海外男子

「彼は今、誰よりも強い」その結果「もっとも手痛い敗北」をもたらした。しかし「私達がそれを阻止する」

2015年6月24日（水）午前8:00

米フロリダ州オーランドより番組制作スタッフが、独自視点でお届けするユニークなゴルフ最新情報！

第96回全米プロゴルフ選手権　優勝ローリー・マキロイ
第96回全米プロ・ゴルフ選手権最終ラウンドは、タイガー・ウッズの涙なのか大雨でスタートが遅れ最終組が日没までにプレーを終えることができるのか心配されました。
ケンタッキー・ダービーが開催されるルイビルにふさわしいPGAツアーのサラブレッドが中心となった優勝争い。スタート時点から誰が勝ってもおかしくない展開で、一時はトップに５人が並ぶ大混戦模様。湿ったグリーンで、ボールがぴたっと張り付くように止まりバーディにバーディの応酬。
普段はコマーシャルはなくてもいいと思うのに、CMで一息つけることに感謝した大会は久しぶりでした。
ボギーが二つ先行し、追いかける立場となってしまったトーナメントリーダーのローリー・マキロイ。
全英オープンとは状況が違ったせいか顔つきもやや険しく、広々としたバルハラで嫌でも目に入ってしまうフィル・ミケルソンとリッキー・ファウラーのバーディを見るのは穏やかな心境ではなかったでしょう。
流れを変えたのは10番パー5、本人がラッキーだったと語ったセカンドショット、マキロイのボールはまるでリモコンで操作したかのようにフェアウエイからラフまでの幅をキープしたまま曲線を描きグリーンまでころがり続けました。
第2ラウンドの18番に続く今大会２つ目のイーグルを奪ったマキロイが勢いをつけたのに対し、ミケルソン、ファウラー、ステンソンは第３コーナーを曲がりきったあと力尽き、夕闇迫る中あがりをパーでまとめたマキロイがミケルソンに１打差でメジャー2連勝、メジャータイトルを４つに増やし、フェデックス・カップのポイントランクでついにトップに立ちました。
“苦しみもがきながらでもメジャーで勝てることを証明できたことは大きな収穫”と語ったマキロイは、まだ25歳。今後毎年メジャー１勝すれば、タイガーの今の年齢38歳でさらに13勝、通算で17勝という計算になります。トップ争いした３人のコメントからも、今のマキロイがそれを可能にできそうな勢いであることがうかがえます。

フィル・ミケルソン
”HE'S BETTER THAN EVERYONE ELSE RIGHT NOW”
今季は腰痛などに見舞われたこともありまだ優勝がないミケルソン。
バルハラでは久々にファンを沸かせてくれましたが、メジャーでの２位フィニッシュがこれで９回になってしまいました。
ミケルソンは自分達がプレーを終えないうちに、最終組の二人にティーショットだけでなく２打目も打たせたため、プレーを待たなければいけなかったことを快く思っていませんでした。
普段なら思ったことを口にするミケルソンですが、今回は不満は述べず、“優勝の行方には影響はなかったと思う。通常はやらないことだけどね”と言うにとどまり、“ローリーは、今誰よりも強い”と今季メジャー２冠の王者の力を認めました。

リッキー・ファウラー
“THIS ONE DEFINITELY HURTS THE MOST”
今シーズンの４大メジャーで５位、２位、２位、３位といずれもトップ５につけたリッキー・ファウラー。
メジャー初制覇が近いことを意識していたせいか、さすがにこの日ばかりは、いつもようにファンとグータッチを交わすこともありませんでした。
信じがたいパーセーブも及ばず敗れたファウラーは“最初の３試合は優勝を狙える位置につけ、上位で終えられて楽しかった。でも今回は勝てると思っただけに　“間違いなくもっとも手痛い敗北”と語り、その後ツィッターでマキロイの優勝を称えます。そしてマキロイはすぐに“君が勝つ日は近いうちに来る！これから何度もまた戦えるといいね”とニューヨークへ向かうプライベートジェットの中から友の健闘を絶賛。

ヘンリック・ステンソン
“IT'S UP TO HIM AND HOW HARD WE CAN TRY TO MAKE IT NOT HAPPEN”
2013年シーズン、終盤の信じがたい活躍でフェデックスカップの年間王者に輝いたステンソンも、久々に優勝争いに加わり今季最後のメジャーを盛り上げた一人でした。
ステンソンは“マキロイは自信をつけているからこそ、つまづいてもカムバックできる。アグレッシブな良いゴルフができるんだ”と語り、“これから７年近く毎年メジャーで勝ち続けても驚かない。“それはマキロイ次第、そして私達がそれを阻止するためにどれだけ頑張れるかだ”と記者会見を締めくくりました。

（左）ジョー・ラカバ（右）タイガーウッズ
“TOUGH AND STUBBORN ”
タフで頑固者。これはタイガー･ウッズのキャディ、ジョー・ラカバがボスをあらわした言葉です。
水曜日、自分で車を運転しコースにやってきたタイガー。著名なゴルフライター、DAN JENKINSはツィッターで”タイガーが２時に練習ラウンドを始めるらしい。救急救命士を呼べ“とコメント。
喜びながらも心配そうに見つめるファンやメディアの前でプレーしたタイガーは、先々週の日曜日の腰の痛みが嘘のように元気な姿。しかしラウンドを重ねるにつれ痛みが増してきたのは明らかで、フォロースルーはできてもバックスイングがまともにできないスイングで第２ラウンドのバックナインをなんとか終了。
調子がいい時は棄権しないのがタイガーだと批判されたこともあってか、10番ホールのティーに向かった時は、見ている私達の方が「本当に続けるつもりなのか」とハラハラしてしまいました。
手術を受けた箇所ではなく、先々週の日曜日に痛めた部分がまたうずいたとのことですが、そうなるのはわかっていたはず・・・。ライダーカップでタイガーの姿を見たいのは山々ですが、お願いですからせめて今年いっぱい腰を完治させることに専念して下さい。

この夏のローリー・マキロイの破竹の快進撃で、ついにマキロイの時代到来と言われていますが、私達はその前にマキロイとタイガー、２強の時代、いえ、リッキー・ファウラーやセルヒオ・ガルシア、ジェイソン・デイも石川遼選手も松山英樹選手も加わり、タイガーに憧れてきた若き実力者達がタイガーとバトルを繰り広げる時代を楽しんでから、タイガーが彼らにバトンタッチするのを見届けたいのです。
数字にこだわるのも結構、でも本当にメジャー19勝に達することができると思うのなら、最低でも100％の体でプレーしてほしい。そう願ってやみません。

今週のPGAツアーは、ノースカロライナ州のグリーンズボロで開催されるウィンダムチャンピオンシップ。来週にはプレーオフシリーズが始まります。
全米プロで最終日68をマークし、36位につけた松山英樹選手の他、石川遼選手と今田竜二選手も出場します。先週の日曜日、63もありえる勢いだったアーニー・エルスもお気に入りの大会。
今季最後のレギュラーイベントで名乗りをあげるのは誰か、手に汗握る優勝争いが今週も見られるのか楽しみですね。