海外男子

すべり込みセーフ！

2015年6月24日（水）午後6:36

米フロリダ州オーランドより番組制作スタッフが、独自視点でお届けするユニークなゴルフ最新情報！

ＢＭＷチャンピオンシップ優勝ビリー・ホーシェル白一色のギャラリースタンド、タイトルスポンサーの未来をイメージするスポーツカーの存在が一段と映えたＢＭＷチャンピオンシップ。４試合からなるフェデックスカップ・プレーオフシリーズ３戦目は、６日前に手痛い敗北を喫したばかりのビリー・ホーシェルのリベンジで幕を閉じました。先週の月曜日、ドイツバンク・チャンピオンシップ最終日、ホーシェルは18番でプレーオフに持ち込むチャンスを手にしていたものの、６番アイアンでダフってしまい、ハザードにつかまり大会を２位タイで終えました。あのショットをビビったと言った人達にそうではないことを証明したホーシェルは、“ 自分に対するネガティブなコメントは起爆剤になるだけ"とミスショットをひきずることなく、プレーオフ初戦で予選落ちのあと２試合続けて好調なゴルフを続け、事実上１週間で 2,037,333ドル、2億1千600万円余りを稼ぎだしました。

初戦のザ・バークレイズと続くドイツバンク・チャンピオンシップのように終盤の大接戦は見られず、ホーシェルの最終ラウンドはワンアンダー、８番から11ホール連続パーというかたいゴルフ。ホーシェルは、彼を追う立場だった選手がグリーンを読みづらいチェリーヒルズ・カントリークラブで伸び悩んだことにも助けられてのツアー２勝目達成だったと言えるでしょう。

11番でバーディを奪い、ホーシェルに並んだのが２度目となったライアン・パーマーは、12 番ボギー、13番ダブルボギーと崩れます。前半29でついに来るかと思われたセルヒオ・ガルシアは、17番パー５で刻む作戦が裏目に出てトリプルボギー。今年マスターズ２勝目をあげたあと、全米、全英両オープンで予選落ち、全米プロ・ゴルフ選手権では64位とふるわず、マスターズ以降のトップテンは松山英樹選手が優勝したザ・メモリアル・トーナメントの３位だけというババ・ワトソンは、17番を終了しホーシェルと２打差。18番をバーディとし、ホーシェルにプレッシャーをかけたいところでしたが、ワトソンのパーでホーシェルは18番としても優勝という状況になります。
ＢＭＷチャンピオンシップ優勝ビリー・ホーシェル２週続けてライバルのプレーを18番のフェアウエイから見守ったホーシェルは、ピンまで残り158ヤード。ツーパットは確実という位置につけたホーシェルは、ズボンのポケットの中身を全て取り出しキャディに預け、猛ダッシュ。中継ブースの二人がアップになる中、画面左下に全力で走る小さなホーシェルの後姿、いったい何が起こったのか、当然画面はまもなく優勝トロフィーを手にするホーシェルを再び映します。ギャラリー方向を指差しながらダッシュを続けるホーシェルがロープをくぐり抜け、ギャラリーの間を抜けてたどりついたのは・・・・トイレでした。何ホールも前から我慢していて最終ホールのセカンドショットを打ったあとこれで安心と思い、タイミングを逃す前に行こうと思ったそうですが、1億5千万円近い賞金がかかった優勝争いで生理現象とも戦いながらよくもあれだけ大事なパーパットを沈められたものだと感心しました。プレーも早いホーシェルはどちらかというとせっかちな性格に見受けられます。さっさと優勝を決め、それからゆっくり開放感に浸りたいそう考えていたのかもしれません。一緒に回っていたパーマーとマーティン・カイマーがちょっとてこずったため、席をはずしたホーシェルは同伴競技者に迷惑をかけることも中継を遅らせることもなく、ツーパットであがり２打差の優勝を果たしました。

チャンピオンが18番でグリーンとは違う方向に走り出すという前代未聞のできごとは当然大きく取り上げられました。世界ナンバーワンのように４パットでもしない限り優勝が決まっていたホーシェルは、グリーンに向かう時、手を差し出す多くのファンにタッチし応えていたそうですが、彼が手を洗っていたことを祈ると書き込んでいた人もいました。同感です。 27歳のホーシェルは、9月27日に父親になる予定です。生まれてくるのは女の赤ちゃんで、名前もスカイラーちゃんと決まっているそうです。わが子を抱く時はくれぐれも手を洗っていくようにお願いします。

松山英樹選手違う意味ですべり込みだったのが、松山選手でした。松山選手はプレーオフシリーズをフェデックスカップ・ポイントランク24位で迎えたものの、初戦の成績が30位タイ、２戦目57位タイでＢＭＷチャンピオンシップを迎えた時のポイントランクは30位、最終戦のツアーチャンピオンシップに出場できるぎりぎりの順位でした。31位以下の選手に抜かされないために余裕はほぼ皆無状態だった松山選手は、最終日14番まで２バーディ、３ボギーと１オーバーペース。予想ポイントランクで31位にはじき出されることも考えられた状況となったあと、今シーズン最年少の勝者はまたしても精神力の強さを見せつけました。１７番パーファイブではフェアウエイバンカーにつかまりましたが、そこからグリーンを捉えてバーディ、最終 18番ではピンに当たるショットからバーディ。そんなショットで笑顔がこぼれた松山選手に一緒に回ったベン・クレーンがこぶしを差し出し、グータッチ。松山選手はフェデックスカップ・ポイントランクで28位につけ、無事ツアーチャンピオンシップ進出を決めました。

ポイントがリセットされ、松山選手は230ポイントでツアーチャンピオンシップを迎えます。トップはクリス・カークで2500ポイント、２位が2250ポイントのホーシェル、３位は1800ポイントのババ・ワトソン、４位がローリー・マキロイで1800ポイント、５位で1600ポイントスタートとなるハンター・メイハンに、優勝なら１千万ドルのボーナス賞金ゲットのチャンスがあります。最終戦の勝者は2500ポイントを獲得するため、解説のブランデル・シャンブリーが言うように1200ポイントでスタートする７位、優勝争いの常連、ジム・フューリックあたりが年間王者になる可能性も充分あります。泣いても笑っても今シーズンの最終戦、アトランタのイーストレイク・ゴルフクラブが舞台のツアーチャンピオンシップ。ポイントランク30位は戦線離脱しているダスティン・ジョンソンになったため、29人の精鋭による戦いとなります。トップを行くアメリカの若手二人のいずれかが夢のビッグボーナスを手にするのか、それともメジャータイトルを複数持つビッグネームの逆転優勝か、予想外の大波乱はあるのか、いずれにしても私達には考えられない巨額のボーナスに見合う濃い戦いになることを祈ります。松山選手が今週の日曜日に10億円強を手にする可能性は少ないにしても、ツアーチャンピオンシップは大きなタイトルです。フル参戦一年目にツアーチャンピオンになって、来年メジャーで優勝・・・悪くないシナリオです。