海外女子

“２度あることは３度ある”

2015年10月7日（水）午後0:44

米フロリダ州オーランドより番組制作スタッフが、独自視点でお届けするユニークなゴルフ最新情報！

今年で８回目の開催となったOHLクラシックatマヤコバは、８人目のアメリカ人チャンピオン、チャーリー・ホフマンの優勝で幕を閉じ、２０１４年ＰＧＡツアーの公式戦は全て終了しました。
大会初日は、６アンダーの６５をマークした６人（ウィル・マッケンジー、スティーブ・ウィートクロフト、ハドソン・スワフォード、トニー・フィナウ、ダニエル・バーガー）がトップに並びましたが、第１ラウンドで首位６人は、２０１３年のフェデックス・セントジュード・クラシック以来。この中で９位タイまでにつけたのは、７位タイのフィナウと９位タイのマッケンジー、この秋好調な二人だけでした。
優勝したホフマンは初日６６とやはり好スタートを切っていましたが最終日はトップのジェイソン・ボーンと３打差のスタート。そのボーンはフロントナインを４０とし、早々と優勝争いから脱落。ホフマンは４番からの３連続と９番のバーディで前半４つスコアを伸ばし勢いをつけますが、２００８年の全米アマチュアチャンピオンで天才ゴルファーと言われたオーストラリア出身のダニー・リーは、３番から９番までなんと７連続バーディを奪い２９をたたき出します。ホフマンは９番を終えた時点で通算１８アンダー、トップを行くリーと２打差につけていました。

しかし怒涛の７連続バーディのダニー・リーは、後半バーディをひとつもとれず３ボギー。“プレーを急ぎすぎてしまった、もっと時間をかければよかったかもしれない”と試合後コメントしていましたが、初優勝の３文字がちらついてしまったのかもしれません。結局リーは１５アンダーでフィニッシュ。ホフマンは１３番と１６番でバーディを取り、通算１８アンダーのトーナメントリーダーとして最終ホールを迎えます。
一緒に回るショーン・ステファニは１７番のバーディでホフマンと１打差にせまり、１８番で先にティーショットを打つアドバンテージでホフマンにプレッシャーをかけるチャンス。事実上、優勝争いは二人に縛られます。
初優勝を狙うステファニ、４年ぶり３勝目が欲しいホフマン・・・　ステファニの大事なティーショットは、フェアウエイ左サイドのバンカー、しかも高いアゴの下へ。続いて打ったホフマンのボールはさらに左の木の根元でとまりスタイミーと両者そろってトラブル。サンドウエッジを手にしたステファニは、グリーン手前に刻み、ホフマンは左打ちでフェアウエイに出すだけ。ホフマンは３打目でなんとかグリーン左サイドをとらえたのに対し、ステファニはダフってグリーンに届かずフェアウエイに戻ってしまいます。ホフマンは、ステファニに助けられた形となりあがりは互いにボギー、１打差でホフマンが逃げ切り、２０１０年のドイツバンク・チャンピオンシップ以来となる勝利を味わいました。
チャーリー・ホフマン
ホフマンをＰＧＡツアーでは珍しい金髪の選手として覚えている方も多いかもしれませんが、２００７年ヒュマナ・チャレンジのツアー初優勝から全て逆転で勝っています。
初優勝と２勝目はともに首位と４打差の４位タイで最終日をスタート。今回は３打差の３位タイにつけていました。光り輝く髪以外、特別目立つ存在ではありませんが、２００７年から始まったプレーオフで毎年４試合中３試合目のＢＭＷチャンピオンシップまで進んでいることがホフマンの実力を示しています。
勝利を喜ぶC・ホフマンとそのご家族２０１０年はその３試合めに優勝し、初めて最終戦のツアーチャンピオンシップに出場。そんな安定したプレーを続けていたホフマンでも２度と勝てないのではないかと思ったことがあったといいます。
数週間前、成功を支えてくれたキャディに感謝しながらも、自分をさらに高めてくれるパートナーを求めそのキャディを解雇したというホフマン。最後の優勝の際、まだステーシー夫人のお腹の中にいたという長女クレアちゃんも４歳になり、今ではお姉さん。２度目の優勝は夫婦で、３度目の優勝は３８歳の誕生日を前に一家４人で祝うことになったその事実を思う時、“２度あることは３度ある”と思っても、そう信じられない時期があったというのもわかるような気がします。

そして、同じくメキシコで行われたLPGAツアー、ロレーナ・オチョア・インビテーショナルを制したのはやはりツアー３勝目をマークしたクリスティーナ・キムでした。ガッツあふれるプレーでソルハイムカップではアメリカチームの選手兼チアリーダーとして活躍、明るくユーモアにあふれ、誰かが優勝すれば真っ先にシャンパンボトルを持ってグリーンにあがるやさしい性格、ファンにも丁寧に接するクリスティーナ・キムは、アメリカでの生活に慣れない宮里藍選手を食事に誘ってくれたり、いろいろ面倒を見てくれたと聞いたことがあります。

そんなキムはとことん落ち込むことはないように見えましたが、２０１２年７月１８日ブログ上でうつ病と戦っていたことを告白。気持ちが沈むようになったのは自分本来のゴルフができなくなってしまったことがきっかけだったとは断言できないと書いていましたが、ゴルフで思うような結果が残せなくても、クリスティーナ・キムという女性の全てを受け入れ、愛してくれた恋人が居ても自分の命を絶つことを考えたほどだったということからして、相当心を病んでいたことが想像できます。

最終的に医師に相談し、薬を半年服用したことで徐々に回復していったそうですが、明るさではツアーで１，２を争うほどの選手なだけに、そのイメージから悩みがあってもなかなか打ち明けることができなかったのかもしれません。
かなり前になりますが、フロリダで開催された大会を見に行った時、サインを求めるファンにがんばってくださいと声をかけられるとありがとうと一人一人に笑顔で応えていた彼女に好感を持ちました。そしてキムのような選手が試合数が減る一方だったLPGAツアーのギャラリーを増やす立役者だとつくづく感じました。
私も彼女とうつ病は無縁だと思っていたので彼女のブログでの告白に驚いた一人です。
日曜日、最後のパットを沈め、クリスティーナ・キムらしい派手なガッツポーズを決めたあと、泣きながらグリーンにあがってきた親友のミッシェル・ウィーと涙、涙のハグ。そのシーンを見守っていた大会ホスト、ロレーナ・オチョアの目も潤んでいました。
親友のM・ウィーと抱き合うC・キム
キムにとっては２００５年以来の優勝、“２度あることは３度ある”と言っても、自身の３勝目を誰よりも信じられなかったはずです。うつ病と戦った日々を公にすることで自分と同じように苦しむ人達を少しでも助けられたらと思ったというキム。
今回の優勝はクリスティーナ・キムの気持ちがわかる人達にとって最高の励みになったはずです。
キムのお母さんの言葉どおり、No matter how dark the nights are, there’s always a beautiful sunrise tomorrow.
そう、必ず夜明けはやって来ます。　それもとびきり美しい夜明けが・・・

LPGAツアー最終戦「ＣＭＥグループツアーチャンピオンシップ」放送日時
１日目：11月20日(木)深夜3:30?翌6:00
２日目：11月21日(金)深夜3:30?翌6:00
３日目：11月22日(土)深夜3:30?翌6:00
最終日：11月23日(日)深夜3:30?翌6:00（※最大延長午前8:30)