海外男子

“ＢＵＣＫＥＴＬＩＳＴ”

2015年7月4日（土）午後5:13

米フロリダ州オーランドより番組制作スタッフが、独自視点でお届けするユニークなゴルフ最新情報！

ザ・マックグラッドリークラシック２０１４?２０１５年ＰＧＡツアーシーズン３戦目、アメリカ南部に多く見られる壮大な湿地帯に位置するコースが舞台のザ・マックグラッドレー・クラシックは、新シーズン初のプレーオフで決着がつきました。
１３２人のフィールドで、ワールドランキング５０位までの選手が６人、メジャーチャンピオンが９人、昨シーズンのチャンピオン３６人のうち１０人、ライダーカップアメリカチームのメンバー３人が出場。その中で勝ち抜いたのは、PGAツアー初優勝となったオクラホマ州生まれ、カンザス・ステート大学出身、２７歳のロバート・ストレブでした。

最終ラウンドをトップと５打差で迎えたストレブは、最終組のアンドリュー・スボボダとウィル・マッケンジーよりも１時間半も早くラウンドをスタート。１番をボギーとしたものの、前半残りの８ホールで５バーディ。バックナインに入って１３番で２つ目のボギーを叩いたあと、１４番から４連続バーディ。最終１８番パーフォーでバーディなら８アンダーの６２でしたが、惜しくも逃し６３。トータル１４アンダーでクラブハウスリーダーとして後続の選手を待ちます。
結局誰も１５アンダーに伸ばすことができず、ストレブ、ブレンドン・ディ・ヨン、そしてウィル・マッケンジー、３人によるサドンデスのプレーオフにもつれ込みます。

３人の中でＰＧＡツアー優勝経験があるのは２勝のマッケンジーだけで、ストレブとディ・ヨンはともに２位フィニッシュがキャリアベスト。マッケンジーの最後の優勝は２００６年とは言え、ストレブがプレーオフまで１時間半も待たされたことを思うと、マッケンジー有利かと思われました。
しかし、プレーオフひとホール目の１８番でティショットを右のラフにいれたマッケンジーがボギーであえなく脱落、パーであがったストレブとディ・ヨンが２ホールめ、１７番パー３に進み、そこでピン奥１．２メートルにつける見事なショットからバーディを奪ったストレブが嬉しいＰＧＡツアー初優勝を飾りました。
ＰＧＡツアーの３シーズンめにウィナーズサークルに加わったストレブにかけより祝福のキスをプレゼントしたマギー夫人。２人にとって初めての赤ちゃん（女の子）が２月に誕生するそうで、優勝は何よりの前祝いになったはずです。
ロバート・ストレブ優勝！ストレブに駆け寄るマギー夫人
そしてゴルファーとしてのストレブにとって最高のご褒美はマスターズに出られること。　まだ一度もメジャー大会に出たことがないストレブは、“BUCKET LIST”（死ぬまでにやっておきたいこと）として、オーガスタ・ナショナルでプレーすることを挙げていました。
いつかマスターズに出場したい、その夢をわずか４９試合目のツアー初優勝によって実現させたのですからあっぱれです。
２月にパパになり、４月にマスターズで晴れ舞台に立つストレブ、年明けが誰よりも待ちきれないでしょうね。

“BUCKET LIST”、バケツリストはKICK　 THE BUCKET,　死ぬ、くたばるという言葉から来ています。
タイガー・ウッズが死ぬまでにやっておきたいこととは？医師やセラピストの言うことに耳を傾け、リハビリは順調というタイガー・ウッズは、１２月初めの自らのトーナメントに備えて、いよいよフルショットを練習しているそうです。巨額の富を手にしたタイガーが死ぬまでにやっておきたいことって何なのでしょうか・・・

私達庶民ならアラスカでオーロラを見る、宇宙旅行、あるいはストレブのように、オーガスタ・ナショナルでプレーする等数え切れないほどありますが、やろうと思えばそれらを難なく実現できるタイガーにとって人生を終える前にやっておきたいことって何なのか、興味をそそられます。
誰にも気づかれずに有名ハンバーガーチェーンで好物のチーズバーガーを頼み、一人静かに食べる・・・なんて案外些細なことかもしれませんね。

一方、PGAオブ・アメリカのテッド・ビショップにとって死ぬまでに成し遂げたいことは、汚名返上かもしれません。
元PGA オブアメリカプレジデントテッド・ビショップビショップはニック・ファルドを批判したイアン・ポールターに対してソーシャルメディアで不適切なコメントをしたとして、先週PGAオブ・アメリカのプレジデントを解任されました。歴代のプレジデントとして名前も残してもらえないことになってしまうなんて、夢にも思っていなかったでしょう。
アメリカは差別に対してとても敏感な国です。ビショップはポールターを“Little girl”呼ばわりし、それが女性を侮蔑した引用で、性差別的発言として非難されました。
PGAオブ・アメリカは、PLAY GOLF AMERICAを合言葉に、このところ減りつつあるゴルフ人口を増やそうと日々努力を続けています。ゴルファーを増やすには、女性や子供達にもっとゴルフに興味を持ってもらうことは必須です。そんなPGA オブ・アメリカを代表する人物が、こともあろうに誰もが目を通すことができるＳＮＳ上で発言してしまったのですから、うっかりでは済まされず、解任は仕方ないことだったのかもしれません。

しかし、処分は重すぎると見ているアメリカ人が少なくないのも事実です。
「言論の自由は無くなった。それくらいで組織のトップの座を追われるくらいなら、うかつにものも言えない」という人もいます。
もちろん、言論の自由は何を言ってもいいということではありません。ビショップほどの地位にあった人なら、一般人以上に言葉の選択に注意を払わなければならないのは当然です。
イアン・ポールター私は、ビショップがソーシャルメディア無しでは生きていけないポールターを相手にしてしまったことが悲劇の始まりだったと感じます。自分がキャプテンだった08年のライダーカップで、「セルヒオ・ガルシアは役立たずだった」と言ったファルドも思慮が足りないし、いちいち何か言わなければ気がすまないポールターも正義感からか、偉大なゴルファーに対して「鏡を見ろ」と言い、それに対してお前は何様だ！と思わずキーボードを叩いてしまったビショップも大人気ない。
子供達の間でＳＮＳ上でのいじめが増えているというニュースを見たばかりでしたが、大人の社会でも思わぬ結果を招くこともある、そんないい例でした。
ビショップは、ポールターに電話をして、「メジャー６勝のファルドに対してあんな風に言うのは良くないよ。」と諭せばよかったのに・・・残念です。

さて、今週はマレーシアに舞台を移し「ＣＩＭＢクラシック」です。
シーズン開幕戦と２戦目を１９位、２８位とした石川遼選手と、同じく３位と１０位につけた松山英樹選手がそろって出場する３試合目。２人による優勝争い、期待しましょう！