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先週のゴルフ界は、話題満載の一週間でした。
ローリー・マキロイを始めとする多くのビッグネームが２０１５年のデビュー戦を迎えたアブダビでは、残り１３ホールで１０打リードしていた大会４勝目を狙うマーティン・カイマーが、無名のフランス人ゲーリー・スタルにまさかの大逆転負け。
マウイ島からオアフ島に舞台を移したＰＧＡツアーは、２０１５年の初戦、ヒュンダイ・トーナメント・オブ・チャンピオンズで最終日最終組で回った二人、ジミー・ウォーカーと松山英樹選手の明暗を分ける結果となりました。
さらにそのホノルルで予選落ちを喫したオーストラリアのベテラン、ロバート・アレンビーが金曜日の夜、ワイキキのワインバーを出た直後、殴られ気を失い誘拐され、金品を奪われたと報告。
おまけに、ワールドカップに出場中の恋人、リンゼイ・ボンをサプライズでイタリアに訪ねたタイガー・ウッズが、カメラマンとぶつかり前歯を折るという事件もあり、ソーシャルメディアもフル回転でした。


年明けの２戦目となったソニー・オープン・イン・ハワイは、前週、リードを失い結局プレーオフで敗れたジミー・ウォーカーにとってタイトル防衛戦。カパルアでの悔しい思いを大好きなコースでの圧巻のプレーにつなげ、週末６２、６３という申し分のないプレーで連覇を達成。９打差の圧勝は、ＰＧＡツアーでは２００９年ＲＢＣへリテージで１０打差で勝ったブライアン・ゲイ以来の記録。また、前週にプレーオフで敗れたあと翌週優勝したのは、２０１２年のファーマーズ・インシュランス・オープンでプレーオフ敗北後、続くウエイスト・マネジメント・フェニックス・オープンで優勝したカイル・スタンリー以来です。

２０１３年?２０１４年シーズンの開幕戦、フライズ・ドットコム・オープンでＰＧＡツアー初優勝を果たしたジミー・ウォーカーは、以来１年３ヶ月で４勝。その間のＰＧＡツアーの優勝回数としては、いずれも３勝のローリー・マキロイ、ババ・ワトソン、パトリック・リードを抜いてトップ。３４歳でＰＧＡツアー初優勝、３５歳直前で２勝目を２０１４年ソニー・オープンでマーク、３５歳になってまもなくAT&Tペブルビーチ・ナショナル・プロアマで３勝目に達し、大会２日目が３６歳の誕生日となった先週のソニー・オープンのタイトル防衛が４勝目。３０代半ばがゴルファーのピークと良く言われますが、ウォーカーは遅咲きの大輪としてその名前を世界に広めつつあります。そんなウォーカーはＰＧＡツアー優勝を夢見ながらＰＧＡツアーやウェブ・ドットコム・ツアーで地道に努力を続ける３０代の選手の鑑といえるでしょう。

世界最高峰のツアーで一勝してから、そういえば最近名前聞かないなというチャンピオンも少なくありません。そんな中、地道に努力を続け勝つたびに自信を高めたウォーカー。２０１３年にはマスターズも全米オープ・ゴルフ選手権も出場できず、全英オープンと全米プロでは予選落ちだったウォーカーは、２０１４年にはマスターズ、全米オープン、全米プロでいずれも８位以内につけ、ザ・プレーヤーズ・チャンピオンシップでも堂々の６位でライダーカップにも初出場を果たしました。そんなウォーカーを支えたブッチ・ハーモンの影響が大きかったという声を良く聞きます。

ゴルフチャンネルのチャーリー・ライマーは、“ブッチ・ハーモンについてからのウォーカーのスイングにそれほど違いはない、ハーモンがウォーカーに植え付けたのは自信だ”と言っていましたが、そのとおりでしょう。

ＧＯＬＦ．ＣＯＭにこんな記事が載っていました。
ロングゲームの安定性を求めて、タイガーの元コーチ、ブッチ・ハーモンに助けを求めたというウォーカー。それは２０１３年春のこと。ご存知のようにフィル・ミケルソン、リッキー・ファウラー、ダスティン・ジョンソンら多くのトッププロを指導している人気インストラクター、ハーモンは超多忙の日々。ウォーカーは３週間ハーモンから連絡をもらえなくても、話したこともないのだから仕方ないと思っていたとか。
やがてハーモンのレッスン施設があるラスベガスで二人は一日一緒に過ごし、その後は主にウォーカーがビデオを送り、ハーモンがアドバイスするという形でレッスンが続いていたものの、ある日突然、ハーモンからの返事が途絶えたそうです。　そのことにひどく落胆していたウォーカーを見ていられなくなったウォーカーの妻、エリン夫人は“私の夫を見られないなら、はっきりそう言って下さい。他の人を探しますから”とハーモンにメールを送ります。　すると５分後には、“申し訳なかった。このところ忙しくて・・”という返信があったそうです。

控えめな性格のウォーカーを長年支えてきたエリン夫人がハーモンに直談判しなかったら、ウォーカーの才能はこれほどまで開花しなかったかもしれません。ハーモンに認められたスイングを少しだけ磨き、周りの人達によって自分の強さを信じられるようになったというウォーカーの快進撃はどこまで続くのか、インタビューでは勝っても負けてもさほど変わらないように見受けられるウォーカーですが、静かに燃えつづける炎は大きくなるばかりかもしれません。


ウォーカーとは対称的に、闘志むき出しで当初から自分を信じているパトリック・リードが今週行われるヒュマナ・チャレンジのディフェンディング・チャンピオンです。
そういえば、リードの妻、ジャスティーン夫人もキャディを務めるなど、ツアープロの生涯のパートナーは心強い存在ですね。
ウォーカーとリードにこれ以上勝たせてなるものか、そんな勢いの選手が今週登場するでしょうか？
それが去年４日間６０台で周り、２５位タイにつけた石川遼選手であることを祈ります。
また今大会はフィル・ミケルソンの２０１５年デビュー戦でもあります。週４日トレーナーについてワークアウトしているというミケルソンがどれだけ引き締まったからだでファンの前に登場するのかも楽しみです。一勝もできなかった２０１４年の鬱憤を大会３勝目達成で晴らすことができるでしょうか？

一方、来週今年初登場となるタイガーの折れた歯は、おそらく差し歯だった前歯と思われます。
リードとウォーカーの先制パンチのお見舞いを受けたあと、雪山で実際ＫＯされかかったタイガー。
英語で差し歯はＣＲＯＷＮ、せめてＣＲＯＷＮに輝いた恋人の偉業に感化されたことを祈ります。