今季、いいところが全くなかったジョン・デイリー（米）が単独2位の好発進を切った。

　米男子ツアー今季メジャー最終戦、第89回 全米プロゴルフ選手権がオクラホマ州タルサのサザンヒルズCCを舞台に現地時間の9日開幕。第1ラウンドのこの日、“お騒がせ男”デイリーが3アンダー67の好スコアをマークし、5アンダー単独首位のグレーム・ストーム（英）に2打差の2位につけた。

「暑くて、内容はあまり覚えていないよ」と好スタートにもおとぼけのデイリー。メジャー最終戦に備えて各選手が目の色を変えてコースの下見、あるいは練習に精を出した今週のはじめ、デイリーは「カジノに繰り出してスロットに興じていた」と言うから彼らしい。

「それがオレの調整法。あんまり練習し過ぎると試合が始まる前に燃え尽きちゃうからね。昨日はちゃんと練習したよ。左にショットが曲がるなぁ、と思ってスイングを自己診断したら、テイクバックをインサイドに引き過ぎていたことがわかった。ちょっとアウト目に引くようにして良くなったよ」と分析したデイリー。「でも今日良かったのはショットというよりパット」と好調なパットを好スコアの要因に挙げた。

　今季はここまで予選落ち8回に棄権4回とさんざんな結果。メジャー通算2勝の実力者も、世界ランク423位まで落ち込んだ。しかもプライベートでは妻と口論の末、刃物沙汰に発展したことも。そんなデイリーが91年に衝撃の初優勝を飾った全米プロの舞台で、輝きを取り戻そうとしている。

　一方、今季メジャー初勝利を目指すタイガー・ウッズ（米）は1オーバー71で回り23位タイにつけた。インスタートの序盤、6ホールで3つのバーディを奪い快調な滑り出しを見せたが、その後「風に翻弄された」とショットを乱し、4バーディ、5ボギーの1オーバーに終わった。しかし「スコア以上にショットの内容は良かった」と語っており、第2ラウンド以降の巻き返しを誓っていた。

　その他、全英オープンチャンピオンのパドレイ・ハリントン（アイルランド）が1アンダー69で回り、ジェフ・オギルビー（豪）、カミロ・ビジェガス（コロンビア）らと並び6位タイにつけ、レティーフ・グーセン（南ア）、セルヒオ・ガルシア（スペイン）はイーブンパー70で13位タイ。しかしフィル・ミケルソン（米）は3オーバー73で53位タイ、ビジェイ・シン（フィジー）は5オーバー75の85位タイ、全米オープンチャンピオンのアンヘル・カブレラ（アルゼンチン）は11オーバー81で146位タイと出遅れている。