ってしまったり、ロストするので注意したいです。グリーン周りのアプローチも状況によってウェッジで上げるのか、転がすのか、パターを選択するのか状況判断が求められるので難しいです。飛距離やショットにはある程度自信がありますが、アプローチの引き出しが少ないのでその辺りが課題になってくると思います。」とリンクスコースの課題と対策を話す。
スポンサーからの応援を後押しに今年の全英に挑む渡邉。
上位進出を目指してどんなプレーを見せてくれるか楽しみだ。
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