海外男子

“ナショナルオープン・キラー”ティム・クラークと長尺パター

2015年7月30日（木）午後2:29

米フロリダ州オーランドより番組制作スタッフが、独自視点でお届けするユニークなゴルフ最新情報！

ティム・クラーク 1860年に始まった全英オープン・ゴルフ選手権と1895年から開催されている全米オープン・ゴルフ選手権に次ぐ歴史を誇るRBCカナディアン・オープン。今年は1904年に第一回大会が開かれたロイヤル・モントリオール・ゴルフクラブでの通算10回目の開催となりました。
前週の全英オープンで単独4位につけたベテラン、44歳のジム・フューリックは5月にウェルズ・ファーゴ・チャンピオンシップ、ザ・プレーヤーズ・チャンピオンシップと2週続けて単独2位。そのフューリックが再び54ホールのリーダーとなり迎えた日曜日、3勝をあげプレーヤー・オブ・ザ・イヤーに輝いた2010年以来の勝利を味わうのかと思えるスタートでした。しかしトロフィーを手にしたのはフューリックと3打差でスタートした南アフリカ出身ティム・クラークでした。

クラークのPGAツアー唯一の優勝は2010年のザ・プレーヤーズ・チャンピオンシップで、ともに4年ぶりのＶを目指しての優勝争い。最終日、クラークは１番でいきなりボギーを叩き、フューリックとの差を4打に広げてしまったものの、バックナインでは10番から17番まで続けてワンパットとするなど30で周り、最終日65とし、69のフューリックに逆転優勝。1打のリードで迎えた18番、フューリックの4.5メートルのバーディパットは無常にも左に切れ、対するクラークは2メートル弱のしびれるパーパットをトレードマークの長尺パターでしっかり沈めて、久々の勝利の味をかみしめました。クラークは2011 年のソニー・オープンの際、右肘を痛めてしまい、手術を受けたあと苦戦が続いていただけに喜びもひとしおだったことでしょう。
PGAツアー初優勝の際にはまだ生まれていなかった二人の子供を連れてグリーンに駆け寄ったのは、トロント出身のキャンディス夫人。クラークにとってプロとして初めて優勝した場所がカナダでした。それはプロに転向した1998年のカナディアンツアー（現PGAツアー・カナダ）の大会で、その翌週にはカナディアン・PGAチャンピオンシップでも優勝。当時はまだレンタカーも借りることができない年齢で最初の大会会場へはバスで行ったというクラーク。16年前と今を思う時、感慨深いものがあるでしょう。クラークは、PGAツアーではまだ２勝ですが、これまで南アフリカ・オープンやスコティッシュ・オープン、オーストラリア・オープンでも優勝している実力派。ペンギンというかわいらしいニックネームを持つ“ナショナルオープン・キラー"です。

クラークは子供の頃から前腕がほとんど回らず、お皿を手に持つといった簡単な動作にも不自由するそうで、通常の長さのパターを上手く握ることができないため昔から長尺パターを使用しています。2016年からアンカリング打法が禁止となる PGAツアーを訴えるようなことはしたくないと言うクラークですが、障害者法の適用もふまえて弁護士のカウンセリングを受けています。ただ単にアンカリング打法禁止を不当と主張する選手とは違う扱いでPGAツアーがクラークの事情を考慮してくれるといいのですが・・・
そんなクラークに1997年の全米アマチュア・パブリック・リンクスゴルフ選手権の決勝戦で敗れた今田竜二選手は、RBCカナディアン・オープンに繰り上げ出場し、予選を突破して70位につけました。最終日の69が次の大会につながりますよう祈っています。

世界遺産のエバーグレーズ国立公園さて、先週はフロリダのゴルフコースで人がワニに襲われる事件がありました。といってもプレーしていた人ではありませんのでご心配なく。その人はスティーブン・マルティネスさん（51歳）といい、コース内の池に沈んだボールを回収することを職業としています。マルティネスさんはマイアミの北西30キロ余りのところにあるウェストンという町にある BONAVENTURE COUNTRY CLUBの池に潜ってボールを取っていたところ、ワニに襲われたそうで左手首を噛まれたものの幸い厚地のウェットスーツを着用していたため重症には至りませんでした。なんとマルティネスさん、同じ腕を2006年にも他のコースで噛まれたことがあるそう。「２度とも軽症で済んだのはラッキーだけど、大好きなこの仕事をやめるつもりはないよ」と言っていたことにも驚きましたが、もっとびっくりしたのはニュースで「なお、捕獲されたワニ（2ｍ80ｃｍ前後）はマルティネスさんを襲ったワニかどうかはわからないそうです」と言っていたことです。
ウェストンという町は、フロリダ南部に広がる世界遺産のエバーグレーズ国立公園に隣接していて、町の北を走る INTERSTATE 75号線は、ホーガンの小道ならぬ“アリゲーター・アレイ"と呼ばれるフロリダ半島の東西を結ぶ部分にかかっています。私も10年以上前、100数十キロも続く殺風景なこの道を走っている時、中央分離帯にワニを発見したことがあります。緑の草があるだけの広い中央分離帯に何やら黒っぽい物体があり、後続の車が居なかったため速度を落としてよく見るとワニ。体長1.5メートルくらいだったでしょうか・・その後ゴルフコースでワニを見かけたこともありましたが、その時が初めてのフロリダゲーターとの遭遇だったので噂には聞いていたもののビックリ。今年の５月、アリゲーターアレイをその時とは逆に西から東に走りましたが、幸か不幸か出会いはありませんでした。

フロリダは残念なことに人がワニの餌食になってしまう危険が最も高い州で、落雷で亡くなる方の数、サメに襲われる人の数でも全米１位です。考えればとても怖い州ですが魅力がたくさんあるのも事実。その魅力は、また追って紹介させていただきます。日本の皆さんもゴルフコースで落雷に遭わないように充分注意して下さいね。
タイガーウッズ、松山英樹今週はタイガー・ウッズの庭のひとつ、オハイオ州アクロンにあるファイヤーストーンCCが舞台のWGCブリヂストン・インビテーショナルが開催されます。タイガーは去年、2位に7打差で大会8勝目をマーク、それはPGAツアー通算79勝目、タイガーにとって最後の優勝です。白鵬関が通算30勝達成なら、虎王は80勝に達するのか、今週も目が離せません。オハイオ州で再び優勝の期待がかかる松山英樹選手、そして竹谷佳孝選手、丸山大輔選手の健闘も楽しみです。なお、ネバダ州リノが舞台となるバラクーダ・チャンピオンシップ（旧リノ・タホ・オープン）には今田選手が出場します。
「 WGCブリヂストンインビテーショナル」放送日時
１日目：8月1日(金) 午後7:00?10:00
２日目：8月2日(土）午後7:00?10:00
３日目：8月3日(日）午後7:00?10:00
最終日：8月4日(月）午後7:00?10:00