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PGAツアーで偉大なゴルファーの名前が大会名に使用されている２試合のうちのひとつ、HPバイロン・ネルソン・チャンピオンシップ。テキサス特有の風が選手を悩ませる大会で 今シーズン８人目となるツアー初優勝者となったのは、28歳のブレンドン・トッドでした。先々週のマーティン・カイマーの17番のパーパットほどドラマチックではなかったものの、トッドもまた17番で大事なパーを拾い、優勝につなげました。トッドにとってPGAツアー77試合目の快挙。2009年にPGAツアー参戦を果たすも、続く２年はウェブ・ドットコム･ツアーに逆戻り。浮き沈みを経験し 嬉しい初優勝となったトッドは、今年マスターズ２勝目をマークしたババ・ワトソンと同じジョージア大学出身。ジョージア大生として年に一度プレーを経験できたオーガスタ・ナショナルでついにマスターズに出場できると、その喜びを語っていました。

今季27試合で、ジョージア大学出身のチャンピオンは、オーガスタ･ステート大学へ編入したパトリック･リードを含め８人目、また20代の勝者はシーズン12人目です。ちなみにトッドは、2009年ウェブ・ドットコム・ツアーの大会で２日続けて同じホールでホールインワンという離れ業も記録しています。
今年のHPバイロン・ネルソン・チャンピオンシップには、世界ランキングトップテンのうち二人、大会開催時５位のマット・クーチャーと８位のジョーダン・スピースだけが出場とややスターパワーに欠ける大会でしたが、メジャータイトルを持つ選手は16人いました。その中でリーダーボードの上位に登場したのが、初日のデビッド・デュバルを始め、ルイ・ウーストヘイゼン、パドレイク・ハリントン、マイク・ウィアー、シャール・シュワーツェル、レティーフ・グーセンといった顔ぶれ。百戦錬磨の彼らが、カイマーに続き復活優勝を果たすのではないか、そんな展開も期待されました。そして54ホールのリーダーとなったのは、トッドとウーストフイゼン、一打差にウィアー。結局最後まで優勝争いを続けたのが、2003年のマスターズチャンピオン、カナダのウィアーでした。

ウィアーは2010年のRBCヘリテージの際、木の根元を打ってしまい肘を痛め、のちに手術を受けるもクラブが地面に当たるのが怖くなり、それを避けるようにしていたことから本来のスイングが出来なくなってしまい、メジャーチャンピオンとしての自信も失ってしまいました。今年は、たった一度だけ使える生涯獲得賞金50位以内のカテゴリーで参戦。性格も良いウィアーの復活優勝を祈っていたのは、同じカナダ出身のグラハム・デレットだけではなかったでしょう。一足先にラウンドを終え、クラブハウスでトッドのプレーを見守っていたウィアー。トッドが18番を２打のリードで迎えると知った時、おそらく自分の優勝はないと感じたはずですが、テレビの画面を見つめるウィヤーには哀愁が漂うとともに満足感のようなものがうかがえました。久々の優勝争いでひどく緊張しながらもうまく対処できたと語ったカナダのヒーローは、先週の月曜日44歳になりました。
ウィアーと同じ1970年５月12日に生まれたのが、奇しくもウィアーがマスターズを制した2003年、続くメジャー、全米オープン・ゴルフ選手権でやはりメジャー初制覇を果たしたジム・フューリック。そう、先々週のザ･プレーヤーズ・チャンピオンシップでカイマーの終盤のプレーをクラブハウスで観戦していたフューリックです。ウィアーは、『フューリックの最近のプレーに刺激を受けた、自分達OLD DOGSもまだまだやれると思った』と言いました。フューリックもその後メジャーで勝っていませんが、ウィアーとは違い故障もなくメジャーで何度も優勝争いしています。ショットと同じように安定したキャリアを築いてきたフューリックに対し、ワールドランキングで1547位まで落ちてしまったマスターズチャンピオン。TPCフォーシーズンズ・リゾートで、亡きバイロン・ネルソン氏との会話を思い出しながら優勝に近づいたウィアー。この次はトロフィーに手が届くことを祈っています。

今週はテキサス連戦の２戦目、ベン・ホーガンが５勝しているクラウン・プラザ・インビテーショナル・アット・コロニアル。1959年のこの大会がホーガンにとってPGAツアー最後の優勝です。2003年アニカ・ソレンスタムが出場した大会として覚えている方もいるでしょう。先週、セカンドカットで最終ラウンドに進めなかった石川遼選手、そして松山英樹選手が揃って出場します。シーズン９人目の初優勝チャンピオンを目指して戦う二人に期待しましょう。

「クラウンプラザインビテーショナル at コロニアル」放送日時
１日目：5月 23日(金) 午前4：00?7：00
２日目：5月24日(土）午前4：00?7：00
３日目：5月25日(日）午後7：00?8：30
最終日：5月26日(月）午後7：00?10：00

ところで大相撲夏場所も盛り上がっていますね。横綱が３人になり、やっとまげが結えるようになった超快速出世力士、遠藤関など話題が尽きない相撲界。ジョーダン･スピースと遠藤関、新星の二人がダブる一方で、マーティン・カイマーと隠岐の海関の顔似ているかもなどど思いながら、体重200キロの臥牙丸関が自転車に乗る姿に感銘を受けた今日この頃です。

筆者：Makiko Minoya
1995年 州立セントラルフロリダ大学 ジャーナリズム科卒業
1996年 ゴルフチャンネル入社（米フロリダ州オーランド）
好きなゴルファー：タケ小山プロ

［画像は全て©Getty Images］