米フロリダ州オーランドより番組制作スタッフ が、独自視点でお届けするユニ ークなゴルフ最新情報！

2013?2014 PGAツアーシーズンが早くも終了。４連戦からなるフェデックスカップ・プレ ーオフシリーズの最後を飾るツアーチャンピオンシップ最終日は、ここ３週間絶好調のビリー・ホーシェル対世界ナンバーワ ン、今季メジャー２冠のローリー・マキロイのデッドヒートが期待されましたが、マキロイが途中の６ホールで５オーバーと なり事実上、優勝争いから脱落。20代の二人に混じって、2010年のツアーチャンピオンシップとフェデックス・カップの２冠 以来、優勝がない最年長、44歳で出場のジム・フューリックが粘りを見せたものの最後に力尽き、ハングリー精神で快進撃を 続けたホーシェルは崩れることなく、終わってみれば３打差の勝利。プレーオフ初戦で予選落ちを喫したものの、２戦目で２ 位タイ、３戦目と最終戦で連勝、その３試合の全ラウンド60台と、1000万ドルを手にするにふさわしい見事なゴルフでした。

プレーオフシリーズは、シーズンの終盤ビッグネーム不在の大会が多く、シード権キープを目指しての戦いだけでは盛り上が りに欠けることを懸念して2007年から始まりました。年間王者というタイトルなら、そのシーズンに最も活躍した選手が獲得 して当然という感もありますが、こつこつ貯めたポイントでプレーオフに進めば、下位の選手にも10億円あまりのボーナスゲ ットのチャンスを与え“大どんでん返し"もありえるというが、フェデックス・カップの魅力と言っていいでしょう。

ローリー・マキロイは、“すばらしいシーズンに見合う終わり方にするためにもフェデックスカップを制したい"と言いまし た。そこには、自分こそ年間王者にふさわしいという気持ちが強く現れています。今季出場したPGAツアーの公式戦17試合す べてで25位以内につけたマキロイは、３勝、２位が２回、トップテンが１２回などで830万ドル近くを稼いだ賞金王。平均ス トローク68.827で首位、１ラウンドあたりのバーディ数4.58もトップ、その他さまざまな部門で１位につけているのですから 、数字の上では文句なしの年間王者。それでも10億円のボーナスを手にできなかったのですから、相当悔しかったと思います 。

マキロイは本調子ではなく、４試合連続で疲労が溜まっていたと話しました。それが敗因と言い訳はしませんでしたが疲れて いるのはみんな同じ、ホーシェルとマキロイの差はモチベーションにあったような気がします。ホーシェルはいわゆるブルー カラーの家庭に育ち、1000万ドルがホーシェルの妻やまもなく生まれてくる娘だけでなく、身内にとってどれだけ大きな意味 をもたらすものであるか正直に語りました。一方、Ｆorbes誌のアスリート長者番付（2014年６月現在）で35位につけたマキ ロイは、“賞金はありがたいが、人はどれだけ稼いだかではなく獲得したタイトルで選手を覚えている。お金が一番の目的と 思ったことは一度もない"と言いました。マキロイが望むのはさらなるビッグタイトルでFAME、名声を高めること。確かにセ ベ・バレステロスやグレッグ・ノーマンを思う時、生涯獲得賞金ではなく、ゴルフファンを魅了した数々のショットや優勝の シーンが思い浮かびます。でもマキロイがそう言えるのは、彼が充分にFORTUNE、富を得ているからという見方もできるので はないでしょうか？

マキロイは契約クラブメーカーから、フェデックスカップの覇者が手にするボーナス賞金に相当する契約金を得ていると言わ れています。もちろんマキロイが契約しているメーカーは１社だけではありません。もしもマキロイが長者番付にのるような ゴルファーじゃなかったとしたら、ツアーチャンピオンシップ最終日、もっと息詰まるホーシェルとの戦いが見られたのでは ないか、そんな気がしてならないのです。６番パースリーで池に入れ、９番で大きく右に曲げたショットから３連続ボギー。 この間、“1000万ドルを手にできなかったとしてもどうってことないや、フェデックス・カップのタイトル獲得のチャンスも 今年が最後じゃないし"といった思いがマキロイの頭をよぎることは、一度もなかったのでしょうか？　
そう疑いたくなるのがタイガー・ウッズと違うところです。富も名声も欲しいタイガーは、途中であきらめることは絶対にし ません。勝てる試合で負ける自分が許せないのです。ラウンド中集中力を失うことも皆無でしょう。どれだけ富を手にしても 勝つことにこだわるからこそ、史上最強といわれるゴルファーになのです。マキロイはタイガーのように勝利を独占すると見 ている人はたくさんいます。もちろん、マキロイは一緒に回る他の選手がビビるようなオーラも発していませんし、タイガー とは異なる魅力を持っています。個性豊かなトッププロがそろっていることほどファンにとって嬉しいことはありません。だからこそタイガーとは一味違う最強ゴルファーと言われるように、あのドライバーショットのような、どうだ！というプレー でマキロイ伝説を残して欲しいのです。さもなければ、“やっぱりタイガーのいない大会はつまらない"の一言で片付けられ てしまいます。それはマキロイ自身望んでいないでしょう。タイガーにならって体を鍛えるのも結構。でもムキムキな体にな るよりも勝利に対してムキになって欲しい、そう思います。

ツアーチャンピオンシップに2008年の今田竜二選手に次ぎ日本人として二人目の出場を果たした松山英樹選手は、大会の順位 を22位で終え、フェデックスカップの最終ランクは28位。松山選手が手にしたボーナス賞金は18万5千ドル。今季は24試合に 出場し、ザ・メモリアル・トーナメントでのツアー初優勝のほか、開幕戦のフライズ・ドットコムオープンで３位につけるな どトップテンが４回で、予選落ち３回、故障による棄権が２回あったにもかかわらず280万ドル強を稼ぎ、賞金ランク27位に つけました。石川遼選手も24試合に出場、開幕２戦目シュライナーズ・ホスピタルズ・フォー・チルドレン・オープンでの２ 位を始めトップテンが３回。10試合で予選落ちを喫しても９試合で25位以内につけ、賞金総額140万ドル弱で賞金ランク７６ 位（前シーズンは151位）。フェデックスカップでは72位につけ、ボーナス賞金は８万ドル。来季は二人の優勝はもちろん、 メジャーでの活躍も期待されます。そしてザ・プレジデンツカップに是非二人揃って出場して欲しいものです。ちなみに松山 選手は、現在ポイントランクでアダム・スコット、ジェイソン・デイに次ぎ３位、石川選手は18位。　二人がペアを組み、対 戦相手はビリー・ホーシェルとリッキー・ファウラー・・・　そんなシーン、見たいですよね。

来週はいよいよライダーカップ。欧州優勢と言われていますが、果たしてカップの行方は・・　

「 ライダーカップ 2014 」放送日時 　※全ラウンド独占生中継！
１日目：9月26日(金)午後3:30?深夜3:30(最大延長 翌午前4:00まで）
２日目：9月27日(土)午後3:30?深夜3:30(最大延長 翌午前4:00まで）
最終日：9月28日(日)午後7:30?翌午前4:00(最大延長 翌午前7:00まで）

ライダーカップ2014詳細はこちら
http://www.golfnetwork.co.jp/original/rydercup2014_menu/

筆者：Makiko Minoya
1995年 州立セントラルフロリダ大学 ジャーナリズム科卒業
1996年 ゴルフチャンネル入社（米フロリダ州オーランド）
好きなゴルファー：タケ小山プロ

［画像は全て©Getty Images］