昨年、オーストラリア人として史上初のマスターズ制覇を成し遂げたアダム・スコット。今年はようやく世界ランキング1位にまで昇り詰めたが、最終的にはローリー・マキロイ（北アイルランド）にトップの座とスポットライトを奪われ、複雑なシーズンとなったことだろう。

　2013年はマスターズ優勝のほか、全英オープン3位タイ、全米プロゴルフ選手権5位タイと最も勢いのあったスコット。今年はメジャー2勝目も視野に入っていたはずだが、目標はかなわず。振り返ってみれば、分岐点となったのは昨年末のエミレイツ・オーストラリアン・オープンだった。

　地元メジャーのシーズン3冠がかかった昨年12月のオーストラリアン・オープンで、最終ホールをバーディとしたマキロイに逆転されて優勝を逃した。それは、ここまで絶不調だったマキロイの巻き返しを象徴するかのような出来事だった。

　スコットは5月にタイガー・ウッズ（米）の長期離脱の隙に、世界ランクNo.1の座を奪取。すぐに同月のクラウン・プラザ招待優勝でその座を固めに入ったが、全英オープンから2連勝したマキロイの勢いを抑えきれず、8月には頂点を明け渡した。マキロイはさらに続く全米プロも制し、差はさらに広がっている。

　今年のオーストラリアン・オープンでは、急上昇株のジョーダン・スピース（米）に圧勝を許し、世界ランクはヘンリック・ステンソン（スウェーデン）にも抜かれて同3位に転落した。今年は予選落ちなし、優勝争いにも幾度と加わり、1勝を挙げるなど、並のプレーヤーならば良いシーズンと言えるだろう。しかしスコットのほど能力と期待を背負った選手には物足りないはずだ。私生活では4月に結婚し、来年2月には第1子が誕生する予定で、これをきっかけに再浮上したいところだ。