そんな松山選手を上回るプレーを見せたのが昨シーズン序盤にその名を広め、以来上位の常連となった１月１６日で３６才になるジミー・ウォーカー、そして２０１３年にＰＧＡツアーフル参戦、今年の８月５日に２５才の誕生日を迎えるパトリック・リード。地道に自分のゴルフを続ける遅咲きのウォーカーと、常に自信満々の若手、リードという対象的な二人でした。
ウォーカーは、２０１３?２０１４年シーズンの開幕戦、フライズ・ドットコム・オープンで初優勝してから４ヶ月以内に、さらに２勝を重ね一気に開花。メジャーでもマスターズで８位、全米オープンゴルフ選手権で９位、続く全英オープンでは２６位だったものの、全米プロゴルフ選手権で７位と、４大メジャー大会中３つでトップテンにつけるなど６億円あまりを稼ぎ出し、賞金ランクで４位につける大ブレーク。
リードは２０１３年にウィンダム・チャンピオンシップで初優勝、２０１４年にヒュマナ・チャレンジとＷＧＣキャデラック・チャンピオンシップを制し、通算３勝。４億円強を稼いだ２０１４年、賞金ランクで１４位。ともに２０１３年から２０１４年初めにかけて３勝という二人によるプレーオフで、今年のヒュンダイ・トーナメント・オブ・チャンピオンズの勝者が決定しました。


最終日７０だった松山選手は　初日から３日目まで連日確実にバーディを奪っていた９番と１８番でいずれもバーディを取れなかったのが悔やまれます。本人もそのことを思うと悔しくて仕方ないのではないでしょうか？
前半は、一緒に回ったジミー・ウォーカーとともにノーボギーのプレーで優勝争いは二人に絞られたかのように見えました。７番までともにツーバーディ、しかし８番９番と連続バーディのウォーカーに対し、松山選手はバーディを奪えず、この時２１アンダーのウォーカーが単独トップ。１６番を終えて１９アンダーのジェイソン・デイと松山選手が２位タイ。ウォーカーは１０番で３連続バーディを決め、２２アンダー。松山選手との差を３打に広げました。その後１４番でウォーカーがボギー、１５番で松山選手がピンにぴたりと寄せてバーディをとり、二人の差は再び１打に縮まります。先を行くパトリック・リードが、１５番パーフォーで残り８３ヤードを直接しずめて、２１アンダーとなりウォーカーとともにトップタイ。同じく１５番でバーディを奪った松山選手と６２をたたき出したが２０アンダーという展開。

リードは、１７番で短いパットをはずして２０アンダーへ後退。最終１８番パー５にかけます。リードはツーオンに成功、ツーパットのバーディで２１アンダー、ラウンドを終えた選手の中でトップ。そんなリードのプレーを見ていた最終組の二人は、１８番、６３１ヤードのパー５の２打目をともに右サイドの観客席の前に運んでしまいます。松山選手のボールはスタンドに近く、ドロップ後寄せワンのバーディなら２１アンダーでリードに並ぶところでしたが、左にはずして２０アンダーでフィニッシュ。
最後の一人、ウォーカーが寄せワンを決めれば２２アンダーで優勝というシーンを迎えます。松山選手のチップショットから学べることはあったはずのウォーカー、緊張からか寄せきれず痛恨のパー。　先にあがっていたリードとウォーカー、二人によるプレーオフへと進み、そこでバーディを決めたリードの逆転によるツアー４勝めで大会は幕を閉じました。

リードにとっての３勝目、去年の４月ＷＧＣキャデラック・チャンピオンシップ優勝の際、自分は世界で５本の指に入るとインタビューで答えたことから、生意気だ、今に痛い目に遭うなどリードを傲慢な２３歳と見ていた人は少なくありません。
５月に父親になったリードは、ウォーカーとは違い、マスターズと全英オープンで予選落ち、全米オープンで３５位、全米プロで５９位と奮わなかったことから、やはり口だけじゃないかと思っていた人も多かったはずです。
さらにフェデックス・カップのプレーオフシリーズに進んでも上位につけることはなく、心配された初出場のライダーカップ。ご存知のように、トム・ワトソンキャプテンとベテランメンバーの不和が浮き彫りになった大会でリードとジョーダン・スピース、二人の若武者は大活躍。やはり、この二人が未来のアメリカを代表する選手と、リードに対する見方も変わってきます。
去年の終わりに、放送中苛立ちから暴言を吐いたことで再び物議をかもしたリードですが、２４歳６ヶ月にしてすでにＰＧＡツアー４勝となればその実力を認めざるを得ないでしょう。　今年メジャーでトップ争いすれば、正真正銘ＰＧＡツアーでローリー・マキロイに次ぐ若手として世界中から注目されること間違いなしです。オーガスタステート大学出身のリード、まずはマスターズが期待されます。

復帰戦となった去年の１２月初めに行われた非公式戦、ヒーロー・ワールドチャレンジでザックリ連発だったタイガー・ウッズ、そしてマスターズで勝てば２５歳でキャリアグランドスラム達成となるローリー・マキロイ。それぞれ自分自身にかけるプレッシャーは計り知れないほど大きなものでしょう。　そんなスーパースター二人を尻目に、俺達も忘れては困るとばかりに、頭角を現しつつある遅咲きの選手やツアーのニューフェース達。　スーパースターほど注目されないことを有利に彼らが今のペースで自分のゴルフを貫くことができたら…　彼らはREADY,　そしてそんな熱い戦いに一喜一憂したい私達もREADY、２０１５年、ますます目が離せません。

今週木曜日から始まるソニー・オープン・イン・ハワイ、日本からは松山選手のほか、池田勇太、今田竜二、岩田寛、谷原秀人、宮里優作の５選手が出場予定です。プレーオフで敗れたジミー・ウォーカーのタイトル防衛を日本勢が阻むことができるかどうか楽しみです。

「ソニーオープン イン ハワイ」 放送日時
１日目：1月16日(金)午前9:00?午後12:30
２日目：1月17日(土)午前9:00?午後12:30
３日目：1月18日(日)午後11:00?深夜0:00
最終日：1月19日(月)午後11:00?深夜0:00

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筆者：Makiko Minoya
1995年 州立セントラルフロリダ大学 ジャーナリズム科卒業
1996年 ゴルフチャンネル入社（米フロリダ州オーランド）
好きなゴルファー：タケ小山プロ

［写真：cGetty Images］

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