ファンに支えられた悪童、J.デイリーが第2のキャリアへ
2013年7月15日(月)午前10:45
ウェイティングリスト9番目から繰り上がりで出場した全米プロゴルフ選手権。無名選手に過ぎなかったジョン・デイリーは驚異的なパワーで他の強豪を圧倒し、奇跡のメジャー制覇を成し遂げた。一躍名を上げたこのツアー初勝利から25年、去る4月28日に50歳となったデイリーが今週、歴戦の猛者集うチャンピオンズツアーでデビューを飾る。
今から約1か月前、マスターズ週の火曜日のこと。無精ヒゲをたくわえたデイリーは第二の我が家と呼べるキャンピングバスでオーガスタのレストランを訪れた。その目的は自身のグッズ販売。オーガスタでの販売は19年目になるという。チェーンスモークしながらファンとの時間を満喫したデイリーは「私が何度も事件を起こしても、世界中のファンが私を見捨てなかった」と改めてファンへの感謝を口にしていた。
91年の全米プロ優勝に続き、95年には全英オープンを制覇したデイリー。重圧を感じなかったという全米プロとは異なり、大きなプレッシャーをはねのけてつかんだメジャー2勝目は「最高に嬉しかった」。しかし、破天荒な悪童はコース外で酒、ギャンブルに溺れるようになり、離婚も3度経験するなど私生活で様々なトラブルを経験。そんな浮き沈みの激しい人生を歩んだデイリーを支えてきたのは、彼を慕う多くのファンだった。
ジョン・デイリー
「私は過ちを犯すたびに、素直に非を認めてきた。悪い事をしたら反省し、良い事が起きたら喜びを噛み締める、それがファンの共感を呼ぶんだと思う」
……答えは明らかかも知れませんが、人生で悔いはありますか?
「さあ、苦い教訓を胸に、これからの人生にかけるしかない。人は誰でも過ちを犯すが、前を向いて生きることが大事だ。何事にもポジティブな考え方を持たないといけない。起きてしまったことを悔やんでも仕方ないからね」
究極のマリガン(打ち直し)とも言える第2のキャリアへ。「ゴルフの良さは何歳になっても競い合えること。50歳でルーキーなんてワクワクするよ」と心を躍らせる。平穏を取り戻したとはいえ「私は、ずっと子供。私のままなんだ。こうやって人生を謳歌してるだけで幸せだ」と、年とともにただ丸くなったわけでもなさそうだ。
タイガー・ウッズに“ファンから最も愛されるゴルファー"と言わしめたデイリー。異彩を放つ50歳の新人は、シニアツアーをどう盛り上げてくれるのか。人を惹きつける何かを持った彼から、今後も目が離せそうにない。
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