小松直行の週刊オフチューブ - 今季もあと4試合、ファイナルシリーズに突入!-
2015年6月28日(日)午後0:53
LIVE FROMのMCや欧州ツアー中継の実況を担当している小松直行アナウンサーが、ゴルフ最新ニュースをピックアップ。小松さんならではの視点からゴルフ界の最新動向をお届けします!
目次:
・今季もあと4試合、ファイナルシリーズに突入!
・おさらい:レース・トゥー・ドバイの仕組み
・小松の小耳:Gマックがゴルフビール発売;ポールターが自伝出版、史上最長の1mパット!
【BMWマスターズ】
世界26カ国をめぐる全49試合のクライマックス、ファイナルシリーズ。合計賞金総額は3050万ドル(約33億円)。
この4試合だけで日本のツアーの一年分を上回ってしまう規模には驚きます。上海、上海、トルコ、そして最終目的地、ドバイへ。
今週は上海市中心街から北へ28km(約40分)のレイク・メーラレンGCマスターズコース。7,607ヤード、パー72。
オリジナルのコースは豪ピーター・トムソン設計で36ホールのゴルフリゾートとして2005年にオープンしました。うち、サウスレイクコースを2010年にジャック・ニクラスが改造。マスターズコースと改称して2011年10月公式開場しています。
全般的にフラットながら自然の地形、植生が活用されたコース。470ヤードを超えるパー4が5つあるのも特徴。飛距離が物を言いますが、大きなバンカーとウォーターハザードも多く待ち構えています。
2011年10月末に「レイク・メーラレン上海マスターズ」と銘打たれたエキシビションが開催され、ローリー・マクロイがアンソニー・キムとのプレイオフを勝って、賞金200万ドルを獲得しました。その翌年、2012年から欧ツアーの公式戦として位置づけられたのがBMWマスターズです。過去2年を簡単に振り返っておきましょう。
<2012年>:ピーター・ハンソンの逃げ切り優勝。21アンダー。18ホールを残してトップは16アンダーでハンソン、1打差にマキロイ、3打差にG・コツイエ、5打差に6人、L・ドナルド、J・ローズ、C・シュワーツェル、シェーン・ロウリー。マキロイは序盤に連続ボギーで後退するも巻き返し、15番パー5でイーグル、16番バーディーで2打差まで迫るが及ばず。ハンソンは15番までに6バーディーで、最後は安全策のボギー。ドナルドがノーボギー66で3位。I・ポールターもノーボギーの65で4位に入りました。
<2013年>:ゴンザロ・フェルナンデス・カスターニョのキャリア7勝目。11アンダー。R・カブレラベヨ、ルーク・ガスリーが8アンダーで並んで首位で最終日に入るが伸ばせず。1打差を追いかけて始めたゴンゾは6番ホールまでパーを重ねた後、17番までに6バーディーノーボギー。最終ホールでティーショットをバンカーに入れ、3打目もバンカーに入りダブルボギーになるも辛勝。フランチェスコ・モリナリが64、トンチャイ・ジャイディーが66で上がり、1打差の2位タイ。Pハンソンは最終日のベストスコア63で8位タイに食い込みました。
【BMWマスターズ 放送日時】
1日目:10月30日(木)午後11:00?深夜2:00
2日目:10月31日(金)午後10:30?深夜2:00
3日目:11月01日(土)午後1:00?5:00
4日目:10月18日(土)午後11:30?翌午前4:30
最終日:11月02日(日)午後1:00?5:00(※最大延長 午後6:30まで)
*Rマキロイは裁判がらみ、Hステンソンは第3子誕生で欠場ですが、フィールドにはWR6位のJ・ローズを始め、先のライダーカップメンバーが揃います。T・ビヨーン、J・ドナルドソン、G・マクドウェル、V・デュビソン、S・ギャラカー、I・ポールター
*フィールドは78名。中国ゴルフ協会からの推薦14名とスポンサー招待4名を含みます。ゴルフが五輪種目となって加速した中国の選手育成の成果はすでに随所で見られていますが、今週はどうでしょうか。
6年目の“レース・トゥー・ドバイ(R2D:RACE TO DUBAI)"
欧ツアーの賞金ランキングはかつて「オーダーオブメリット」と呼ばれるポイント制でした。
ポイント制と入っても、実際には獲得賞金をポイントに代えて加算していく方式で、極端な違いはないわけですが、そのものずばりの「マネーランキング」と呼ぶアメリカとは違って、「名誉の順位(Order of Merit)」と呼ぶあたりに欧州流の奥ゆかしさがあったかもしれません。
上位15名に総額500万ドルのボーナス:そのオーダー・オブ・メリットも2009年、欧ツアー38周年の新機軸として“レース・トゥー・ドバイ"に変わり、現在に至っています。
レース・トゥー・ドバイは高額賞金の設定されるシーズン最終戦終了後の最終ランキング上位者に、ボーナスが与えられる仕組みです。初回2009年から11年までボーナスは15名に総額750万ドルが分配されました。2012年に、ボーナスを減らして賞金総額を上げる変更が加えられ、上位10名に総額375万ドルのボーナスとなっていました。今年から更なる変更でボーナス総額が増やされました。上位15名に総額500万ドルのボーナスが分配されることになっています。現時点で15位はタイのトンチャイ・ジャイディー。ちなみに15位までのプレイヤーの国籍は14か国というのも欧ツアーツアーの魅力ですね。
ファイナルシリーズ:2013年に導入された新たな仕組みが、シーズン最後の4試合を「ファイナルシリーズ」と呼んで、そこまでの賞金獲得額をポイントに換えて競い合う仕組みです。
今週からのBMWマスターズ、WGC−HSBCチャンピオンズ、ターキッシュエアライン・オープン、そして最終戦のDPワールド・ツアーチャンピオンシップ・ドバイ。2013年は最終戦の前の3試合にすべて出場すると、そこでの獲得賞金の20%の“ごほうび”ポイントを獲得できることになっていました。つまり、ファイナルシリーズ全試合出場でスポンサーも納得、プレイヤーも最終的なR2Dボーナス獲得へ向けて有利となる仕組みでしたが、今季はファイナルシリーズでのパフォーマンス自体が反映されるように変わりました。
2013年は、先立つ3試合のうち2試合に出なければならないという規定が設けられていたために、セルヒオ・ガルシアとシャール・シュワーツェルがポイントランキング60位以内にいながら最終戦に出場できませんでした。最終戦までに2試合出場という義務規定は、今年の春、取り払われました。
2013年はガルシアとシュワーツェルに加え、日程衝突でアーニー・エルス、怪我のためにアレックス・ノーレンが出られなかったので、最終戦フィールドは56名でしたが、今年からフィールドは必ず60名になります。
ポイントランキングの60位までに限定されず、前週までに公式戦12試合以上に出場した者のうちの上位60名と改められました。
ポイント制度の変更:パースインターナショナルの終了時点でR2Dの獲得金額の1ユーロを1ポイントとして換算してファイナルシリーズに突入するのは今年も同様ですが、ファイナルシリーズの各試合では実際の賞金総額にかかわらず、一律1000万ポイントを奪い合うことになりました。その分配率は賞金分配率と同じで、優勝は166万6600ポイントです。
マキロイの予定変更でレースは白熱!:2014年で6回目のレース・トゥー・ドバイ。2017年まで継続することが決定しています。これまでリー・ウエストウッド、マーティン・カイマー、ルーク・ドナルド、ローリー・マキロイ、そしてヘンリク・ステンソンが頂点を極めています。
今季、ここまでトップを独走しているR・マキロイが今週と来週の欠場を決め、最終戦まで出場しないために、追いかけるプレイヤーにとっては面白くなりました。
現時点で、マキロイは2位のガルシアに3,124,987ポイント差をつけています。マキロイは最終戦で最下位の27,170ポイント以上は稼ぐことになります。そのポイントを加算するとマキロイは合計5,427,869ポイント。最終戦優勝でマキロイを逆転するシナリオを考えると、優勝1,666,600ポイント獲得ですから、5,427,869−1,666,600=3,761,269。今週からの3試合でこの3,761,269ポイントに達することが可能なプレイヤーには、R2Dの頂点に立つ可能性が残されていることになります。
計算上、この3試合で最大4,999,800ポイント獲得可能。2試合優勝で3,333,200ポイント獲得。現時点で上位20名のプレイヤーなら、優勝と2位でもチャンスは大いにある、ということになります。
S・ガルシア:現在2位のガルシアは最終戦までに2試合出場予定です。最終戦でマキロイを凌駕するためには、その2戦で最低1,485,557が必要です。これは2位とトップ5で可能な数字です。
H・ステンソン:3位につけている去年の覇者ステンソンは1,820,039ポイントが必要。
V・デュビソン:去年のトルコで初優勝を果たしたデュビソンはディフェンディングも含めて2,077,370が必要です。
最終戦は、初回から2013年まで、ドバイにあるジュメイラ・ゴルフエステートのアースコースで開催されてきましたが、今年から2017年までは同ファイアーコースが舞台となる予定です。