ベイヒルはマット・エブリーを輝かせる場所

ゴルフチャンネルに近いベイヒルが舞台のアーノルド・パーマー・インビテーショナルは２年連続マット・エブリーの逆転優勝で幕を閉じ、フロリダスイングは無事終了しました。エブリーのタイトル防衛を予想した人は皆無に近かったと思います。
去年のベイヒル以来トップテンは一度だけで、24試合で予選落ちが9試合。前週、バルスパー・チャンピオンシップでは予選落ち、ザ・ホンダクラシックでは63位タイ、とても好調とはいえる状態ではありませんでした。

しかし、ベイヒルでは唯一人4ラウンド連続60台をマークする見事なボールストライキングで最終日66。去年に続き54ホールを終了し3位タイにつけたエブリーは、去年は世界ランク2位だったアダム・スコットを、今年は同ランク3位のヘンリク・ステンソンを倒しての優勝。
初出場のローリー・マキロイや標準サイズのパターでリベンジを狙うスコットらが大きく注目される中、大好きなコースで自分のゴルフを貫いたエブリーは、第2ラウンドでは4番から8番の5連続を含む8バーディ、最終ラウンドはボギースタートでしたがその後7バーディを奪うなど、トータル25バーディは1位タイ。パーオン率で2位につけるなど、ストロークスゲインド・トータルで堂々の1位。終盤失速したステンソンにも助けられたとは言え、ショットで誰よりも優位に立ったのですから文句なしの逆転優勝です。

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捨てる神あれば拾う神あり

去年ベイヒルで初優勝を果たして以来、思うような成績が残せなかったエブリーは、これではダメだとトレーナーについて体を鍛え始め、タイガー・ウッズと決別したスイングコーチ、ショーン・フォーリーがトレーナーと友人同士だったこともあり、時間が空いたフォーリーにスイングを見てもらうようになったのが去年のプレーオフシリーズの頃。
ゴルフチャンネルのチャーリー・ライマーによると、フォーリーは“エブリーは月曜から水曜までプレーは申し分ないが、なぜか木曜日につなげられない"と言っていたとか。地元での大会ということで、家族や友人に支えられたことと初優勝の思い出がエブリーの4日間を支えたのかもしれません。

フォーリーといえば、大会3日目、6番ホール沿いで私が追いかけていた小走りの友人の子供（1歳半）と正面衝突しそうになったのですが、その子をうまく交わしながら“おっ、元気がいいね、かわいいなぁ"と声をかけてくれ、私が“あ、ショーン・フォーリー・・"すれ違いざまに言うと、「そうだよ」と気さくな返答。
今までどちらかというと、スイング理論を熱く語る生真面目っぽいイメージを彼に抱いていましたが印象が変わりました。そしてフォーリーの少し後ろから歩いてきたのはレックス倉本プロ・・　すでにフォーリーと会話が弾んだあとだそう・・さすがです。

明暗を分けた日本勢

ベイヒル初登場の松山英樹プロはぎりぎりの順位で決勝ラウンドに進みましたが、最終日は5バーディ1ボギーと68で、終わってみれば21位タイ。難しい17番パー3では松山プロも一緒に回ったリッキー・ファウラーもバーディ、一際大きな歓声が上がっていました。マスターズに向けての調整に期待がかかります。
一方、石川遼プロは終盤に崩れ、75で大きく順位を落としてしまいました。よく知るコース、しかも去年8位タイだっただけに悔しさもひとしおだと思いますが、その悔しさが次回の起爆剤となることを祈っています。

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マスターズを前に残すはテキサスでの2試合のみ！

今週のバレロ・テキサス・オープンは世界ランク上位50人という条件でマスターズに招待される最後のチャンスです。それを逃すと、来週のシェル・ヒューストン・オープンで優勝するか、特別招待を受けるしかありません。その意味でも興味をそそられる大会ですが、なんといっても注目は先々週ツアー2勝目をあげたジョーダン・スピースでしょう。

現在テキサスでは合計4試合が行われていますが、テキサス生まれのスピースにとってその4試合では2013年のクラウン・プラザ・インビテーショナルでの7位が自己ベスト。去年のバレロ・テキサス・オープンは10位。故郷のファンの前でツアー3勝目をマークし、去年2位タイにつけたマスターズに向けて弾みをつけられるよう意気込んでいるはずです。

去年、アダム・スコットはクラウン・プラザ・インビテーショナルを制し、テキサスでの4大会全てで優勝という初の快挙を達成。今週この大会で同じ快挙をフィル・ミケルソンが狙います。
さらにフェデックスカップランキングでトップを行くジミー・ウォーカー、スピースと同じようにフロリダ連戦で優勝したダスティン・ジョンソン、マーティン・カイマー、ジム・フューリック(昨年6位)、ザック・ジョンソン（同6位）、マット・クーチャー（同4位）ら強豪がこぞって参戦。

舞台となるＴＰＣサン・アントニオは、去年パーオン率55.2％と最もグリーンを捉えるのが難しかったコース。またパー5が手ごわいのも特徴で、2014年は平均4.90ストロークと全米オープンの舞台パインハーストNO2とクィッケン・ローンズ・ナショナルの開催コース、コングレッショナルと並び難度でトップでした。
特に604ヤードの8番ホールは、平均5.07。平均がオーバーパーだったパー5は、昨シーズンのツアーでわずか6ホールしかありませんでした。

今シーズンは19試合で19人の異なるチャンピオンが誕生と、ここまで複数回優勝者が出ていません。それは1994年の20試合以来の記録。 選手層が厚くなるPGAツアーで、今週優勝しカウボーイブーツをゲットするのは20人目の異なる顔になるのか、それともこの試合でシーズン2勝目をマークする選手が誕生するか、はたまた前週のマット・エブリーのように、好調とは言えないスティーブン・ボーディッチのまさかのタイトル防衛となるのか、その点でも見逃せない大会です。

PGAツアー『バレロテキサスオープン 放送日時』
１日目：27日(金)午前4:00? （LIVE）
２日目：28日(土)午前4:00? （LIVE）
３日目：29日(日)午後11:00? （ﾀﾞｲｼﾞｪｽﾄ）
最終日：30日(月)午後11:00? （ﾀﾞｲｼﾞｪｽﾄ）

筆者：Makiko Minoya
1995年 州立セントラルフロリダ大学 ジャーナリズム科卒業
1996年 ゴルフチャンネル入社（米フロリダ州オーランド）
好きなゴルファー：タケ小山プロ

（写真提供:Getty Images）

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