海外男子

29回目の正直

2015年5月29日（金）午後7:00

米フロリダ州オーランドより番組制作スタッフが、独自視点でお届けするユニークなゴルフ最新情報！

ハンター・メイハン、キャンディ夫人、長女ゾーイ・オリビアちゃん
2007年から始まったシーズンを通しての戦い、フェデックス・カップ。4試合からなるプレーオフシリーズ初戦でツアーの精鋭125人だけによる大会、大接戦となったザ・バークレイズを制したのは2007年からプレーオフの大会にただ一人一試合も欠かさず出場しているハンター・メイハンでした。他に該当者がいないことからもそれがいかにすごいことか容易にわかります。
プレーオフ最終戦のツアーチャンピオンシップに出場できるのはポイントで競うフェデックスカップ・ランキングで上位30人だけですから、メイハンは７年連続で毎年最終戦まで進み、余裕があれば欠場という選択もある中、全ての試合に出場。それは心身ともに健全な状態であったことの現れです。しかしそれだけ挑戦してきたにもかかわらずプレーオフシリーズで一度も優勝がなく、通算29試合目で初勝利となったのは意外と言えるかもしれません。メイハンのフェデックス・カップの最終ランクは2009年の27位が最下位で、残る6年は毎年20位以内、2007年以降の賞金ランクは2008年の30位が最も低く、他の年は全てトップ20につけています。メイハンはワールド・ゴルフ・チャンピオンシップのブリヂストン・インビテーショナルやマッチプレーの大会も制している実力派で、先週の優勝がPGAツアー通算6勝めですが7勝めになっていてもおかしくありませんでした。

メイハンは2013年のPBCカナディアン・オープンで36ホールのリーダーとなり、土曜日のラウンドを前に練習していた時、夫妻にとって初めての赤ちゃんの出産が近づいたと知らされます。予定日は3週間先でした。メイハンは躊躇することなく試合を棄権し、キャンディ夫人（元 NFLダラスカウボーイズのチアリーダー/NBAダラスマーベリックスのダンサー）がいるテキサス州ダラスへと飛び、15時間後に無事、長女ゾーイ・オリビアちゃんと対面することができました。去年のカナディアン・オープンの優勝賞金は100万ドルを超えていたため、手に入れることができたかもしれないミリオンダラーを棒に振ってまで出産に立ち会うことを決意したメイハンの愛娘は、“ミリオンダラー・ベイビー"として話題になりました。
そのゾーイちゃんは、先週の日曜日無事にパパの優勝を見届けることができましたが、それはキャンディス夫人が考えたサプライズ。夫妻は今週の火曜日、ドイツバンク・チャンピオンシップの開催地で会う予定になっていたため、メイハンはリッジウッド・カントリークラブで愛する妻と娘が自分の視界に入るとは夢にも思いませんでした。

ザ・バークレイズ優勝カップキャンディ夫人がニュージャージー州で単身戦う夫の元へ飛ぶことを決意したのは土曜日の夜。日曜日の午前10時半にテキサスを出発し、午後4時15分にニュージャージーに到着。その時メイハンは15番ホールをプレー中で、コースに着いた時は16番にいました。
母娘はしばらくクラブハウスで過ごした後、18番ホールのグランドスタンド下のトンネルへ移動しそこで待機。メイハンは同伴競技者と握手を交わし振り向いてグリーンを降りる時、グリーン脇にいる妻子を目にします。一瞬大きく見開いた目、去年の7月28日に生まれたミリオンダラー・ベイビーはバークレイズのトロフィーと同じ背丈に成長し、金髪のカーリーヘアにサングラスの愛らしい姿で足取りもしっかりとパパのもとに駆け寄りました。一年前、メイハンがキャンディ夫人の入院先に駆けつけ、今年は夫人がサプライズ訪問。なんだかほっこりした気分になった週末でした。
アメリカでは妻の出産に立ち会わないと離婚の原因にもなりかねないと言われるほど夫婦での出産体験は大事です。一年前すでにPGAツアーで5勝していたメイハンにはカナダに残って優勝を狙うという選択はなかったはずですが、初優勝がかかっていたとしても棄権していたことは充分ありえます。ちなみにメイハン夫妻はダラスの邸宅を950万ドル（約9億8800万円）で売りに出しています。ミリオンダラー・ベイビーの住居にふさわしい価格といったところでしょうか？

ハンター・メイハンは先週の優勝で62位だったフェデックスカップ・ランキングで一気にトップへ浮上。ポイントがレギュラーシーズンの大会に比べて5倍になるため、そんなジャンプアップも可能です。初めてプレーオフシリーズに臨んでいる石川遼選手と松山英樹選手ですが、石川選手はドライバーショットに苦しみながらもザ・バークレイズで19位タイにつけ、フェデックスカップ・ランキングで75位から56位に上昇。松山選手は大会で30位タイという成績で、22位から24位へ後退。石川選手は現在936ポイント、3276ポイントとなったメイハンとの差は2340ポイントですから、今週石川選手が優勝し2500ポイントを加算してメイハンが39位以下で最高160ポイントしか獲得できなければ逆転もありえます。石川選手がトップに立つにはマキロイを始めとする上位選手の得点が少ないことが条件となるため苦しいシナリオですが、一気に3436ポイントになればツアーチャンピオンシップ出場が見えてきます。松山選手は1475ポイントでメイハンとは1801ポイント差。松山選手が優勝し、メイハンが５位以下に終われば松山選手がメイハンを抜きます。テンミリオンダラー・プレーヤーになれるのは最終戦に進む30人だけですから、ツアーチャンピオンシップまで進むことが絶対条件です。

タイガーウッズ、スイングコーチ　ショーン・フォーリーツアーを離脱していても何かと話題をふりまく元世界ナンバーワン、タイガー・ウッズは月曜日、スイングコーチ、ショーン・フォーリーとの決別を発表しました。
ゴルフチャンネルのアナリスト、ブランデル・シャンブリーを始め多くがフォーリーを離れるべきと訴えていましたが、そんな声に耳を傾けたのでしょうか？ブッチ・ハーモンについていた1997年から2002年までメジャーの24試合中８試合で優勝、ハンク・ヘイニーに指導を受けていた2004年の3月から2010年の5月までのメジャー23試合では6勝。フォーリーをコーチに迎えた2010年の全米プロ・ゴルフ選手権から今年の全米プロまでのメジャー13試合では0勝。過去の二人のコーチに戻ることは考えにくいとなると、史上最強で頑固さでもトップのゴルファーに次に助言するのは誰なのか興味深いところです。
フォーリーはハンター・メイハンのコーチでもあります。教え子の優勝を祝った翌日にタイガーにフラれたというニュースが流れるというのもなんだか気の毒ですね。

今週はプレーオフシリーズ第２戦のドイツバンク・チャンピオンシップ。2003年から始まった大会のディフェンディング・チャンピオンはヘンリク・ステンソン。過去のチャンピオンにはスコット、タイガー、ミケルソン、マキロイと強豪が目立ちます。ＲＹＯとＨＩＤＥＫＩ、いずれかの名前が今年加わることを願って今週も見ごたえのある戦いを期待します。