全米オープン最終日、６バーディ、ノーボギーの「64」のベストスコアで通算３アンダーまでスコアを伸ばし、４位タイへと食い込んだのがアダム・スコット。昨年までのエースキャディ、スティーブ・ウィリアムス氏とコンビ再結成後の最初の試合でした。

当時、メジャーに勝てない有力選手の一人だったアダム・スコットは、2011年にウィリアムス氏とコンビを組むと石川遼と最終日同組でラウンドした「WGC-ブリヂストンインビテーショナル」で早くも1勝。翌年の全英オープンでは惜しくもメジャー制覇をあと一歩のところで逃したものの、2013年の「マスターズ」で悲願のメジャー初勝利。コンビ結成後、PGAツアーで4勝を挙げ、世界ランキング1位に上り詰めました。

昨年のシーズン終了後にウィリアムス氏とのコンビを解消したスコットだったが、今季は全米オープンまでの9試合で予選落ち2回、トップ10入りはわずかに1回と、世界ランキングも10位以下まで落ち込んでいました。

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そんな中、全米オープン開催前に今季のメジャー「全米オープン」、「全英オープン」、「全米プロゴルフ選手権」のほか、「WGC-ブリヂストンインビテーショナル」をウィリアムスと2人で戦うことを発表したスコット。

全米オープンでは予選ラウンドを21位タイで通過、3日目を終えて19位タイとそれほど目立った活躍は見せていませでしたが、最終日に「64」のビッグスコアを出して、昨年に続くトップ10フィニッシュ。

大会後にスコットは「練習していても何が悪いかよくわからないとフラストレーションが溜まる。でも、今週はそういうこと考えずに集中して、我慢のゴルフを続けた。スタート前にピンポジションを確認して、今日は多くのホールで良いショットをすれば傾斜を使って寄せられることはわかっていた。昨日までは良いスコアに繋がらなかったけど、今日は全てがうまくいって良かった。」とコース攻略への自信があったことを明かしていました。

再コンビを組んだ直後のこの好成績。選手にとって、キャディの存在の大きさを改めて感じる結果になったと言えそうです。

キャディはインサイドザロープで唯一無二の存在

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ゴルフというスポーツは個人競技のため、プレーヤー、一人一人の戦いです。それでもプレー中に一緒に戦うことが出来るのがキャディの存在です。以前、ゴルフネットワークのインタビューで松山英樹プロの専属キャディを務める進藤大典氏は「英樹のことを自分の人生をかけてサポートしているつもりです。」と語っていたほど選手とキャディの信頼関係は非常に重要なものでもあります。

日本選手で最後に出場権を獲得した薗田峻輔プロは、コーチである石井忍プロをキャディに起用。石井プロは、2011年のコングレッショナルCCでの全米オープンで、久保谷健一プロのバッグを担ぎ予選突破を果たした経験の持ち主。

「全米オープンという大舞台。そして経験したこともないような難コースで選手は不安もあったと思います。普段、コーチとしてサポートしている時に比べ、キャディをしていると、なかなか力になれないこともあるのですが、今回は選手もラウンド中のサポートを求めていて、力を合わせてプレーすることが出来ました。初日は選手も非常に緊張していましたが、2日目は持っている力を発揮できたと思います」

「キャディの場合、かける言葉のニュアンスも重要だと思います。少しの言葉の違いで選手の捉え方が変わってくるからです。例えば、"守る""避ける"と言った言葉は良いですが、"逃げる"と言ってしまうと、プレーにネガティブな印象が生まれ、上手くいかなくなることがあります」（石井忍プロ）

優勝したスピースのキャディは、コースを熟知

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チェンバーズベイGCを直前の練習ラウンドだけでコースの特徴をつかむのはなかなか難しいところ。日本ツアーのメンバーでもあるリャン・ウェンチョンは、いつもコンビを組む帯同キャディと現地入りしたものの、急遽、コースを熟知したローカルキャディーを採用することにしました。ツアーを転戦し、経験豊富なプロキャディであっても、今回のような特長あるコースでは、現地のキャディの知識がより優先される場合もあるようです。

マスターズに続くメジャーに連勝を果たしたジョーダン・スピースのキャディ、マイケル・グレラー氏は2012年まで開催コースとなったチェンバーズベイ近郊で数学の先生をしていたという変わり種。開催コースのチェンバーズベイGCは、グレラー氏がキャディ修行を行った場所であり、自身も結婚式をチェンバーズベイの丘の上で行ったという、非常に縁のあるコースです。

硬く傾斜のきつい地面と独特のロケーションで、世界のトッププレーヤーが苦戦したチェンバーズベイGC。コースの特徴を知り尽くしたグレラー氏の存在は、スピースの優勝に大きく貢献をしたと言えるでしょう。

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実際に優勝インタビューでスピースは「17番でダブルボギーを叩いた後に、18番のティーショットはキャディからスムーズなリズムで打つように言われて、思った通りの所に打つことができた。彼（グレラー）がいたから、地の利があった。私にとって右腕のような存在であり、今回優勝することが出来たのは全て彼（キャディ）のお陰だ。」とキャディのグレラー氏を讃えていました。

選手が試合中頼れる唯一の存在といえるキャディ。その存在感は小さくないようです。

ダスティン・ジョンソン、最終ホールの衝撃

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試合は最終日の18番パー5で、見事に2オンに成功したダスティン・ジョンソンが入れれば優勝のイーグルパットを外し、返しの1mあまりのバーディーパットも外してパー。最後の最後で優勝を逃しました。

ゴルフネットワークの解説でもおなじみのプロキャディ、杉澤伸章氏に聞いたところ、

「ダスティン・ジョンソンは、最後のパットへのルーティンが明らかに早かったですね。イーグルパットに力点を置きすぎてしまったと感じます。世界中が注目するあの場面で、自分がキャディだったらどんなアドバイスが出来ただろうと考えさせられました」

「選手によってアドバイスは変わりますが、私なら明日（＝プレーオフ）のウェアの話をするなどして、一度あの緊張の場面から引きたいところです。選手の重点をバーディーパットに少しずらすことを考えたと思います」

コースの知識から、選手の心理への細かな配慮など、キャディの役割は小さくないようです。

難しい舞台で強豪たちと争う舞台で、キャディはいわば現代の軍師のような存在。トーナメントでは、選手とキャディがどんな会話をしているのかを想像してみるのも面白いかもしれませんね。

筋書きのないドラマ、あの興奮をもう一度！大接戦の全米オープンをプレイバック 6/27（土）?28（日）緊急放送決定

大接戦となった今年の全米オープンを視聴者皆さまからのリクエストにお応えして、緊急放送致します。難コース「チェンバーズベイ」を舞台に繰り広げられた熱い戦いをぜひご覧下さい。

【緊急放送】
6/27（土）午前11時?午後2時　「全米オープンゴルフ選手権3日目」
6/28（日）午前11時?午後2時　「全米オープンゴルフ選手権最終日」

※注意※
権利上の都合により、「全米オープンゴルフ選手権」の中継はGOLF NETWORK PLUS TV等での、パソコン・スマホ・タブレットによる「全米オープンゴルフ選手権」の配信はございませんのでご了承ください。

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