米フロリダ州オーランドより番組制作スタッフが、独自視点でお届けするユニ ークなゴルフ最新情報！

PGAツアーの本部があるフロリダ州北東部にあるTPCソーグラス、コース設計の巨匠、ピート・ダイ デザインのスタ ジアムコースでザ・プレーヤーズ・チャンピオンシップを制し、優勝賞金およそ１億８千万円を手にしたのは、ドイツのマーティン・カイマーでした。
雷雲が近づき中断となり、クラブハウスへ向かうクルマに乗せられた時のカイマーの表情は、なんともいえないものでした。あれだけいいスイングで２ 位に３打差のトーナメントリーダーとして終盤を迎えようという時に勢いを断たれてしまったのですから当然です。そしておよそ90分後、まだ雨が降る中の再開を知らせるホーン。暗雲はその後の展開を物語っていたかのようでした。
カイマーは15番で強気なプレーが裏目に出てダブルボギー、つづく16 番パーファイブで一打取り戻せると信じていたはずですが、アプローチに失敗し、パー。そして名物ホール17番パースリーでは池ポチャは免れたものグ リーンを縁取るラフからのチップショット・・まさかの長い距離を残してしまった時、2010年の全米プロゴルフ選手権に続くカイマーのPGAツアー２勝目 が遠ざかったかに思えました。そして運命の９メートル近いパーパット・・６年前 まだ23歳だったカイマーを残し、天国へ旅立ってしまったお母さんの 思いがボールをカップへと吸い寄せたのかもしれません。18番も暗さでラインが良く見えない中、下りのパットと厳しい状況でしたが、カイマーはあの 17番のパットを沈めた時、優勝を確信したのではないでしょうか。今年からプレーオフがあがり３ホールになったと聞き、プレーオフも悪くないなと思 いましたが、絶対プレーオフになってほしくない、最後は叫ぶような気持ちでカイマーの優勝を祈っていました。
去年はセルヒオ・ガルシアがトップタイで17番を迎え、池に２度入れて優勝争いから脱落、今年同じホールで奇跡のパーパットを沈めたカイマー。 ガル シアがクラブハウスでカイマーをハグするシーンが印象的でした。
ディフェンディング・チャンピオン、タイガー不在の中、アメリカのファンは、20歳のジョーダン・スピースに望みを託しましたが、マスターズで２位 タイのあとザ・プレーヤーズでは４位タイに終わりました。両大会とも初出場ですから、やはり大物です。今大会でスピースは、94年のグレッグ・ノー マンに次いで二人目となる54ホールノーボギーを記録。2013年以降PGAツアーで54ホールを終えてトップ５につけている回数で９回のタイガーがトップ、 次が８回のスピースという事実からもタイガーに続くヒーローと期待されて当然ですが、タイガーはそのうち５回で優勝、スピースは１勝。やはり経験 は貴重な武器のひとつ。マスターズもザ・プレーヤーズもメジャーチャンピオンに倒されましたが、ゴルフの神様はあせる必要はないと言っているのか もしれません。
日本からただ一人出場した松山英樹選手にとってもTPCソーグラスデビューでしたが、70、71、72、70と３日間アンダーパー、悪くてもイーブンパーとい うのは立派です。何よりバーディが17個。松山選手は多くを語りませんが、最終日のインタビューで『バーディはとれているので、あとはボギーを少な くするだけ』と言った時、18番をバーディを奪ったこともあってかすがすがしい感じでした。
23位タイ以上の手ごたえを感じた一週間だったはずです。

アダム・スコットは、先週出場しなければ大会の結果に関わらず初めて世界の頂点に立ち、出場なら16位以内が条件 という奇妙な状況になっていました。結局38位タイでタイガーを抜くことはできなかったスコットでしたが、マスターズのあと極秘で結婚していたこと が発覚しました。
スコットは、PGAツアーを代表するイケメンゴルファー、おだやかな性格ということもあって人気ナンバーワンですから、憧れの存在とわかっていても、 既婚者になってしまってがっかりという全世界の女性ファンの嘆きが聞こえてきそうです。スコットのモテモテぶりは、先日スポーツイラストレーテッ ド誌が200人近いツアープロを対象に行ったアンケートでも明らかになりました。LPGAツアーの選手に対しての“アダム・スコット、リッキー・ファウラ ー、ジョーダン・スピース？" という質問で、91%がスコットと答え、6%がファウラー、スピースを選んだのは3%でした。スピースはまだ20歳ですから 、候補にあげるにはちょっと無理があったかもしれません。それにしても91%はすごいですよね。その他興味深い質問と答えは次の通り。
“25歳未満のツアーのベストプレーヤーは？"PGAツアープロの回答：ローリー・マキロイ38%、ジョーダン・スピース38%、ハリス・イングリッシュ20% 、自分と答えた人が4%。
“フィル・ミケルソンは全米オープンで勝てるか？"PGAツアープロの回答：勝てる68%、
“セルヒオ・ガルシアはメジャーで勝てるか？"PGAツアープロの回答：勝てる66%、
“アダム・スコットは長尺パターを使わなくてもメジャーで勝てるか？"PGAツアープロの回答：勝てる77%。
“去年のマスターズで（誤った場所にドロップし２打罰）タイガー・ウッズは失格になるべきだった？"PGAツアープロの回答：イエス52%、チャンピオ ンズツアープロの回答：イエス46%
また、“PGAツアーにゲイの選手がいると思うか？"という質問には、PGAツアープロの81%がイエスと答えていました。みなさんはどう思いますか？

今週のPGAツアーの大会は、テキサス州が舞台のHPバイロン・ネルソン・チャンピオンシップ。
2006年に94歳で他界したバイロン・ネルソン氏が元気な頃はラウンドを終えた選手全員と握手を交わしていた姿が記憶に残っている方も多いと思います 。ニッポンからは今田竜二選手が出場します。

「HPバイロン・ネルソン チャンピオンシップ」放送日時
１日目：5月 16日(金) 午前4：00?7：00
２日目：5月17日(土）午前4：00?7：00
３日目：5月18日(日）午後7：00?10：00
最終日：5月19日(月）午後7：00?10：00

筆者：Makiko Minoya
1995年 州立セントラルフロリダ大学 ジャーナリズム科卒業
1996年 ゴルフチャンネル入社（米フロリダ州オーランド）
好きなゴルファー：タケ小山プロ

［画像は全て©Getty Images］