小松直行の週刊オフチューブ
2014年12月10日(水)午後7:00
LIVE FROMのMCや欧州ツアー中継の実況を担当している小松直行アナウンサーが、ゴルフ最新ニュースをピックアップ。小松さんならではの視点からゴルフ界の最新動向をお届けします!
目次:
1?アバディーン・アセットマネジメント・スコティッシュオープン
2?歴代勝者の肖像:M・カイマー(2009年)
3?小耳:ポールターの「あの一打」とは・・・
アバディーン・アセットマネジメント・スコティッシュオープン
全英オープン直前の今週、欧ツアーはスコティッシュオープンです。スコットランドのナショナルオープンとして1972年に第一回、翌年第2回
が開催された後、しばらく休止され、1986年から再開されて今年が32回目。1996年からロッホロモンドで16回。2011年から2013年までにインバネスのキャッスル・スチュアー
トで開催。今年はエディンバラ、グラスゴーに次ぐスコットランド第3の都市、北東部のアバディーンに舞台を移しました。
賞金総額は300万ポンド(約4億1600万円)。優勝賞金の62万7000ユーロは、その額だけで賞金ランキング18位に相当するビッグな試合。そして何より、全英オープン出場資格
のないプレイヤーには今週が最後のチャンス。10位タイまでに入ったプレイヤーの中で、資格のない上位3人がホイレイク行きの切符を手にします。
舞台はロイヤル
・アバディーンGC。アバディーン市街の北3km、ドン川河口北側に位置し、短いシルバーバーンコースとバルゴウニーコースの全36ホール。試合はバルゴウニーコースでの
開催。アーチー・シンプソン&ロバート・シンプソン設計。3巨人のひとりジェイムズ・ブレイドが後年改造し、バンカー追加。以後、ドナルド・スティール、マーティン・ホ
ートリーが手を加えてきました。クラシックなリンクスで。アウトは北海に沿ってリンクスらしいホールが続きます。折り返してインはフラット。リンクスでの難易度は絶え
ず向きを変える風次第・・・。
「ここでは北西の風がもっとも厄介だ」と地元出身のリッチー・ラムゼイが言っていました。ラムゼイは首の故障が完治していないようですが、もとより今週は休むわけには
行かないと言うところでしょうか。来週の全英オープン出場資格もかかります。
「今週勝てるのはオールラウンドなプレイヤーでしょう。だからこのコースは素晴らしいわけですが、パットが入れば勝てるわけでもないし、ショットがいいだけでもダメ。
チッピングがうまいだけでも、メンタル面で優れているだけでも勝てない。すべてがないといけません」
子どものころからキャディーをしながら多くのことを学んだコースだとういうことで、現在もメンバーであるラムゼイがそう言う勝者が、今週は誰になるのか楽しみです。
世界で6番目に古い、ロイヤル・アバディーンGC
最古のゴルフクラブといえばミュアフィールド(1744年設立)、セントアンドルーズ(1754設立)が知られていますが、今週の舞台となるロイ
ヤル・アバディーンGCも世界で6番目に古いゴルフクラブで、1780年創立。それ以前にもアバディーンでは古くからクイーンズ・リンクス(Queen's Links)でゴルフの
行われており、現存する記録では1625年の文献における記述が残されているそうです。当初はThe Society of Golfers at Aberdeenという名称で、35年後の1815年にア
バディーンGCに改称。はじめはクイーンズ・リンクスおよびブロードヒル(Broad Hill)でプレイされていましたが、クリケットとサッカーが共存していたために不便が生
じ、1888年に現在のバルゴウニーのリンクスへ移転。以来126年になります。
球の捜索5分間ルールを始めて導入したクラブ
アバディーンのメンバーシップは投票制だったそうです。入会申請から3ヶ月をかけて投票が行われ、一人でも異議があれば入会は認められなかったという話。投票箱は現在もクラブハウスに残されています。歴史的なことで興味深いのは、現在もルールブックにある一項の起源。「球の捜索のための制限時間は5分間」というルールを最初に導入したのがこのアバディーンで、1783年のことでした。1903年には英国王エドワード7世からロイヤル称号を授かっています。
フィールドは(ほぼ)オールスター!
全英オープン前のこの2週間は例年同様、ビッグネームが欧ツアーに参戦。今週はメジャーチャンピオンが10人、サー・ニック・ファルド(6勝)、フィル・ミケルソン(5)、アーニー・エルス(4)、パドレグ・ハリントン(3)、JM・オラサバル(2)、ローリー・マキロイ(2)、ルイ・ウーストヘイゼン(1)、ジャスティン・ローズ(1)、ダレン・クラーク(1)、そして地元のポール・ローリー(1)が出場。過去4回の全英オープン優勝者は、前の週のこの試合に出場していたことも見逃せません。アメリカからも、連覇を狙うミケルソンに加えて、リッキー・ファウラー、ジミー・ウォーカー、ライアン・パーマー、ケビン・スタドラーが参戦。もちろん、アメリカで戦っている欧州勢もこぞって出場。リー・ウエスト・ウッド、ルーク・ドナルド、イアン・ポールター、ポール・ケイシーも来ています。
<アバディーン・アセットマネジメント・スコティッシュオープン放送期日>
2014年07月11日(金)午後4:00?6:00
2014年07月12日(土)午後4:00?6:00
2014年07月13日(日) 午後4:00?6:00
2014年07月14日(月) 午後4:00?6:00
お金のためにやるのなら、違う仕事を探した方がいい |
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前週のフランスに続く2週連続優勝である。 |
しかしゴルフ人口(協会・連盟登録者数)ではイングランド(71万人、2014年現在)に次いで欧州で第2位の63.7万人。一方で、指導者を
初めとするゴルフ・プロの養成制度はいまだ確立されたとは言い難く、アマチュアの競技レベルも高いとは言えない。 |
小松の小耳
欧ツアー、北京オフィスを開設:欧ツアーは中国でのゴルフのさらなる振興をにらんで、北京に事務所を開設したと発表。責任者にはこれまで
スヌーカー統括団体の中国での活動に参画していたサイモン・リーチ(中国名:李賽文)氏が就任した。毎年4月のボルボ・チャイナオープンは欧ツアー公式戦となって12年。
それも含め、これまで中国では44回の欧公式戦が開催されてきた。ディジタルメディアの新たな展開も含めて、今後はさらに中国でのマーケティングを強化する構え。
I・ポールターにとっての決定的瞬間:イアン・ポールターと言えば、ライダーカップでのシングルスで負けなし。勝負強さでは群を抜いている。前回のメ
ダイナでのライダーカップでも4つのマッチにすべて勝ち、欧州サイドの奇跡の大逆転の原動力となった。38歳。欧ツアー12勝。日本でもオーストラリアでも勝利を重ね、いま
やメジャー優勝を目標としているトッププレイヤーだが、今をときめくビッグネームたちが一様にジュニア時代からエリートで、そうそうたるアマチュア時代の戦績をひっさ
げてプロになっているなかで、ポールターは異色だ。クラブプロのアシスタントがキャリアの始まりだった。
「15歳のときに学校をやめてゴルフショップで働き始めたんですよ。ゴルフ用品を売ったり、クラブの修理もしたし、ショップのセールスマンの見習いみたいなことでね。な
んとか食っていけるかどうかっていうプロはごまんといてね。自分の夢は世界のトッププレイヤーたちを打ち負かして、優勝トロフィーを何度も空に掲げて、ライダーカップ
に出ることだった。ロープの外から眺めているのではなくて、ロープの内側にいたかった。アマチュアでのキャリアはまるでないですからね。イアン・ポールターなんてゴル
ファーがどこから出てきたのか誰も知らないわけですよ」
そんなポールター自身にとって、これまでのキャリアでの決定的瞬間は、ライダーカップの極度のプレ一シャーの中で決めたパットや、世界マッチプレイ、WGCアクセンチ
ュアマッチプレイ、あるいは初優勝のイタリアオープンでのウィニングパットではなく、1998年の欧ツアーQスクール・ファイナルでの108ホール目の一打だった。
「1998年ですよ、のるかそるかの一打っていうならね。まずQスクールに行ってカードを取らなくては始まらない。自分にやれるのかどうかを知るためにね。ラウンドを重ね
るにつれてプレッシャーも高まって行った。リーダーボードを登りつめていったんで、心臓がバクバクしましたよ。
「最終の6ラウンドめの最終ホールに来たときが極めつけでした。パーをとれば夢の土俵に上がれるという状況で、曲げても引っ掛けてもいいからティーショットをフェアウ
エイにおく必要があった。で、打ったら、林に一直線。考えられる最悪の場所へ打ち込んだんです。ピンまで238ヤードもあるし、どうしようもないところです。
「2番アイアンで低く出しながらも、ある程度上がる球で林を抜かなければならない。一か八かのショットでしたが、完璧に打てた。いまでも鮮明にそのときの映像が目に浮か
びます。ピンは奥の段。球はグリーンへ駆け上がって行って、4m半についた。夢の実現まで2パットとなったんです。」
資料:http://www.golf365.com/index.php/news/9376360?view=golf365article